新型は、まるでスポーツカー! 速くしかも環境性能抜群
新型プリウスPHEV(460万円)を、クローズドコースで試乗した。歴代PHEVについてざっと振り返っておこう。2011年に3代目プリウスに初設定されたときは、単にHVのバッテリー容量を増やして充電できるようにしたという印象。走りは重々しく、あまり褒められたものではなかった。
新型トヨタ・プリウスのプラグインハイブリッドモデルが発売。車両価格は460万円に設定
2017年デビューの第2世代になると、視覚面や装備面でHVとの差別化が図られるとともに、走りもずいぶん洗練され、重量増の影響をそれほど感じさせない仕上がりになった。
今回、試乗会場には第2世代も用意され、新旧の乗り比べができた。新型が別物に進化していることは明らかである。2世代目もなかなかの完成度と記憶していたのだが、最新モデルは率直に、走らせて気持ちいい。まるで乗用車とスポーツカーぐらいに違う。
まず、アクセルレスポンスが圧倒的に俊敏で力強い。新型は「速さ」を実感できるほどになっている。0→100km/h加速タイムは6.7秒という。なるほど速いわけだ。今度のPHEVは、プリウスのハイパフォーマンスモデルというポジショニングである。システム出力は223ps。それでいてEV走行可能距離は、試乗車の19インチタイヤ装着車で87km、17インチタイヤだと105kmを達成。WLTCモード燃費も19インチ車で26km/リッター、17インチ車では30.1km/リッターに達する。速さも環境性能も超一級。さすがである。
新型はPHEVが主役かもしれない。それほど完成度が高い!
新型は電動車感が一段と強い。EVモードを選び、80km/h程度で走行、そこからアクセルを踏み込んでみた。現行型はあるところでエンジンがかかるのに対し、新型はEVのまま粘って相当のスピードまでモーターのまま走行する。
HVモードではどちらも適宜エンジンがかかるが、新型はそのタイミングや聞こえる音質が心地よい設定になっていた。煩わしく感じることがない。第2世代はエンジンが掛かるたびにちょっと残念な気がしたが、新型は自然な印象だ。
攻めた走りにトライしても、差は歴然。旧型は腰高感があるうえに、操舵に対して位相遅れが見受けられる。対する新型は、低重心化とワイドトレッドが利いて、姿勢変化が小さく、踏ん張り感がある。しかもフロントを中心にボディ剛性を高めたり、ステアリングコラム径を拡大したことの効果で、微小な領域から正確に遅れなく応答するようになっている。ステアリングには、しっかりとした手応えがあり、路面をつかむ感覚が伝わってくる。まさにドライバーズカーだ。
ストレートに設けられたスラローム区間では差が一段と顕著に現れた。新型は駆動用バッテリーが車体の中央寄りの低い位置に移設された効果で、揺り返しが気にならなくなっている。
新システムを採用したブレーキも好印象。これまでにも増してリニアで違和感がない。もともとトヨタの回生ブレーキの作り込みは世界トップレベルで巧いと感じていたが、新型のフィールはさらによくなっている。欲をいうと、もう少し剛性感が増すと完璧である。
新型はPHEVとしての諸々の実力が高まったのに加えて、そのままずっと走っていたくなるほど走りが爽快で気持ちがいい。実に魅力的だ。これまではプリウス全体におけるPHEVの販売比率は1割に満たなかったという。新型では一気に跳ね上がりそうな気がする。
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