夏休み明け最初のレースとなったF1ベルギーGPでは、各メーカーが最新型のパワーユニット(PU)を送り込んできた。メルセデスはカスタマーチームを含めた全6台に最新スペックのPUを投入したが、フリー走行ではセルジオ・ペレス(レーシングポイント)に、予選ではロバート・クビサ(ウイリアムズ)にトラブルが発生した。
フェラーリもハースの2台とアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)のマシンに最新型PUを搭載したが、ジョビナッツィが予選中にトラブルでストップした。
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そんな中、アレクサンダー・アルボン(レッドブル)とダニール・クビアト(トロロッソ)のマシンに最新“スペック4”のPUを載せたホンダは、ノートラブルで週末を終えた。ホンダは2015年のF1復帰以来、長らく信頼性の向上に取り組んでいるが、マクラーレン・ホンダ時代には重大なトラブルが発生することが数多くあった。
ホンダF1テクニカルディレクター(TD)の田辺豊治は、ベルギーGPでライバルメーカーにトラブルが多発したことについて次のように語った。
「私は驚いています。それにはふたつ理由があって、ひとつは彼らの信頼性が過去、そして今季の実績から証明済みだからです。現在はエンジンを年間3基までしか使えないので、1基あたり5000km以上を走る必要があります」
「彼らは走行マイレージを確保するための多くのノウハウを持っていて、その信頼性は耐久テストによってもたらされています」
「最新スペックのPUというのは、ファクトリーでの耐久テストに合格して(レーストラックに)やってくるものですが、それでもトラブルが起きたのです。それは疑問でもあり、私が驚いている理由のひとつです」
「もうひとつの理由は品質管理です。彼らは長い間、複数のチームにPUを供給しています。彼らは品質管理の方法、そしてレースに向かう前にどういった事をチェックするのかを理解しているはずです」
ホンダは今季、メルセデスとフェラーリにPUのパフォーマンスで追い付こうと積極的な開発をしており、彼らよりも多くアップグレードを行っている。
また、ルノーを含めた他の3メーカーはワークスチーム/カスタマーチームという概念が存在するが、ホンダにはそれがない。レッドブルが実質的なワークスチーム的立ち位置にいるとも解釈できるが、ホンダはレッドブルとそのジュニアチームであるトロロッソを平等に扱っているという。
ベルギーGPでのPUアップグレードを見ても分かるように、メルセデスはカスタマーチームを含めた全てのチームに最新PUを同時提供する傾向にあるが、フェラーリはまずハースやアルファロメオといったカスタマーチームに載せるという形をとっている。
田辺TDはさらにこう続けた。
「昨年我々がスペック3を導入した時には、キャリブレーション(データの擦り合わせ)に問題が発生しました。我々はそこから学び、高いレベルでのキャリブレーションを試みるようになりました」
「(他のメーカーは)自分たちのチーム(ワークスチーム)が大事なので、まずはカスタマーチームでニューエンジンを試してみてキャリブレーションを最適化し、その後で自分たちのチームに投入するということはよくあります」
「フェラーリはおそらく成熟したキャリブレーションの方法やエンジンを効率的に使用する方法を心得ているので、そういったやり方がすぐにうまく機能するのでしょう。カスタマーチームを利用するというのもひとつのアイデアですね」
「ただ同時に『我々は完璧だ。全てのチームに同時にエンジンを投入できるぞ』と思っているメーカーもあるでしょう」
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