2018年鈴鹿8時間耐久ロードレースの公式予選で、Kawasaki Team GREENのジョナサン・レイが鈴鹿サーキットを沸かせた。2分5秒168という驚異のタイムを記録したのだ。そのタイムには釈迦堂利郎監督も「すごいですよね」と感嘆する。
鈴鹿8耐2日目に行われた公式予選は、ライダーがつけた腕章によってライダーブルー、イエロー、レッドでセッションが行われ、それぞれ20分間を2回、計時によって行われた。スーパーバイク世界選手権(SBK)を3連覇中のレイは、1回目のセッションでは2分6秒371のトップタイムをマーク。そして迎えた2回目の予選では、2分5秒168というタイムをたたき出した。
打倒ヤマハ・ファクトリーの対抗馬、カワサキ・チームグリーンが鈴鹿8耐公式予選で暫定ポールを獲得
鈴鹿8耐ではFIMのルールに準じ、予選タイムをコースレコードと認定していないためコースレコードとの比較は難しい。ただ、参考までに、2015年にMotoGPライダーのポル・エスパルガロがマークし、周囲を驚かせたタイムは2分6秒フラット。これを1秒近く縮めたタイムをマークしたのだから、レイの実力を推して知ることができる。
そのタイムは、カワサキ・チームグリーンの釈迦堂利郎監督をして「わたしはこのタイムにびっくりしていましたが、本人は普通の顔をしていましたよ。あっさりというか。世界のトップで戦うライダーというのは、すごいですね」と言わしめた。
レイ自身も公式予選後のインタビューで、「そんなにプッシュはしなかったよ」と語っていたから、驚きだ。
そのスーパーラップをたたき出したとき、レイは新品のブリヂストンタイヤを装着していたという。アウトラップでタイヤを温め、アタック1周目できっちりとタイムを出してすぐさまピットに帰還。まさに職人芸だ。カワサキ・チームグリーンは、公式予選タイムとして採用される各ライダーのベストタイムの平均でトップ、つまり暫定ポールポジションを獲得した。
とはいえ、鈴鹿8耐はチーム戦である。ひとりが1周だけ速いだけでは優勝することはできない。2018年の優勝候補筆頭であるYAMAHA FACTORY RACING TEAMは、淡々と速さを見せて暫定2番手につけている。気になる決勝レースの戦略について、釈迦堂監督は「作戦を考えなければいけない部分もある」と語る。
「基本的には3人で走るようにはシュミレーションをしています。(渡辺)一馬も新品タイヤを履いて、(レースの1スティントで走る周回数に近い)20数周を走る分には、2分7秒台、2分8秒台で走れています」
レイだけではなく、渡辺一馬、レオン・ハスラム、3人の力が均衡してきたという。確かに、ハスラムも2回目の公式予選では、中古タイヤを履いて2分6秒台中盤のタイムを連発していた。
「一馬自身も、レベルが上がってきています。(3人の)バランスはかなり取れてきたと思いますよ」
疑いようがないレイの速さに加え、チームとしてのバランスも取れている。カワサキ・チームグリーンが、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームの4連覇を止める存在となるか。
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