2021年も、ファンのために熱いレースを展開してくれるスーパーGTドライバーたち。SNS等でも散見されますが、所属するチームやメーカーによって差はあれど、多くのドライバーが“繋がり”をもっています。そんなGTドライバーたちの横の繋がりから、お悩みを聞くことでドライバーの知られざる“素の表情”を探りだす企画をお届けしております。今回はaprの織戸学選手から、スーパー耐久のチームメイトであるAudi Team Hitotsuyamaの篠原拓朗選手に繋がりました。
しばしばSNS等でも見られる、気になる2ショット。「へえ、あのドライバーたち、仲良いんだ」とファンの皆さんも驚くこともあるのでは。そんなGTドライバーの繋がりをたどりつつ、ドライバーたちの“素”を探るリレートークのようなものができないか……? という企画が編集部内で出てきたのが2月。第1回の石浦宏明さんから阪口晴南さん、新田守男さん、高木真一さん、さらに片岡龍也さん、柳田真孝さん、星野一樹さん、本山哲さん、吉田広樹さん、蒲生尚弥さん、大嶋和也さん、松田次生さん、織戸学さんと繋がっています。
スーパーGTドライバー勝手にお悩み相談ショッキング Vol.13 織戸学さん
今回は織戸選手が「あまり悩みがない」ので、「たくさん悩んでいそう」なスーパー耐久のチームメイト、若き篠原拓朗選手に突撃しました。ちなみにこの取材、ふたりが乗り込むD'station Vantage GT4が優勝したスーパー耐久鈴鹿で取材したのですが、事前の打診の段階から取材に緊張しまくっていた篠原選手。さらに織戸選手から「取材に同席する」と宣言され、D'station Racingのドライバー用スペースでまわりにたくさん人がいる中で取材がスタートしました。
* * * * *
■緊張の取材スタート。織戸さん同席でどうなる?
──さて。事前に伝えていた『お悩み相談ショッキング』。今回は14回目です。よろしくお願いします。
篠原拓朗さん(以下篠原さん):はい。よろしくお願いします。
──ちなみに、こうして単独インタビューをされた経験ってある?
篠原さん:……初めてかもしれないです。
──そもそも、『篠原拓朗』という存在がオートスポーツwebの読者に実はそこまで知られていないのでは? という危惧もあるので、軽くキャリアを1分以内で説明してください。
篠原さん:6歳から18歳くらいまでレーシングカートをして、そこからスーパーFJ、その後3年間FIA-F4に参戦しました。そしてその後にはAudi Team HitotsuyamaのCドライバー、BRP(バースレーシングプロジェクト)さんでスーパー耐久もお世話になり、そこからスーパー耐久のフルシーズンとTCRジャパン、そして昨年はスーパーGTスポット参戦の機会をD'station Racingさんでいただき、スーパー耐久で走らさせていただいたり、TCRジャパンではHitotsuyama Racingでチャンピオンが獲れたりというところで、今年はスーパーGTとスーパー耐久にフル参戦をさせていただいています。
──なるほど分かりました。……そして同席すると言っておきながら、織戸さんどっか行っちゃったねぇ。
篠原さん:ずっと『オレが隣で聞いといてやるよ』と言っていたのに(笑)。ちょっと探してきますね。
(2分ほど経ち織戸さん登場)
織戸学さん(以下織戸さん):なんだなんだ。オレが必要か?
──いちおう同席していてください。
織戸さん:ああ、いちおうね。オーケーオーケーィ!
──で、ですね。前回織戸さんは『日々ハッピーに暮らしている』ということで、あまり悩みがないらしいのですよ。なので、悩みの多そうな人を紹介してください……とご紹介いただいたのがタクローさんなのです。
織戸さん:パッとタクローが出てきたんだよ。
──ワタクシも織戸さんも、悩み多きドライバーということでタクローさんがすぐ頭に浮かびました。しかもいつも●●●の悩みしか聞いていないというね。
織戸さん:人生を真剣に生きていない証拠なんですよ。
篠原さん:いやいや、そんなことないですよ。違うんですよ(汗)! すでに開始早々からヒドい状態に持ち込まれている感じがあるんですけど……。
──大丈夫大丈夫(棒)。で、今のいちばん大きな悩みはナニ?
篠原さん:いちばん大きな悩みは……これからの人生ですね。
織戸さん:重くておもしろい(苦笑)。でも、そのくらいの年齢は実際悩むよね。
篠原さん:僕もわりと毎日ハッピー派だったのですが、ここ最近はハッピーのなかでも、ふとした瞬間にけっこう今後を考えちゃいますね。まず来年もそうですし、来年から先のレースの話も、レースじゃない部分も……。
■大先輩たちからお褒めに与りました。
──じゃあひとつひとついこうか。……でも、レースは日々頑張っていくしかないんじゃない?
篠原さん:そうですね。でもそうなるとけっこう難しいんですよ。
──でもレースは結果を出すしかないでしょう。あと悩みは●●●の話?
篠原さん:ちょっとそれはタイムリーなのでNGで。
──織戸さん、NG出してきましたよ。
織戸さん:ダメだよ~。取材してもらえるだけありがたいのに。
篠原さん:いや、メチャクチャありがたいんですけど(苦笑)。
(このあたりからチーム全体のツッコミが入り収拾つかなくなってきたので中略です)
──ほかに悩みはなんかないの?
