人気のあるクルマには人気があるだけイイ理由がある。だが、かといって惜しいところも存在する。重箱の隅をつつくような、メーカーさんにとってはなんとの居心地の悪い企画かもしれないが、いま大人気のコンパクトカーを集め、その「ココはスゴイ!」というところ、でも「ココが惜しい…」というところをあぶり出していく。
●ラインナップ
・日産 ノートオーラ
・トヨタ ルーミー
・トヨタ ヤリス
・トヨタ アクア
・ホンダ フィット
「優等生」でもボロは出る!!? 人気エリートコンパクトカーの「ココはスゴイ!」でも「ココは惜しい!」 5選
※本稿は2022年5月のものです
文/松田秀士、山本シンヤ、写真/TOYOTA、NISSAN、HONDA、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2022年6月10日号
■「小さな高級車」を体現 日産 ノートオーラ
日産 ノートオーラ。標準車でもコンパクトカーとは思えない上質感があり、オーラはさらに「いい物感」がある。シットリとした足の動きはいいが、乗り心地がやや×か……
ノートベースのプレミアムコンパクトで、全幅は1735mmまで拡幅。フロントマスクもアリアテイストで高級感を好演出。
〇の部分は「小さな高級車」を“見せかけ”だけでなく“本質的”な部分まで実現しているところ。
エクステリアは専用ワイドボディとアリアと共通性を高めるデザイン、インテリアもクラスレスで先進性とプレステージ性を両立。
パワートレーンはノートに対して最大出力/最大トルクともにアップ。「凄く速くなった」、「力強い」ではなく、「全域で余裕が出た」印象だ。
フットワークはシットリした足の動きと本来スカイラインクラスでしか採用されない3層構造シートの採用も相まって、動的質感はコンパクトハッチを超えるレベル。静粛性も日産の上級モデル顔負けの仕上がりだ。
×の部分はインテリア。全体的な質感は高いがゆえに、前時代的なデザインの空調コントロールとインパネ下側のハードプラスチック部の質感の低さが目立ってしまっているのが残念。
また、17インチ化されたタイヤ&ホイールはカッコよさがあるものの、乗り心地の面で若干コツコツ感じるシーンも。と言っても、どれも「強いて言えば」という重箱の隅を突くレベルの話だ。
(TEXT/山本シンヤ)
●日産ノートオーラ主要諸元
・ボディサイズ:全長4045×全幅1735×全高1525mm
・車重:1260kg
・最小回転半径:5.2m
・エンジン:1.3L、直4(82ps/10.5kgm)+モーター(136ps/30.6kgm)
・燃費:27.2km/L
・価格:269万9400円
・人気No.1グレード:Gレザー(2WD)
・値引き:17万円
■日本人が求める最適なパッケージングを実現 トヨタ ルーミー
トヨタ ルーミー。3月販売台数は登録車No.1の約1万7000台とバカ売れ。登場から6年経過しても凄い人気。マイナーチェンジで顔がややドヤ顔風になったが、乗り心地は「ムムム!」状態
ダイハツトールのOEMで2016年にデビューし、2020年にマイナーチェンジ。1LのNA&ターボを搭載する超絶人気のハイトワゴン。
5ナンバーサイズ、スライドドア、ハイト系ワゴンと、日本人が求める最適なパッケージングを実現している。これが〇。
「軽自動車じゃ嫌、でも大きいクルマは苦手」というわがままを見事に解決している。
エンジンは直列3気筒のNA/ターボの2本立てだが、ターボは実用トルクの太さと小気味よいフィーリングで活発に走る。
最小回転半径4.5mという小回り性能の高さは軽自動車顔負けの性能で、取り回しも楽である。それながら価格は約150~200万円と軽トールワゴンと大きく変わらずと、コストパフォーマンスもすこぶる高いレベルだ。
しかし、走りの部分が×。実用性重視なのはわかるが、それにしても割り切りがちょっと……。
まるで宙に浮いているような芯のないステアフィール、ロールはしないのに落ち着きのないハンドリング、そしてボディ剛性のなさなど、残念ながら「もっといいクルマづくり」は感じられない。
ダイハツからのOEM車というのを差し引いても、トヨタバッジをつける以上はもう少し何とかすべきだと思う。
(TEXT/山本シンヤ)
●トヨタ ルーミー
・ボディサイズ:全長4045×全幅1735×全高1525mm
・車重:1090kg
・最小回転半径:4.6m
・エンジン:1L、直3(69ps/9.4kgm)
・燃費:18.4km/L
