長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価し、ベスト5のドライバーを選出した。今回はサンパウロGP(ブラジルGP)の週末を振り返る。
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【全ドライバー独自採点&ベスト5/F1第20戦】完璧だったサインツ。ライバルに妨害されつつ、接触を回避したノリス
今年のサンパウロGPは極端で不安定な天候の下で行われたため、ドライバーがヒーローになるのか、何の成果も得られずに終わるかを、ほんの少しの要因が左右した。日曜日のメインイベントでは、前の周にはなかった水たまり、ほんの少しのオイルや砂利、ラインの数センチのずれといったものが大きな違いを生んだ。そんななかでひとりのドライバーが傑出していた。
【2024年F1第21戦サンパウロGP ベスト5ドライバー】
■評価 10/10:予選の不運によって際立ったフェルスタッペンの優秀さ
マックス・フェルスタッペン(レッドブル):スプリント予選4番手/スプリント4位/予選12番手/決勝1位
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、予選は不運であり、GPSに関連するチームの問題もマイナスに働いた。しかし、予選で上位をつかめなかったことが、決勝での見事な走りを際立たせる結果になった。レースでは、DRSトレインに引っ掛かるまで、素早くポジションを上げた。ライバルたちが新しいタイヤに交換するためにピットに向かうなか、フェルスタッペンは粘り強く走り続け、その後、赤旗が出たことで、彼らの賭けは報われた。リスタート後にエステバン・オコンを追い抜いた後、フェルスタッペンは後方に大量のギャップを築いて、圧倒的な勝利を収めた。
■評価 9/10:ウエットで輝き、冷静に2位をつかんだオコン
エステバン・オコン(アルピーヌ):スプリント予選16番手/スプリント13位/予選4番手/決勝2位
エステバン・オコン(アルピーヌ)も10点に値する素晴らしい走りをしたが、フェルスタッペンが見せたような“記録に残る走り”とまではいかなかった。ドライコンディションではアップデートされたA524に苦労したものの、危険なコンディションになると、オコンは快適に走り始め、予選で4番手を獲得。決勝では雨が激しくなるまでその位置を保っていた。トップ3がピットストップを行い、首位に浮上。フェルスタッペンを引き離す瞬間もあり、皆を驚かせたが、最終的には抜かれて2番手に落ちた。オコンはその後も冷静さを保ち、誰からの脅威もなく、2位を獲得した。
■評価 9/10:不運に見舞われながら、3位まで浮上したガスリー
ピエール・ガスリー(アルピーヌ):スプリント予選7番手/スプリント7位/予選15番手/決勝3位
ピエール・ガスリー(アルピーヌ)は3位に入り、アルピーヌに夢のような一日をもたらした。スプリントで2ポイントを獲得したが、技術的な問題により、メインイベントの予選ではQ2で敗退。決勝ではミスを犯すことなくポジションを上げていき、赤旗でタイヤを交換した後、はるかに速いマシンに乗るジョージ・ラッセルを抑え続けた。ガスリーのレースでの走りは素晴らしく、予選で本来のポジションをつかめていたら、どんな結果を出していたかと思うと、それだけが残念だ。
■評価 9/10:チームの戦略で表彰台を失ったラッセル
ジョージ・ラッセル(メルセデス):スプリント予選6番手/スプリント6位/予選2番手/決勝4位
ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、決勝で雨が強くなった時、チームにピットインするよう指示された。これが裏目に出たため、彼は憤慨していたが、あの時、勝利か2位のチャンスがあったことを思えば、強硬に自身の判断を貫いて、ステイアウトしてもよかっただろう。両方の予選で素晴らしい走りを見せたラッセルは、スプリントでは上位を狙えるペースはなかったが、メインレースでは少なくとも表彰台には上がれたはずだった。
■評価 9/10:予選自己最高位3番手をつかんだ角田裕毅
角田裕毅(RB):スプリント予選18番手/スプリント15位/予選3番手/決勝7位
角田裕毅(RB)のここまでのキャリアのなかで、最高のパフォーマンスといっていいかもしれない。ドライコンディションではマシンに満足できずにいたが、ウエットコンディションになると、素晴らしい走りを見せた。予選で自己最高の3番手を獲得。決勝では、ピットストップを行うまで、ミスを犯すことなく、後ろのオコンにチャンスを与えずに、3番手を走り続けた。
赤旗で順位を落とし、失ったポジションを取り戻すことはできなかったが、ウエットコンディションで角田はチームメイトを圧倒し、チームに貴重な6ポイントをもたらした。
【ベスト6以下のドライバーとその戦い】
シャルル・ルクレール(フェラーリ):スプリント予選3番手/スプリント3位/予選6番手/決勝5位