篠原さん:そうですね……(小声)。もうちょっとトークが上手になりたいですね。
──それは織戸さんを見習わないと。
(ここでD'station Racingの藤井誠暢選手/マネージングディレクターが登場)
藤井誠暢さん(以下藤井さん):いつも言っているけど幸せだと思うよ。織戸さんみたいな超大御所の大先輩が面倒を見てくれて。織戸さんと組んでいるプロとか若手のなかで、習えたり吸収できる立場は篠原しかいないよ。
篠原さん:それは本当にメチャクチャ幸せですね。レースに関してはここ何年かずっとラッキーなことしかないです。
織戸さん:去年はコロナの影響でGTに乗れる回数が増えたりだとか、こう見るとすごくラッキーだよね。結局そこで乗れたからこそ、今年のスーパーGTもシートがあったわけだから。
藤井さん:いま織戸さんが言ったとおりだと思う。篠原がTCRJとか、いろいろと目につくことがあったから俺も声をかけた。去年もスーパーGTに乗っていて、GT経験がゼロじゃなかったから篠原を誘おうと思ったし、それがゼロだったら誘わない。富士24時間でもノーミスで走ったから織戸さんのチームメイトとしてこのチームに入れたワケだし。
織戸さん:いや、素晴らしいよ。速いし。
篠原さん:ありがとうございます。そういう機会、ご縁に恵まれていて幸せです。それを来年に活かせるかどうかは、自分がもっと頑張らないといけないですね。
■クルマもレースも悩みです
──ほかに悩みはあるの?
篠原さん:クルマですかね。
織戸さん:プリウスを買うんじゃないの?
篠原さん:ちょっとまだ買えないのと、いろいろ乗りたいクルマも多いので迷いますね。
──いまは何に乗っているの?
篠原さん:ちょっと古い型のBMWの3シリーズです。ハッチバックのやつに乗っていて、荷物が乗るという意味で言えばSUVがカッコいいから欲しいし、免許を取ってすぐのときはスポーツカーに乗っていたんですけど、それ以来乗れていないのでスポーツカーもいいなと思います。
織戸さん:やっぱりスポーツカーに乗らないとダメだろ。
篠原さん:織戸さんのガレージも行かせていただきましたが、メチャクチャカッコいいです。
──SUVだったら何がいい?
篠原さん:まだそこまで細かくは考えられないですね。ちょっと遠い未来の話なので。いちおうちょっと見たのは、フォルクスワーゲン・ティグアンのディーゼルです。
──そこはやっぱり、アウディも選択肢に入れるべきじゃない?
篠原さん:Q5にディーゼルがあるので良いのですが、いちばんの理想はスポーツカーと2台持ちとかできるのが理想ですね。
──では、クルマ以外の悩みは?
篠原さん:やっぱりスーパーGTで勝ちたいですね。スーパー耐久でも勝ちたいですけど、今いちばん苦しんでいるのがスーパーGTなので。
──パートナーとの関係はどう?
篠原さん:川端(伸太朗)選手とはプライベートでも交友がありますし、ふたつ上の先輩ですがすごく良い感じで、シミュレーターもいっしょに行っていただいたりしています。
──この頃アウディは良くなってきているけど、ツボにはまっていないのはなぜなんだろう?
篠原さん:第5戦SUGOでも、公式練習はシングルに入るところが見えてきたんですけど、イマイチそこから先が結果に繋がらない。残り3戦なんとかしたいです。
■次回は小さな頃からのライバルに繋がりました
──いろいろお悩みが出てきましたが、その悩みを誰にぶつけますか?
篠原さん:そうですね……。僕のなかでは、1年目に結果を残していた坪井(翔)くんかな。
──『結果を残すにはどうしたらいい?』という質問もちょっとアレじゃない?
篠原さん:そうなんです。だから本当にこの取材は難しい。すごい汗かいちゃいました。タオルが欲しいくらいです。
藤井さん:でも篠原の名前が出るのは名誉なことだよ。
篠原さん:いや、本当にありがたいです。織戸さんから回していただいて、流れを止めちゃいそうで怖いです。
藤井さん:織戸さんから谷口(信輝)さんは分かるけど、織戸さんから篠原はだいぶラッキーな流れだよ。
織戸さん:だいぶ今シャットダウン感が出ちゃっているけど(笑)。
──とりあえず、次の人にぶつける悩みをひとつにまとめよう。『欲しいクルマがスポーツカー系かSUV系か悩ましい』ってところでいいかな。
篠原さん:スポーツカーかSUVのどちらがいいかを、最近GRヤリスを手に入れた坪井選手に聞きたいですね。
──坪井選手とは年が近いんだっけ?
篠原さん:四輪では先輩ですけど、“ちびショー”と呼ぶくらい小さいときからカートは一緒にやっていました。
──ちなみに、近い世代はあとは誰かいる?
篠原さん:(堤)優威とか金丸ユウとか、カートはあまり被ったことはないですがヤマケン(山下健太)も年齢が近いです。
──では、そのなかで坪井選手に繋ぐ感じでいいですか?
篠原さん:はい!
* * * * *
というわけで、悩み多き若者・篠原拓朗選手のお悩み相談いかがでしたか? 悩みが多いのもご理解いただけたと思いますが、同時に多くの先輩ドライバーから、かな~り愛されている若手というのもご理解いただけたのではないでしょうか。今後の活躍に期待したいですね。織戸選手、藤井選手、ご協力ありがとうございました。
そして次回はau TOM'S GR Supraの坪井翔選手に繋がりました。こちら取材済みですが、坪井選手が勧めるクルマに乞うご期待!
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