お前ら夜道に気をつけろ! どうも夜道雪です!
今回は3輪モーターサイクルブランド「Can-Am(カンナム)」の「Spyder RT LIMITED(スパイダーアールティーリミテッド)」に試乗していきます!
38万円で3人乗れる! 125ccのチョイ乗りトライクとは?
カンナムは、スノーモービルや水上バイクなどのスポーツやレジャー用の乗り物を手がけるカナダの「ボンバルディア・レクリエーショナルプロダクツ(BRP)」社が手がける3輪モーターサイクルブランドです。
3輪バイクに乗ったことは何度もあるけれど(ホンダのジャイロe:、ヤマハのトリシティシリーズなど)、大型のトライクに乗るのは今回が初めて!
カンナムのスパイダーシリーズは、前2輪、後1輪のリバーストライクというスタイル。車両区分は普通車なので、普通自動車AT限定免許以上を持っていたら乗ることができるのです。ヘルメットの装着義務もありません。
2輪免許を取らずとも、バイクで風を切って走る気持ちよさを、4輪車の安定感と安心感で味わえちゃうのです! もちろん高速道路の走行もOK♪
ちなみに車両区分では側車付きオートバイ。登録に車庫証明は必要ありません。
今回、試乗するスパイダーRTリミテッドは、ラグジュアリーツーリングの最高峰モデルとのこと。どんな乗り味か楽しみです!
とっても大きな車体ということはわかっちゃいたけど、いざ実物を見るとこの存在感に圧倒されてしまう…!
真横から見た時のシルエットはもう近未来そのもの! アニメとか漫画に出てきそうだ…!
大きなモニターやスピーカーもあるよ! シートはゆったり広々で乗り心地は最高! 3輪車だけどしっかり自立してくれるところも含めて、バイクと車のよいとこ取りな感じです。
そしてあちこちに大きな車載スペースがあるので、色々荷物を積み込んで旅できそう。
ここまで素晴らしいと、もはやカンナムスパイダーに住みたくなる。何ならこのまま役所に行って住民票をカンナムスパイダーに移してしまいたい。
氏名 夜道雪住所 東京都カンナム区スパイダー1-1 車載スペース内
こう書けばきっと、役所の人も笑顔で受理してくれるはず(笑)? 住民票を移してお引越ししたところでいざ! またがってみます!
でけえ! 高え! なんじゃこりゃ!
まるで河田美紀男に肩車してもらってるみたいだ!(※編集部注:漫画「スラムダンク」に登場するキャラクター。身長210cm)
まだ走らせてすらいないけど、またがっただけでこの驚きと壮大さ。なんだこれは…たまげたなぁ…。
そして、車より視野が広く、バイクより視点が高くて路上のすべてが見渡せる! すごい、すごいぞ美紀男! これならあのお兄ちゃんも認めてくれるぞ!(※編集部注:漫画「スラムダンク」をぜひお読みください…)
ハンドルに手を伸ばして足を広げてまたがる乗車姿勢だと、どんだけ倒れないとわかっていても、ついつい地面に足を伸ばしたくなる…。伸ばしても届かないんだけどね…!
さて、実際に走っていきます!
エンジン始動! ああ、やっぱりめちゃくちゃよい音だ…。
車よりもダイレクトに、エンジンの音と振動が全身にあますことなく響き渡り、やがて耳から脳に届いてβエンドルフィンを生成する。もうこの時点で満足度が高い。
走り出すと、ストレートでは風に背中を押されてるかのように軽快に走れる。それほどまでに活発なエンジンで、ディ・モールト(イタリア語で「非常に」という意味)よいぞッ!
普通免許で乗れちゃう、逆を言えば2輪免許では乗れない…。そんなカンナムスパイダーだけれど、操作は2輪の感覚に近い。
右手のスロットルをぐいっと回して加速。ハンドルはバイクと同じ要領で左右に動かして操作する。右足の爪先に大きめのペダルがあり、踏むとブレーキ。
シフトチェンジはパドルシフトで行う。パーキングブレーキもついてるよ。ここらへんの操作は車っぽいね!
パドルシフトでシフトアップするたびに、明朗に移り変わっていくエンジン音もとても美しい…。
一時停止の時もフラついたりヨロけたりもしないし、立ちゴケの心配は一切ない。
いわば『2輪の楽しさを4輪車の安定感で走行できる3輪車』という現代科学が生んだチート。スゴすぎるぜ…!
気持ちいいなぁ…このままカーブも曲がっちゃうか!!
ん!?
え? え、ちょ、待って、うわ、ちょっと、これ何!?
