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北極から砂漠まで「オフィスで再現」 自動車メーカーの耐久性テストは進化した

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北極から砂漠まで「オフィスで再現」 自動車メーカーの耐久性テストは進化した

重要性を増すシミュレーション施設

自動車メーカーが直面する大きな課題の1つに、世界各地のありとあらゆる環境下で、クルマの耐久性と信頼性を確保することが挙げられる。

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気候の穏やかな丘陵地帯でも、ツンドラでも砂漠でも同様に動かなければならない。また、エンジンは大気中の酸素濃度に敏感で、低地だけでなく高地の希薄な空気にも対応する必要がある。

数十年も前であれば、エンジニアチームとプロトタイプ車両を特定の時期に特定の地域へ派遣し、各地を走らせることが唯一の方法だった。現在では、本国に気候風洞設備を設置することで、費用と時間を軽減している。

ポルシェは2022年、ヴァイザッハ開発センターに新しい気候センターを開設した。これにより、北極からドバイまで、世界中ほぼあらゆる地域の気候条件を、ドイツから出ることなくシミュレートできるようになった。

つまり、摂氏-30度から50度までの気温と、最大250km/hまでの風速を再現できる。1平方メートルあたり1.2kWの太陽光でクルマを焙ったり、湿度についても砂漠のような5%から熱帯の95%まで幅広くシミュレートしたりすることもできる。

こうした気候条件は詳細に再現することができ、例えば太陽の位置を模倣することで、実環境に近い検証が可能だ。

メーカーは、世界中で使用されるエンジン車の開発において数十年の経験を有している。しかし、電気自動車(EV)は別だ。ポルシェは、EVの冷却回路のテスト、高電圧バッテリーの挙動、また極端な気候変化が部品の強度に与える影響を調べるために、この気候風洞を使用している。

駆動系の耐久性だけでなく、車内の空調システムの性能も評価する。例えば、外気温が摂氏40度という厳しい環境下でも車内の温度を22度に保てるかどうかを検証する。

ただし、ポルシェの気候風洞がどれほどハイレベルなものであっても、最終的な完成品が実環境でどうなるかを確かめるには、やはり実地試験が欠かせない。ポルシェは、今後も実地試験が不可欠であると述べている。

このような気候試験施設は目新しいものではないが(BMWは2010年に巨大なエネルギー・環境試験センターを開設した)、EV技術の発展に伴い、今後さらに重要性を増していくだろう。

EVの充電速度やバッテリー容量は急速に進化しているため、技術的な要求だけでなく、法改正に伴い、試験施設も継続的な更新が必要となる。

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