現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【奥が深いタミヤの世界】驚異のこだわり 情熱は衰えず 後編

ここから本文です

【奥が深いタミヤの世界】驚異のこだわり 情熱は衰えず 後編

掲載 更新 7
【奥が深いタミヤの世界】驚異のこだわり 情熱は衰えず 後編

情熱は戦車にも 偶然の産物

そして、田宮俊作の情熱は戦車にも向かっている。

【画像】奥深きタミヤの世界 全8枚

かつて彼は米国陸軍兵器博物館で、ドイツ軍のパンター戦車の下に潜り込んでまで、下回りの詳細な写真撮影を行っており、英国ボービントンにある戦車博物館では、タイガー戦車の細かなところまで写真を撮影しようと夜中まで粘ったこともある。

さらに、タミヤではポルシェ911の精巧なプラモデルを作るために実車を購入し、すべての詳細をチェックすべく社内で分解を行ったことがあった。

だが、その後ふたたび組み立てることができる人間が社内にはいなかったため、ポルシェ・ジャパンからあきれ返ったメカニックを呼ぶハメになっている。

タミヤがプラモデルからR/Cモデルの世界へと足を踏み入れたのはほとんど偶然の産物だった。

ある日のランチタイム、滝文人というひとりのデザイナーが電動R/Cカーを走らせているのに田宮俊作は気が付いた。

滝が走らせていたのは、タミヤのF1マシンのプラモデルに、バッテリー式電動シャシーを組み合わせたものだったが、それこそ田宮俊作が探し求めていたものだったのだ。

タミヤ初のR/Cモデルは、1974年発売のシャーマン戦車であり、滝に刺激を受けて登場した初のR/Cカーは1976年のポルシェ934だった。

リアル・オフロードR/Cカー

だが、このポルシェのボディは専門家から絶賛されていたプラモデルをベースにしていたものの、販売面では決して成功したとは言えなかった。

R/Cカーとして世界で初めて実車と同じボディを再現することに成功していた一方、多くの改善点が残されていたのだ。

R/Cカーとしてはボディがあまりにも壊れやすく、非充電式の乾式バッテリーはパフォーマンスの面でも、寿命でも満足出来るものではなかった。

それでも、このR/Cカーはスマッシュヒットとなり、その後はさらに頑丈な一体成型のボディが登場している。

1970年代から1980年代にかけて登場したR/C専用モデルは、まだ免許の取れないクルマ好きの情熱に火をつけた、まさにアイコンと呼ぶべき存在だった。

そんな1台がサンドスコーチャーであり、ビンガーによれば、バハ・バグの1/10サイズのレプリカであるこのモデルによって、タミヤ製R/Cモデルのフォーマットが完成したと言う。

初のリアル・オフロードR/Cカーであり、実際のバハ・バグを模したシャシーと、シールドギアボックス、オイルが充填されたディフェレンシャルを備え、ボディは一体成型されたABS樹脂製だった。

一旦はタミヤのラインナップから姿を消したものの、その後再び登場したことで、当時このモデルを手に入れることの出来なかったひとびとを喜ばせている。

番外編1:最初はプラモデルから

誰もが何かでスタートするのであり、伝説的なF1デザイナー、エイドリアン・ニューウェイの場合、それはタミヤのホンダRA273 V12 F1だった。

「父は獣医師だったのですが、自分のクルマの面倒は自分でみていました。さらには熱心なオモチャ好きでもあったのです」と、彼は言う。

「最初のプラモデルを作ったのは9歳のときでした。タミヤから出ていたホンダのF1カーです。父にも助けてもらいました。2台目がロータス49でしたが、おそらくこちらの方がより大きな影響をもたらしたのだと思います。フロントアップライトとか、アッパーウィッシュボーンといった風に、すべてのパーツに表示がしてあったので、専門用語を学ぶことが出来ました」

「このモデルを作ることで、どんな風にF1マシンが構成されているのか理解することができました。エンジンやモノコック、ギアボックスといったすべてのパーツが実際のマシンを再現しています」

「サスペンションやステアリングを実際に動かすことが出来るため、どんな風にサスペンションが作動するかも学ぶことが出来ます。11歳の頃には自らデザインスケッチを行い、父の道具を使って実際に作ってみるようになっていました」

「小さなアルミニウム片やラミネートしたグラスファイバーで作るのですが、エンジンやホイールといった自作出来ないパーツは、タミヤのモデルから部品を調達していました」

「そうやって知識を増やしていったのです。昔から言われているように、何かの専門家になるには最低でも500時間は費やす必要がありますが、自分でも意識しないままそれを実践していたのです」

