この記事をまとめると
■ここ10年の間で登場した国産車で「いいデザイン」のクルマを5台紹介
【試乗】ランドクルーザー300と250と70に超絶悪路で一気乗り! 泥濘地も岩場も生活道路になってしまう衝撃の走破性に感動しかない!!
■今乗っても色褪せないほど完成されたデザインが魅力だ
■レトロ調な仕立てであったり原点回帰なデザインを取り入れるモデルも増えてきた
旬が過ぎても乗りたい秀逸デザインの国産車たち
自社のデザイン部門の充実に加え、独自のデザインフィロソフィを掲げるなど、近年の国産車のスタイリングも大きく進化しています。なかには、輸入車勢にも劣らない「仕事」を見せるモデルも……。そこで今回は、ここ10年の国産車から「コレは!」と思える5台をピックアップしてみたいと思います。
主役の陰に隠れたグッドデザインなSUV
最初に取り上げるのは、2015年発売のマツダCX-3です。「おいおい、マツダのグッドデザインといえばロードスターだろ!」という声が聞こえてきそうですが、ここはもう少し視野を広げてみようと……。
当時のデミオをベースとしたコンパクトクロスオーバーSUVとして、「圧倒的なプロポーションと強いスタンス」とマツダ自ら謳うボディは、分厚いボディに大径タイヤとタイトなキャビンの組み合わせが基本。後ろへ引いたAピラーとリヤへ抜ける流れを含め、その佇まいはレクサスLBXを先駆けたかのようです。
さらに前後端をギュッと絞ることでスポーティさを増したボディは、当時のマツダ新商品群のなかでも突出してスタイリッシュでした。2015年のグッドデザイン賞にも納得です。
歴代のモチーフを取り入れたヨーロピアンコンパクト
2台目に取り上げるのは、スズキのイグニスです。同車は、ハスラーとエスクードの間を埋めるコンパクトクロスオーバーSUVとして、2016年に登場しました。
デザインコンセプトは「シンプルアイコニック、シンプルスタンダード」と、シンプルでベーシックなスタイルの上に明快な個性を与えることを標榜。丸いルーフにコンパクトキャビン、四隅に置いたタイヤと豊かなフェンダーは欧州車のような安定感。そこへ、歴代スズキ車をモチーフとしたアクセントを与えた手法は見事です。
しかも、わずか3700mmの全長と1660mmの全幅でありながら、大人4人がゆったり座れるパッケージも秀逸。先代アルトとともに外部デザイナーの関与がウワサされる同車ですが、本来ならもっと売れても……と思える秀作です。
いつ見ても色褪せない秀逸っぷり
短命に終わった傑作コンパクトハッチ
次に取り上げるのは、Honda eです。ホンダ初となる量産型EVとして2019年のジュネーヴ・モーターショーに出品、翌年発売となりました。
初代シビックのオマージュ? と囁かれる2BOXスタイルは、EVとしての長いホイールベースや大径タイヤなどの要件を踏まえつつ、空調効率を重視した結果とか。しかし、ブラックパネル内に置かれた丸形ランプや、徹底して磨き込まれ、かつ絞り込まれたボディはじつに未来的です。
デザインを統括したクリエイティブディレクター、岩城 慎氏によるシンプル路線の最右翼ともいえますが、レッド・ドット・デザイン賞(プロダクトデザイン)の受賞はそこに確実な新しさがあった証。惜しいのは、このデザインが特別なEVでなく、通常のラインアップで展開されなかったことでしょうか。
スタイリングはフルモデルチェンジです!
4台目は、日産から新型のフェアレディZとします。ご存知のとおり、6代目のビッグマイナーチェンジ版として2022年に登場しましたが、外観は完全な新作ということで、実質7代目と呼ばれることもあるようです。
スタイリングについては、初代をオマージュしたフロントや、ヒットしたZ32型をイメージさせるリヤパネルなどが話題ですが、それよりも、同社が掲げるデザインフィロソフィ「タイムレス・ジャパニーズ・フューチャリズム」の好例として評価したいところ。
シンプルな面と繊細なラインの組み合わせはノートやセレナ、アリアなどと同じですが、刻まれたヘッドライトまわりや四角いグリル、スッと引かれたキャラクターラインなど、より幅広い展開が感じられます。まあ、現状は実質”買えないクルマ”となっているのが残念ですが……。
トヨタデザインの好調ぶりを象徴する最新作
最後は新しいところから、4月に発売されたばかりのトヨタのランドクルーザー250を。新型プリウスなど、シンプル路線に舵を切ってからのトヨタデザインは概ね好評ですが、その筆頭がこのクルマといえそうです。
70シリーズに準じたドア下部の削ぎや、キックアップしたベルトラインなど「原点回帰+ファンクショナリー」のテーマに即したスクエアなボディが話題ですが、単に四角いのではなく、ショルダー面のプランカーブなど凹面による引き締まった造形がじつにユニークです。
さらに、まるでランドセルを背負ったように別体表現になったリヤパネルも秀逸。コンセプトは原点回帰ですが、決してレトロに陥らなかったのは、CALTYに在籍する担当デザイナーの見識でしょう。
以上、「ここ10年の国産車」からグッドデザイン5台をピックアップしてみましたが、どのクルマ(メーカー)も開発に当たって「シンプル」や「原点回帰」を掲げているのが面白いところです。これって決して偶然……ということではなさそうですね。
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