・価格:191万4000円
・人気No.1グレード:カスタムG
・値引き:22万円
■コンパクトに徹した作りが弱点にも トヨタ ヤリス
ヴィッツからヤリスに変更して2020年2月に登場したBセグコンパクト。1L、1.5Lのガソリン&ハイブリッドを設定。
コンパクトに徹しフロント席主体で作り上げたコンセプト。さらに加速性能と走る、曲がる、止まるといったハンドリングを追い求めたこと。
またぶつからないサポート安全性能とACCとレーントレーシングなどの運転支援装備を充実させているのも〇。
ないものねだりになるが、やはり後席は狭すぎる。
ハンドリングにアジリティを求めていることは評価できるが路面によってはリアセクションの落ち着きがない。
リアグリップを調整してバランスをとるよりも、フロントの旋回グリップを上げたい。
(TEXT/松田秀士)
●トヨタ ヤリス主要諸元
・ボディサイズ:全長3940×全幅1695×全高1500mm
・車重:990kg
・最小回転半径:5.1m
・エンジン:1.5L、直3(120ps/14.8kgm)
・燃費:21.4km/L
・価格:159万8000円
・人気No.1グレード :X(2WD)
・値引き:19万円
■現在の「国民車筆頭」の弱点は? トヨタ アクア
2010年販売された初代のあとを受け2021年7月にフルモデルチェンジしたハイブリッド専用コンパクト。現行も大人気。
バイポーラ型ニッケル水素電池の採用によりモーターだけによるEV走行での速度域が40km/hレベルまで拡大。
ACコンセントが全車標準装備されている。停車中も、ハイブリッドゆえの電動コンプレッサーエアコンで無駄にエンジンが始動しない。
THS IIハイブリッドシステムは進化しているが、やはり加速時のエンジン上昇音とのアンバランスが気になる。
室内静粛性は向上しているが、トーボードまわりからの遮音性がいまひとつ。Aピラーがかなり寝ているので、全幅をつかみにくいのも×。
(TEXT/松田秀士)
●トヨタ アクア主要諸元
・ボディサイズ:全長4050×全幅1695×全高1485mm
・車重:1130kg
・最小回転半径:5.2m
・エンジン:1.5L、直4(91ps/12.2kgm)+モーター(80ps/14.4kgm)
・燃費:33.6km/L
・価格:240万円
・人気No.1グレード:Z(2WD)
・値引き:21万円
■売れ行きは目下上向き中! 傾向 ホンダ フィット
ホンダ フィット。登場以来、売れゆきイマイチだったが、今年3月はライバルのヤリス、アクアを上回る8460台と上昇傾向。ネガは強いて言えば顔が優しいところか……!?
2020年2月登場し、1.3Lガソリンと1.5L+モーターのe:HEVを設定。キャラの違う5タイプのグレードを用意する。
スムーズでありながら多人数乗車でもトルクに余裕のある、中低速域でのモーターによる走り。このクラスとしてはサスペンションがソフトでストローク感があり乗り心地がいい。
またロードノイズなどによる雑味で耳障りな室内騒音が少なく、長距離ドライブでも疲れにくい。停止までコントロールする渋滞追従機能が付いたACCを装備。
ACCをONにしなくても個別で作動させることができる車線内中央維持システムのLKAS(レーンキープ)もある。ACCとLKASは高速道路長距離移動での運転疲労を軽減するのも〇。
モーター走行中はとても静かだが、発電のためにエンジンが始動した時にエンジンノイズが大きい。また高速道路を100km/hオーバーで走行した時もエンジンノイズが室内で大きく感じてしまう。
ダッシュボードがフラットなので、車幅感、特に左フロントのコーナー位置を感じ取りやすいのだが、トップがあまりに平らで殺風景。
なにかもう少しデザインがあしらわれていてもいいのでは。メーターパネルディスプレイが小さいのも何とかしてほしかった。
(TEXT/松田秀士)
●ホンダ フィット主要諸元
・ボディサイズ:全長3995×全幅1695×全高1440mm
・車重:1190kg
・最小回転半径:4.9m
・エンジン:1.5L、直4(98ps/13.0kgm)+モーター(109ps/25.8kgm)
・燃費:28.6km/L
・価格:211万7500円
・人気No.1グレード:e:HEV HOME(2WD)
・値引き:26万円
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そーゆーとこだぞベスガが信用されないの