なんて説明したらいいの。これ。
なんだろう…。車でもなくバイクでもない…。うまく例えることができないコーナリングの操作感…。文章で説明するのは正直スゴく難しいので、気になった人はぜひ直接乗って確かめて欲しい(笑)。
今まで出会ったことのないほど斬新な操作性と乗り心地は、私のバイクの概念にすさまじい衝撃を与えたのだ!
バイクと違って体を寝かしこんだりして曲がるわけじゃないから、感覚に任せて操作すると、まったく曲がらなくて困惑すること間違いなし!
我々バイク乗りはバーハンドルを握ってしまうと、本能的に体を傾けるように洗脳されてしまっているからである…。
そこのアナタ、「まさか、そんな…」と思ったでしょう?
乗ってみたらわかるよ! 私だけでなく、試乗してた他の人達も「ウワア!」ってなってた。
そしてハンドルの反応がとにかく敏感。Wiiのマリオカート並にセンシティブ。
少しだけハンドルを切ったつもりでも想像以上に曲がっていくので、ここは逆に車感覚でハンドル操作をしてしまうと最初は結構驚くかもしれない。
車のハンドルに比べてバーハンドルは切角が小さいから、その分どうしても反応が敏感になってしまうのかも。
ハンドルの操作のみで曲がる理屈は車と一緒なんだけれども、車感覚でハンドルを切るとかなり曲がっちゃう。
高速道路を走ってる時、少しハンドルを切っただけでもかなり曲がっていくよね? 低速時でも、あの感覚に近かったです。
ここの車ともバイクとも言えない感覚が、慣れるまでは本当に難しい。慣れるまでは慎重に走ろう。
あと、車で峠を攻めてる時って、体に横Gがかかるでしょう? だからカンナムに乗っている時は、風をモロに体に受けるということもあって、体が自然とマルケス選手ばりにハングオンの体制になるのね。
んで、ここで難しいのが、マルケス選手になり切ってハングオンしてる体勢のまま! ハンドルを意識的に力を入れて切り続けること。これは結構力一杯切らないとならない。
そして何の意味もなく力んでニーグリップしようとする足もと。本当、癖って恐ろしい。
バイクに乗ってきた人ほど、今まで体に勝手に染み付いて備わってきた感覚に惑わされるのではないかなと思いました。
<まとめ>
実際に今回試乗してみるまで、「バイクも車も運転している私ならトライクなんて余裕っしょ!」と完全にナメていた。ナメ切っていた。
でも、実際は全く違った。
転倒のリスクがない? ノーヘルで乗れる? 普通免許で乗れる? 車庫証明がいらない?
そんな甘い言葉に惑わされてはいけません。
これは新ジャンルで新感覚な、完全スポーツカー!
2輪、4輪ともに大体の乗り物は遊び尽くしてきてしまった我々に送られてきた最後の刺客。それがカンナムスパイダー!
Gも風も受けながら力一杯ハンドルを操縦。タイヤの動きや方向を予測しながらの走行は、体も頭も使う。
どれだけ乗ってもコツをつかませてくれない。簡単には乗りこなせない。
ヤケになった頭の中に、教習所に足繁く通っていた16歳の自分が走馬灯のように駆け巡った。
エンストするたび、立ちゴケするたび、私たちはどんどんバイクへの思いが深まった。バイクに乗りたいという気持ちがあふれて止まらなかった。
バイクに乗ってきた私の7年間の全てが、今ここでリセットされたような、まるで、16歳の頃の自分に若返ったかのような、そんな気持ちになった。
カンナムを降りて、車体に背を向けた。
走行時に強張った表情筋の糸がプツンと切れたかのように顔を綻ばせて、ひとこと、こう呟いた。
「7年ぶりにおもしれー奴に出会っちゃった」
いつか絶対に攻略してやるからな!
それでは夜道雪のちょっと寄り道、次回もお楽しみに♡
■Can-Am Spyder RT LIMITED
全長×全幅×全高:2,833×1,554×1,464mmシート高:755mm軸距:1,714mm最低地上高:115mm車両重量:464kgエンジンタイプ:水冷4ストローク3気筒総排気量:1330 cc内径×行程:84 x 80 mm最高出力:115 hp (85.8 kW) /7250 rpm最大トルク:130.1Nm(96 lb-ft.) /5000rpm始動方式:セルフ式トランスミッション:リバース機能付きセミオートマチック、6速燃料タンク容量:26.5 Lタイヤ:前 MC165/55R15 55H、後 MC225/50R15 76Hブレーキ形式:前後 油圧式ディスク懸架方式:前 アンチロールバー付きダブルAアーム、後 スイングアーム乗車定員:2名
■メーカー希望小売価格:426万3600円 (消費税10%込)
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