2021年までメルセデスのドライバーとしてF1を戦い、現在はステークF1に所属するバルテリ・ボッタスは、ルイス・ハミルトンがフェラーリ移籍を決めたことについて尋ねられた際、メルセデスに復帰することを考える可能性がまったくないとまでは言えないと認めつつも、最優先はアウディとの契約を結ぶことだと語った。
ハミルトンが今季限りでメルセデスを離れ、来季からフェラーリに移籍するという発表は、驚きを持って迎えられた。このハミルトンの決断により、2025年のF1ドライバー移籍市場は、一気に活気を帯びる格好となった。
■衝撃のハミルトン離脱、メルセデスが取れる選択肢は? 2025年のドライバーラインアップを考える
ステークF1のボッタスは、ハミルトンのチームメイトとして2017年から2021年にかけてメルセデスのF1マシンをドライブした。しかしチームは、2022年からジョージ・ラッセルを起用することを決断。ボッタスはアルファロメオに移籍することとなり、そのアルファロメオは今季からステークF1としてF1を戦っていくことになる。いずれもチームの母体はザウバーである。
ハミルトンが抜けるということは、メルセデスは来季以降のラッセルのチームメイトを早急に探さねばならないということを意味する。しかし、ハミルトンの発表の直前には、シャルル・ルクレールがフェラーリと、ランド・ノリスがマクラーレンとそれぞれ契約を延長することを決めており、メルセデスの選択肢も狭まりつつある。
ボッタスが現在所属するザウバーは、2026年からF1に新規参入するアウディのワークスチームとなることが決定しているため、兼ねてからボッタスはこのアウディのワークスマシンに乗ることを熱望してきた。そういう経緯もあるため、ボッタスはメルセデスに”戻りたい”と明言するまでには至らなかったが、その可能性については「人間関係が壊れたわけじゃない」と、含みを持たせた。
「正直に言って、僕は数日前にブラックリー(メルセデスF1のファクトリーがある街)にいたんだ」
ハミルトンのフェラーリ移籍が発表される前、ボッタスはインスタグラムのストーリーに、ブラックリーにいることを投稿していたが、それに触れながらそう語った。その投稿は、メルセデスのファクトリーと近いことから、F1ファンの間で話題となった。
「メルセデスのファクトリーに行ったわけじゃないよ。他の仕事で行ったんだ。トト(ウルフ/メルセデスF1のチーム代表)とは話してないしね」
「でももし(メルセデスに)戻るとしたら……そうだね……僕の最優先事項であり、最も集中しているのは、目標としているアウディのプロジェクトに加わることだ」
「でももしそれが叶わなかったとしても、行きたくないというチームはないよ。僕は優先順位を分かっているつもりだしね」
ステークF1の2024年用ニューマシンC44の発表会で、ハミルトンの移籍について尋ねられたボッタスは「そんなことが本当に起きるとは思っていなかった」と語り、今回の展開は「驚きだった」と明かした。
「でも、彼にとっては良いことだと思う。すごいチャンスだし、すごい移籍だ。そして明らかに、彼自身が決断を下したんだからね」
「彼の移籍については、僕も嬉しく思っている。それが2025年に向けて、移籍市場を活性化させるのは間違いない。現時点でどんな結末になるのか、それを予測するのは非常に難しいね」
「こんなことが起きるとは想像もしていなかった。タイミングも驚きだった。でも彼にとっては良いことだと思うよ」
「素晴らしい挑戦だと思う。彼からしてみれば、フェラーリを頂点に導くということは、大きなモチベーションになるだろうと確信している」
「ある意味格好良いことだし、間違いなく将来に向けて何らかのムーブメントを生み出すだろう。だからF1全体にとっても、一部のドライバーにとっても、間違いなくいいことだったんじゃないかな」
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