愛車を見せてもらえば、その人の人生が見えてくる。気になる人のクルマに隠されたエピソードをたずねるシリーズ第24回の前編。俳優の豊原功補さんが、かつて乗っていた日産「スカイライン」(5代目)に、久しぶりの対面!
初マイカーは“ジャパン”
横浜のみなとみらい地区に位置する日産自動車のグローバル本社、そのモダンで清潔な印象の車寄せに、1台のクルマが入ってきた。
この様子を腕組みしながら見守っていた俳優の豊原功補さんは、「これですよ、これ」と言いながら、力強くうなずいた。
豊原さんの視線の先にあるのは、1977年にデビューした5代目の日産スカイラインだ。当時の日産の開発者、櫻井眞一郎が「日本の風土が生んだ日本の名車」を目指したことから、広告には「SKYLINE JAPAN」というキャッチコピーが使われた。この型のスカイラインが、“ジャパン”の愛称で親しまれているのにはそんな理由がある。
豊原さんは、外装からインテリアまで、微に入り細に入りジャパンを確認しながら、「これが僕にとって、人生初の愛車なんですよ」と振り返った。
「義理の兄がジャパンに乗っていたんですけど、別のクルマに乗り換えるタイミングだったのかな? ちょうど僕が18歳で免許を取得したので、譲ってくれることになったんです。18歳ということは、1983年か……。ホントはタダでもいいんだけど、一応お金のやりとりがあったほうがいいでしょうとなり、細かいところも整備してもらって、合計10万円で譲ってもらいました。これは2ドアのハードトップでマニュアル(トランスミッション)ですけど、僕のジャパンは4ドアセダンのオートマ、ボディカラーはきれいなブルーでした」
1980年代に、免許を取ったばかりの18歳の青年がスカイラインに乗るというのは、珍しかったのではないかと、話を振ると、豊原さんは首を横に振った。
「スーパーカー世代なんですが、あの頃はそれほどクルマに興味があったわけじゃなく、ジャパンのありがたみはわかっていなかったんですね。だから自分のクルマを運転することで大人になった実感は湧きましたが、いいクルマに乗っている意識はなかった。まわりの人から指摘されてはじめて認識するようになりましたね。その頃はすでに俳優の仕事をしていて、青いスカイラインで撮影現場に入ったり、ロケバスの後を付いていくと“ブルー・サンダーが来た!”と指さされて言われたり(笑)」
運転席に座って内装を眺めているうちに、豊原さんの脳裏に多感だったあの頃の思い出がいくつも蘇ってきたようだ。
「そうそう、オーディオはカセット(テープ)で、ジャニス・ジョプリンや、R&B、モータウンが好きでよく聴いたなぁ。窓を閉め切って、大声でセリフの練習をしたのもいい思い出です。結局、ジャパンには24歳になるぐらいまで乗りましたね」
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「当時、まだ余裕はなかったけれど、俳優業を続けるうちに、半年後までは仕事があるな、とか、1年くらいは大丈夫かな、と少しだけ先が見えるようになっていました。そんなタイミングで、大沢商会という自動車ディーラーで取材を受ける仕事があったんです。当時、大沢商会では、アルファ・ロメオを扱っていて、ショールームに『スパイダー』が飾ってありました。ひと目見て、惚れちゃったっていう感じ。でも高いんだろうな、と、躊躇していたら、お店の人が最長のローンを組んでくれたんです。ボディカラーは黒で、左ハンドルのマニュアル(トランスミッション)でした」
仕事でもプライベートでも、どこへ行くにも豊原さんはこのアルファロメオのスパイダーと一緒だったという。
「やっぱり開放感が最大の魅力ですからね、夏の直射日光は暑いから幌を閉めちゃうけれど、真夏以外はずっと幌を開けて走っていました。桜の時期は花びら、紅葉の季節は落ち葉が車内に入ってくるんです。家にいた猫が爪を立てて破いてしまったシートを自分で補修したり、ビニール製だから曇ってしまうリヤウインドウを磨いたり、手を掛けました。東急ハンズですごくいい液剤を見つけて、それを塗って拭くとビニールが透明に戻って、あのときはうれしかったなぁ……」
アルファロメオ・スパイダーについて語る豊原さんが、とても楽しそうなのが印象的だ。
「俳優業とか、バンド活動とか、人生のなかでも何も怖くないと突っ走っていた時期と重なるから、楽しかった思い出になるんでしょうね。24歳ということは1989年か──。あの頃の日本は景気がよくて、周囲はもっと派手なクルマに乗っていました。運転手さん付きのクルマで現場に入る俳優もいたし、アルファロメオのスパイダーはカジュアルにも見えるから特に目立つ感じじゃないのもよかったですね。偉そうに見えないですよね、だって自分で運転しているんだもん(笑)」
1980年代のアルファ・ロメオと聞くと、トラブルが多いというイメージがあるけれど、豊原さんのスパイダーは故障と無縁だったという。
「パワーウインドウとか電装系の細かい不具合はありましたけれど、止まっちゃうとかは一度もありませんでした。たまたまなんですけど近所にアルファロメオ専門の整備工場があって、多分そこがしっかり面倒を見てくれていたんだと思います」
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「結局、スパイダーには10年乗りました。でも、結婚して子どもができると、2シーターはキツいんですよね。もうひとつ、30歳を過ぎて事務所から独立したこともあって、別にスパイダーに乗って浮かれていたわけではないけれど、いろいろと生活スタイルを変えなくてはいけないことも多くて、ボルボ『940』のワゴン(エステート)を買いました。緑色の中古で、200万円もしなかったんじゃないかな」
豊原さんは手放すことになったアルファロメオ・スパイダーについて、「いまだに未練たらたらです」と、苦笑する。
「実は、最後まで粘ってアルファスパイダーも持っていたんですが、全然乗らなくなってしまって、そんな乗らないクルマを所有するような贅沢もできないし、車も可哀想だから手放すことにしたんです。でも、いつか絶対に買い戻してやると思ったし、実はいまも机の引き出しの中にはアルファロメオのキーホルダーが残っています(笑)。街でスパイダーを見かけると、つい目で追ってしまいますね。それから内装を覗いて、『なんだ、オートマかよ』って独り言をつぶやいたり」
アルファロメオ・スパイダーへの想いは断ち切りたかったものの、ボルボ940エステートは豊原さんの生活に欠かせない存在となる。「7年ぐらいは乗ったかな」とおっしゃっているので、それなりに気に入っていたのだ。
ところがそんなある日、40歳を迎えた豊原さんは、仕事帰りにとある自動車メーカーのショールームの前を通りがかってしまう──続きは後編で。
豊原功補(とよはらこうすけ)1965年9月25日生まれ、東京都出身。16歳で芸能界デビュー。代表作品は、NHK大河ドラマ『平清盛』、映画『南極料理人』など。2007年に公開された映画『受験のシンデレラ』で、『モナコ国際映画祭』最優秀主演男優賞を受賞。出演した映画『福田村事件』が、2023年9月1日(金)に『キリエのうた』が10月3日(金)に公開される。
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文・サトータケシ 写真・加藤純平 スタイリスト・亘つぐみ@TW ヘア&メイク・RYO 編集・稲垣邦康(GQ)
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