=評価 7/10:週末を通してチームメイトより速かったものの、今回のSF-24はどのコンディションでも運転が非常に難しく、ペースが不足していた。
ランド・ノリス(マクラーレン):スプリント予選2番手/スプリント1位/予選1番手/決勝6位
=評価 7/10:スプリントでは、チームメイトに譲られて1位を獲得。しかしメインイベントの予選で見事なポールポジション獲得を果たした。決勝では、スタートでラッセルに抜かれ、タイヤ交換後にようやく前に出たものの、赤旗により勝利が遠ざかった。リスタートでのミスでポジションをさらに落とし、その後、挽回することができなかった。
リアム・ローソン(RB):スプリント予選8番手/スプリント9位/予選5番手/決勝9位
=評価 7/10:ウエットよりもドライでの方がパフォーマンスがよかった。それでも日曜日に9位を獲得し、チームに貴重なポイントを持ち帰った。強引な走りをする彼は、何度かインシデントに見舞われ、オスカー・ピアストリとの接触では、ペナルティを受けたのはピアストリだったが、ローソンの方も損失を被った。
オスカー・ピアストリ(マクラーレン):スプリント予選1番手/スプリント2位/予選8番手/決勝8位
=評価 6/10:スプリントでは実質的にはウイナーだった。ウエットコンディションでは輝きがなく、ローソンのアグレッシブなディフェンスに苛立ち、ターン1で彼をはじき出したことで、ペナルティを受けた。
オリバー・ベアマン(ハース):スプリント予選10番手/スプリント14位/予選17番手/決勝12位
=評価 6/10:急きょ、ケビン・マグヌッセンの代役として出場、厳しい状況で週末を戦わなければならなかった。ウエットでもチームメイトを上回り、非常に良いパフォーマンスを見せたが、レース中に多数のミスを犯し、ポイント争いから脱落した。
バルテリ・ボッタス(キック・ザウバー):スプリント予選15番手/スプリント16位/予選11番手/決勝13位
=評価 6/10:Q3進出まであと一歩というのは、見事な成果だ。しかしレースでは、冷えたタイヤに苦しみ、ポイント争いに挑むことができなかった。
カルロス・サインツ(フェラーリ):スプリント予選5番手/スプリント5位/予選14番手/決勝リタイア
=評価 5/10:ウエットではルクレールに太刀打ちできず、何度もクラッシュし、マシンのハンドリングの悪さに困惑していた。
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン):スプリント予選18番手/スプリント18位/予選9番手/決勝14位
=評価 5/10:体調不良でありながら、レースを完走。その強い意志は高い評価に値する。
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース):スプリント予選12番手/スプリント リタイア/予選19番手/決勝失格
=評価 4/10:ルーキーのベアマンに負け、得意のコンディションでも、良い成果を出すことができなかった。
ルイス・ハミルトン(メルセデス):スプリント予選11番手/スプリント11位/予選16番手/決勝10位
=評価 4/10:ドライでもウエットでもペースが悪かった。問題の原因はマシンにあるとしていたが、心がどこか他のところにあるようにも見える。
セルジオ・ペレス(レッドブル):スプリント予選13番手/スプリント8位/予選13番手/決勝11位
=評価 4/10:週末の序盤には期待を感じさせたものの、その後、今年よく見られるようなパターンで、すべてが崩れていった。
周冠宇(キック・ザウバー):スプリント予選20番手/スプリント17位/予選20番手/決勝15位
=評価 4/10:今回も、チームメイトのボッタスとは比較にならなかった。
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):スプリント予選9番手/スプリント10位/予選7番手/決勝出走せず
=評価 3/10:予選でクラッシュし、決勝に出場できず。チームが多くのポイントを稼ぐチャンスを奪った。
フランコ・コラピント(ウイリアムズ):スプリント予選14番手/スプリント12位/予選18番手/決勝リタイア
=評価 3/10:日曜日に2回クラッシュ。感情面で、アップダウンの激しい週末を過ごした。
ランス・ストロール(アストンマーティン):スプリント予選19番手/スプリント19位/予選10番手/決勝出走せず
=評価 3/10:体調不良のアロンソにかなわず、レースではフォーメイションラップでスピン。その後、ターマックの部分を通ってコースに戻るのではなく、グラベルを通り、当然のことながら、スタックしてしまった。F1で8年目にもかかわらず、ルーキーのようなミスだ。
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みんなのコメント
なので予選に関しては、角田は早い部類に入るドライバーということでいいと思います
いい経験と言えば聞こえはいいが、これは本当に痛い、痛すぎる。