番外編2:タミヤ製R/Cモデルのアイコンたち

サンドスコーチャー

タミヤが初めて実車の1/10サイズで送り出したR/Cカーだ。

独創的なだけでなく、技術的にも目を見張るものがあり、スイングアーム式サスペンションはオリジナルのフォルクスワーゲン・バグを見事に再現していた。

ランチボックス

奇妙な姿をしたランチボックスが登場した1987年当時、バンは英国ではほとんど知られていなかったが、このモデルがその状況を変えている。

このR/Cカーには、コンスタントにボリューム調整可能なCVAと呼ばれるダンパーが採用されていた。

アバンテ

これはよりシリアスなモデルだ。

決してビギナー向けとは言えないアバンテは、強固なアルミニウムとグラスファイバーで構成されたレース用モデルとして開発されている。

サスペンションはトーとキャンバー角の調整が可能であり、オイルが充填された調整式ショックアブソーバーを採用していた。

ホーネット

1/10サイズのホーネットはタミヤ史上もっとも成功したR/Cカーの1台だ。

1984年に最初に登場すると、2駆のオフロードバギー市場をけん引している。

こんな記事も読まれています

連勝目前の宮田莉朋組にまさかの悲劇。濱口弘組ランボルギーニは再びLMGT3表彰台に/ELMS第2戦
連勝目前の宮田莉朋組にまさかの悲劇。濱口弘組ランボルギーニは再びLMGT3表彰台に/ELMS第2戦
AUTOSPORT web
【トライアンフ】5/19開催のチャリティイベント「DGR」およびパレードランへの参加方法について
【トライアンフ】5/19開催のチャリティイベント「DGR」およびパレードランへの参加方法について
バイクブロス
BMW ベンツ アウディ VW……売れてるのは分かるけど「なんか下駄履かされてないか問題」を考える
BMW ベンツ アウディ VW……売れてるのは分かるけど「なんか下駄履かされてないか問題」を考える
ベストカーWeb
【試乗】メルセデスのスーパースポーツが4WD+4WSでさらに激速に生まれ変わった! AMG GTクーペをサーキットで全開走行
【試乗】メルセデスのスーパースポーツが4WD+4WSでさらに激速に生まれ変わった! AMG GTクーペをサーキットで全開走行
WEB CARTOP
宇都宮ナンバーの2階建てバス「エアロキング」高速バスからついに引退 関東自動車「とちの木号」
宇都宮ナンバーの2階建てバス「エアロキング」高速バスからついに引退 関東自動車「とちの木号」
乗りものニュース
【F1第6戦マイアミGP決勝の要点】ノリス初優勝の要因はセーフティカーのみならず。健闘を支えたアップデート
【F1第6戦マイアミGP決勝の要点】ノリス初優勝の要因はセーフティカーのみならず。健闘を支えたアップデート
AUTOSPORT web
ハイブリッドやEVの「回生」はムダに捨ててたエネルギーを拾う行為! 燃費や電費が伸びる仕組みを改めて解説する
ハイブリッドやEVの「回生」はムダに捨ててたエネルギーを拾う行為! 燃費や電費が伸びる仕組みを改めて解説する
WEB CARTOP
「EVとFCEV、どっちを買う?」気になるアンケート結果は【クルマら部 車論調査】
「EVとFCEV、どっちを買う?」気になるアンケート結果は【クルマら部 車論調査】
レスポンス
【F1分析】マイアミ7位入賞角田裕毅、”ステイアウト”戦略を検証する。セーフティカーがなくても上位を狙えたはず?
【F1分析】マイアミ7位入賞角田裕毅、”ステイアウト”戦略を検証する。セーフティカーがなくても上位を狙えたはず?
motorsport.com 日本版
【ポイントランキング】2024年F1第6戦マイアミGP終了時点
【ポイントランキング】2024年F1第6戦マイアミGP終了時点
AUTOSPORT web
北近畿豊岡道「2024年秋」延伸へ 街ウラに新たな終点「豊岡出石IC」を設置 その整備効果は?
北近畿豊岡道「2024年秋」延伸へ 街ウラに新たな終点「豊岡出石IC」を設置 その整備効果は?
乗りものニュース
【MotoGP】ドゥカティの“赤服”を来年着るのは誰? マルケス、マルティンそしてバスティアニーニ……ファクトリーの1席を巡る争いの重要ポイント『金・速さ・スポンサー』
【MotoGP】ドゥカティの“赤服”を来年着るのは誰? マルケス、マルティンそしてバスティアニーニ……ファクトリーの1席を巡る争いの重要ポイント『金・速さ・スポンサー』
motorsport.com 日本版
人気のクーペSUV メルセデス・ベンツ新型「GLCクーペ」にPHEV「GLC350eクーペ」登場 EV走行距離は118km
人気のクーペSUV メルセデス・ベンツ新型「GLCクーペ」にPHEV「GLC350eクーペ」登場 EV走行距離は118km
VAGUE
個性の塊ココにあり!16回目を迎えたモンキーミーティングに初潜入!~小野木里奈の○○○○○日和~
個性の塊ココにあり!16回目を迎えたモンキーミーティングに初潜入!~小野木里奈の○○○○○日和~
バイクのニュース
なつかしの日産ヤングタイマー3台!「シルビア」「プリメーラ」「フィガロ」は令和のいま「エモい」クルマとして再評価されています
なつかしの日産ヤングタイマー3台!「シルビア」「プリメーラ」「フィガロ」は令和のいま「エモい」クルマとして再評価されています
Auto Messe Web
フェラーリの敗因は”水晶玉”を忘れたから? サインツJr.、間の悪いセーフティカー悔やむ「ピットストップをあと1周遅らせれば勝てた」
フェラーリの敗因は”水晶玉”を忘れたから? サインツJr.、間の悪いセーフティカー悔やむ「ピットストップをあと1周遅らせれば勝てた」
motorsport.com 日本版
GB350をシングルシート風のカフェスタイルにしたい!しかもボルトオンで簡単に!  
GB350をシングルシート風のカフェスタイルにしたい!しかもボルトオンで簡単に!  
モーサイ
1988年、新世代のマシンが登場。よりハイレベルに【グループレースクロニクル1985-1993 JTC9年間の軌跡(5)】
1988年、新世代のマシンが登場。よりハイレベルに【グループレースクロニクル1985-1993 JTC9年間の軌跡(5)】
Webモーターマガジン

みんなのコメント

7件
  • タミヤ模型の仕事

    田宮俊作さんの著書を丸まんま引用しただけで記事でも感想でもましてや取材でもなんでもない。
    もうちょっと頭と足を使って少しはマシな書き物でもしなよ。
    三流ライターさんよ。
  • タミヤのプラモデルは他のメーカーよりもリアルさを追求していたと子供心にも思った。

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村