VW ID.3やルノー・メガーヌ Eテックの競合
電動ハッチバックのドルフィンは、英国で攻勢をかけるBYDによる、アット3の次の一手。競合モデルは、フォルクスワーゲンID.3やルノー・メガーヌ Eテック・エレクトリックなど。ミドルクラス・サルーンのシールとの3台構成で、シェア獲得を狙う。
【画像】426kmの航続距離は印象的 BYDドルフィン・コンフォート 競合サイズのEVは? 全151枚
BYDは、ラインナップをオーシャンシリーズと銘打つ。海洋生物の美しさから影響を受けたスタイリングを特徴とするが、ドルフィンはあまり有機的なカタチではない。落ち着いたボディカラーの場合、控えめでまとまりが良い。
塗装色の選択肢は幅広く、ピンクやパープルなども指定可能。BYDは価格ではなく、見た目や特徴を気に入って欲しいと考えている。
ドルフィンが基礎骨格とするのは、BYDのe-プラットフォーム3.0と呼ばれるもの。自社で製造する、ブレード状のリン酸鉄リチウム・バッテリーがフロア下に敷かれる。容量は、44.9kWhか60.4kWhを選択できる。
アクティブとブースト・グレードの場合、駆動用バッテリーは小さい方が載る。コンフォートとデザイン・グレードには、大きい方が載る。急速充電は、前者で最大65kW、後者でも最大88kWと速くはない。
最もお手頃なのは、95psのアクティブ。航続距離は339kmで、0-100km/h加速は12.3秒がうたわれる。英国価格は2万6195ポンド(約503万円)で、コスパは高い。
60.4kWhの駆動用バッテリーが載る、トップグレードのデザインは3万1695ポンド(約609万円)。基本装備が優れるため、安価なグレードの方がベターだろう。
見た目以上に広い車内 実用性には優れる
コンパクトなドルフィンだが、運転席へ座ってみると、見た目以上に車内にはゆとりがある。ランバーサポートの張りが弱いものの、パワーシートの調整域が広く、自然な運転姿勢を探しやすい。
小物入れが各所にあり、使い勝手は良さそう。ドアパネル側の収納も大きい。ダッシュボード中央のトレイは、スマートフォンやサングラスを置くのに丁度いい。USB-Cポートの場所も、ちゃんと練られている。
インテリアデザインは、アット3ほど個性的ではない。ドアパネルの上部など、触れる部分はソフト加工されている。樹脂の科学的な匂いが、やや強めに残っていた。
ダッシュボード中央には、縦・横に向きを変えられる12.8インチのタッチモニター。表示はクリアで、反応もスピーディだ。スマートフォンとの連携は可能だが、モニターが横向きの時に限られ、有線のみとなる。
インフォテイメント・システムは、サブメニューへ別れすぎていて、大画面を活用できていないかも。運転中では、アイコンが小さくエアコンの温度調整がしにくい。不要時に運転支援システムをオフにするのも、サブメニューを掘り下げる必要がある。
後席側の空間は、身長が180cmある大人でも不満ないほど広い。荷室容量は、このクラスでは大きめの345L。床面の高さを調整できるのも評価したい。実用性は高いと思う。
動力性能に不満なし 運転の楽しさは高くない
今回は複数のドルフィンへ試乗したが、ブースト・グレードのフロントに載る149psの駆動用モーターは、このクラスのハッチバックへ期待通りのパワー感。アクセルペダルを急に踏むと、フロントタイヤが受け止めきれない瞬間はあるが。
コンフォートとデザインには、アット3と同じ203psのモーターが載る。同じ馬力でも車重が軽いため、ドルフィンの方が走りは軽快。0-100km/h加速は7.0秒でこなす。そのかわり、フロントタイヤのトラクションが失われる場面も多くなる。
カーブで積極的にアクセルペダルへ力を込めると、トラクション・コントロールがしばしば介入する。だが、アット3よりトルクステアは小さい。余程気張って運転しない限り、マナーが乱れることはないはず。
アクセルオフ時の回生ブレーキは、最も強い状態にしても効きは弱め。ブレーキペダルの感触は柔らかく、どの程度踏むべきか判断が少し難しいと感じた。
乗り心地は、リンロン・コンフォートマスター・タイヤのサイドウォールが薄いこともあり、細かな入力の吸収性はさほど良くない。流れの速い幹線道路では、舗装の剥がれた穴や隆起部分で安定性へ影響が出てしまう。
ステアリングホイールは軽く回せるが、情報量は希薄。高速道路で不安を感じるほどではないものの、反応はおっとり気味だ。
サスペンションはソフト指向だから、姿勢制御はタイトではない。カーブの途中にある凹凸は苦手といえ、若干の浮遊感を伴う。運転の楽しさは期待しない方が良いだろう。
装備充実 英国ではMG 4をコスパで超えない
英国仕様の装備は充実しており、すべてのグレードで高効率なヒートポンプ式エアコンと、360度カメラ、アダプティブ・クルーズコントロールを含む運転支援システムが備わる。駆動用バッテリーからの給電機能も付いてくる。
新車保証は、最大6年間か15万kmまで対応。パワートレインは、8年間か20万kmまで保証される。ただし、英国にはMG 4という強敵がいる。価格は近似し、航続距離はより長いのだ。
かくして、この価格で426kmの航続距離は印象的なものながら、ドルフィンの競争力は、そこまで高いとはいえないだろう。普段使いの走りは悪くなく、車内は居心地が良いものの、未完成な部分もチラホラ存在する。
制限速度の範囲内なら、市街地でも高速道路でも運転はしやすい。実用性も低くない。しかし、車載技術やインテリアの質感、運転体験などは期待に届いていない。英国の場合、総合的なコスパでMG 4を超えてはいない。
◯:ソフト指向なサスペンション 広々としていて実用的な車内 低価格の割に航続距離が長い
△:インフォテイメント・システムのユーザーインターフェース 車内の科学的な匂い やや落ち着かない乗り心地 おっとり気味のステアリング
BYDドルフィン・コンフォート(英国仕様)のスペック
英国価格:3万195ポンド(約579万円)
全長:4290mm
全幅:1770mm
全高:1570mm
最高速度:160km/h
0-100km/h加速:7.0秒
航続距離:426km
電費:7.0km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1658kg
パワートレイン:AC非同期モーター
駆動用バッテリー:60.4kWh
急速充電能力:88kW
最高出力:203ps
最大トルク:29.5kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)
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みんなのコメント
サスのアーム類は昭和のブリキ細工以下でしょ
こんなので楽しく走ろうなどと思ってはいけない車
引っ張ったみたいなテールランプのデザインが
目立つけど、この形状は見飽きた。
しかもLEDならデザインの自由があるからと
中に寄生虫でも入ってるのかと思わせるような
ウネウネとしたデザインのブレーキランプは
マジで最悪。