倒立フォークを採用してスポーティに進化したYZF-R25に続き、兄貴分のR3も進化を遂げて国内デビューを果たした。さらにゆとりを増した42PSエンジンと軽量な車体の組み合わせが生み出すパフォーマンスの真価を、さっそく試乗チェックしてみよう。
扱いやすさも大きく増し排気量アップの効果を実感
YZFーR25のマイナーチェンジに続き、兄弟車であるYZF-R3にも新型が登場。
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前モデルで高く評価されていたエンジンやフレームといった基本コンポーネンツは受け継がれているが、フロントフォークを倒立タイプに変更し、22mm低いハンドルの採用や、モトGPマシン・YZR-M1を彷彿とさせる外装デザインとするなど、変更箇所はR25と同様だ。
なお、R25はABSの有無を選べるが、R3はABS付きのみの設定となっている。
最初にFSW(富士スピードウエイ)で試乗したが、タイムアタック一歩手前のハイペースでも車体の剛性不足は感じない。
FSWには6速全開から2速まで落とすコーナーが2カ所あり、前モデルではフルブレーキングでフロントフォークが一気に沈むためコーナーアプローチに気を使ったが、新型はストロークの奥でグッと踏ん張ってブレーキング中もABS介入時も姿勢変化が穏やか。
併せてブレーキを残したままの寝かし込みやS字区間での急激な切り返しでの路面追従性も高まっている。
前後のグリップ状態も感じ取りやすいが、これはラジアルタイヤ(ダンロップGPR-300)の特性と車体がうまくマッチしていることも要因だろう。
結果、サーキットライディングも不安なく楽しめる。
スポーツ性と市街地での扱いやすさ、乗り心地はトレードオフになりがちだが、R3はハンドル位置が下がったことで体重が掛かりやすくなり、30km/h程度までは前モデルよりしっとりした動き。
そしてクルージング速度域になると新型R25と同様に軽快なハンドリングになる。
市街地での乗り心地は前モデルと乗り比べると少し硬いかな? という程度の差で、SSモデル的な突き上げはない。
むしろ加減速時の車体姿勢変化が抑えられたことでビギナーには扱いやすいはずだ。
エンジンは基本的に前モデルと同じ。
低中回転域ではR25よりも明らかに力強く、タンデムや登り坂でのゼロ発進がスムーズで、高速道路での追い越し加速にも余裕を感じさせる。
レッドゾーン近辺での伸び感はR25のほうが心地いいが、市街地走行やツーリングではプラス70ccの排気量によるトルクの太さで、扱いやすくて疲れない。
車検があることを気にするライダーもいるが、コンディションの判断がつかないライダーにとっては車検が安全を担保することにもなる。
市街地での乗りやすさと併せ、個人的にビギナーにお勧めするのはR25よりこのR3だ。
RIDING POSITION 身長:176cm 体重:62kg
前モデルより22mm低くなったハンドルで上体を伏せたコーナリング姿勢も無理なく取れる。
サスの沈み込み量が減ったため足着き性は前モデルより少し低下したが、150cm台のライダーでも不安を覚えることはない。
SPECIFICATION
全長×全幅×全高2090×730×1140mm
ホイールベース1380mm
シート高780mm
車両重量170kg
エンジン形式水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
総排気量320cc
ボア×ストローク68×44.1mm
圧縮比11.2
最高出力42PS/10750rpm
最大トルク3.0kg-m/9000rpm
燃料供給方式FI
燃料タンク容量14L
変速機形式6速リターン
ブレーキ形式 前・後φ298mmディスク・φ220mmディスク
タイヤサイズ 前・後110/70R17・140/70R17
DETAILS
カラーバリエーションはR25と同じ全3色。
レーシーなイメージカラーのブルー、マットブラック、そして上品なマットレッドだ。
YZR-M1のようなセンターエアダクトを装備したフロントマスクはR25同様、非常に新鮮なイメージ。ヘッドライトはLEDとなった。
テールランプは従来モデルから継承しており、明るさと省電力のメリットがあるLEDを引き続き採用。ウインカーは電球タイプだ。
サイドカウルにはウイング状のスポイラーを装備。
走行時のボディサイドンに流れる気流をこれで整える狙いがある。
[ アルバムはオリジナルサイトでご覧ください ]
PHOTO:南 孝幸 TEXT:太田安治、本誌編集部
公式サイト
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