情熱は戦車にも 偶然の産物
そして、田宮俊作の情熱は戦車にも向かっている。
かつて彼は米国陸軍兵器博物館で、ドイツ軍のパンター戦車の下に潜り込んでまで、下回りの詳細な写真撮影を行っており、英国ボービントンにある戦車博物館では、タイガー戦車の細かなところまで写真を撮影しようと夜中まで粘ったこともある。
さらに、タミヤではポルシェ911の精巧なプラモデルを作るために実車を購入し、すべての詳細をチェックすべく社内で分解を行ったことがあった。
だが、その後ふたたび組み立てることができる人間が社内にはいなかったため、ポルシェ・ジャパンからあきれ返ったメカニックを呼ぶハメになっている。
タミヤがプラモデルからR/Cモデルの世界へと足を踏み入れたのはほとんど偶然の産物だった。
ある日のランチタイム、滝文人というひとりのデザイナーが電動R/Cカーを走らせているのに田宮俊作は気が付いた。
滝が走らせていたのは、タミヤのF1マシンのプラモデルに、バッテリー式電動シャシーを組み合わせたものだったが、それこそ田宮俊作が探し求めていたものだったのだ。
タミヤ初のR/Cモデルは、1974年発売のシャーマン戦車であり、滝に刺激を受けて登場した初のR/Cカーは1976年のポルシェ934だった。
リアル・オフロードR/Cカー
だが、このポルシェのボディは専門家から絶賛されていたプラモデルをベースにしていたものの、販売面では決して成功したとは言えなかった。
R/Cカーとして世界で初めて実車と同じボディを再現することに成功していた一方、多くの改善点が残されていたのだ。
R/Cカーとしてはボディがあまりにも壊れやすく、非充電式の乾式バッテリーはパフォーマンスの面でも、寿命でも満足出来るものではなかった。
それでも、このR/Cカーはスマッシュヒットとなり、その後はさらに頑丈な一体成型のボディが登場している。
1970年代から1980年代にかけて登場したR/C専用モデルは、まだ免許の取れないクルマ好きの情熱に火をつけた、まさにアイコンと呼ぶべき存在だった。
そんな1台がサンドスコーチャーであり、ビンガーによれば、バハ・バグの1/10サイズのレプリカであるこのモデルによって、タミヤ製R/Cモデルのフォーマットが完成したと言う。
初のリアル・オフロードR/Cカーであり、実際のバハ・バグを模したシャシーと、シールドギアボックス、オイルが充填されたディフェレンシャルを備え、ボディは一体成型されたABS樹脂製だった。
一旦はタミヤのラインナップから姿を消したものの、その後再び登場したことで、当時このモデルを手に入れることの出来なかったひとびとを喜ばせている。
番外編1:最初はプラモデルから
誰もが何かでスタートするのであり、伝説的なF1デザイナー、エイドリアン・ニューウェイの場合、それはタミヤのホンダRA273 V12 F1だった。
「父は獣医師だったのですが、自分のクルマの面倒は自分でみていました。さらには熱心なオモチャ好きでもあったのです」と、彼は言う。
「最初のプラモデルを作ったのは9歳のときでした。タミヤから出ていたホンダのF1カーです。父にも助けてもらいました。2台目がロータス49でしたが、おそらくこちらの方がより大きな影響をもたらしたのだと思います。フロントアップライトとか、アッパーウィッシュボーンといった風に、すべてのパーツに表示がしてあったので、専門用語を学ぶことが出来ました」
「このモデルを作ることで、どんな風にF1マシンが構成されているのか理解することができました。エンジンやモノコック、ギアボックスといったすべてのパーツが実際のマシンを再現しています」
「サスペンションやステアリングを実際に動かすことが出来るため、どんな風にサスペンションが作動するかも学ぶことが出来ます。11歳の頃には自らデザインスケッチを行い、父の道具を使って実際に作ってみるようになっていました」
「小さなアルミニウム片やラミネートしたグラスファイバーで作るのですが、エンジンやホイールといった自作出来ないパーツは、タミヤのモデルから部品を調達していました」
「そうやって知識を増やしていったのです。昔から言われているように、何かの専門家になるには最低でも500時間は費やす必要がありますが、自分でも意識しないままそれを実践していたのです」
番外編2:タミヤ製R/Cモデルのアイコンたち
サンドスコーチャー
タミヤが初めて実車の1/10サイズで送り出したR/Cカーだ。
独創的なだけでなく、技術的にも目を見張るものがあり、スイングアーム式サスペンションはオリジナルのフォルクスワーゲン・バグを見事に再現していた。
ランチボックス
奇妙な姿をしたランチボックスが登場した1987年当時、バンは英国ではほとんど知られていなかったが、このモデルがその状況を変えている。
このR/Cカーには、コンスタントにボリューム調整可能なCVAと呼ばれるダンパーが採用されていた。
アバンテ
これはよりシリアスなモデルだ。
決してビギナー向けとは言えないアバンテは、強固なアルミニウムとグラスファイバーで構成されたレース用モデルとして開発されている。
サスペンションはトーとキャンバー角の調整が可能であり、オイルが充填された調整式ショックアブソーバーを採用していた。
ホーネット
1/10サイズのホーネットはタミヤ史上もっとも成功したR/Cカーの1台だ。
1984年に最初に登場すると、2駆のオフロードバギー市場をけん引している。
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
みんなのコメント
田宮俊作さんの著書を丸まんま引用しただけで記事でも感想でもましてや取材でもなんでもない。
もうちょっと頭と足を使って少しはマシな書き物でもしなよ。
三流ライターさんよ。