自然吸気のポルシェとは異なる楽しさ
ポルシェ911 カレラ3.2 SEは、常に濃密。タコメーターの針を急上昇させれば、テノールのボリュームが高まり、ホエールテールを背負ったクーペは一気呵成に速度を増す。乗り心地は驚くほどしなやか。シャシーは路面をひたひたと掴む。
【画像】1度は乗りたい2+2 ポルシェ911 ルノー・アルピーヌ フェラーリ・モンディアル ロータス・エクセル 現代版モデルも 全146枚
コーナーで慎重に扱いすぎると、アンダーステアへ転じる。意志を持ってアクセルペダルへ角度を与えれば、リアアクスルから旋回していく独特の操縦性を堪能できる。コーナーの頂点へ高速に吸い込まれ、強い一体感でドライバーを満たす。
リアエンジンのルノー・アルピーヌ GTA V6ターボも同様。ターボチャージャーが2.5L V6エンジンにパワーを加算し、ステアリングは鋭い。サスペンションは引き締まり、狙い通りにラインをトレースできる。だが、特性は911 カレラ3.2より遥かに手強い。
5速マニュアルのレシオはロングで、太いトルクを活かした高速走行向き。アンダーステアを抑え込みたいワインディングでは、ブースト圧の上昇を先読みする必要がある。同じRRでも、自然吸気のポルシェとは異なる楽しさがある。
ルノー5 ターボも手掛けたデザイナー、イヴ・リーガル氏によるモダンなスタイリングが想起させる通り、高速道路では安楽に疾走してみせる。ドライバーの背後から、控えめな咆哮を放ちながら。
空気抵抗は驚くほど低く、自然吸気のGTAではCd値が0.28だった。吸気用のアイテムが追加されたGTA V6ターボでは0.30へ上昇していたが、同時期の911は0.39もあった。
ジュニア・スーパーカーらしい印象
インテリアを手掛けたのは、巨匠、マルチェロ・ガンディーニ氏。レザー張りのシートが豪華で、カセットテープ・ステレオユニットには5音域のイコライザー付き。911 カレラ3.2のライバルとして、内外ともに見劣りしない。
洗練された容姿の内側には、1971年のクーペ、A310用シャシーがアップデートされて隠れている。それ以前のアルピーヌと同様に、FRP製ボディが接着剤でスチール製の構造へ固定されていた。
A310と比べて、エンジンの搭載位置は40mm前方へシフト。前後重量配分は38.1:61.9となり、若干改善されていた。
前後とも、サスペンションはアンチダイブ設計が施されたダブルウィッシュボーン式で、ダンパーは専用品。タイヤサイズはフロントが195/50、リアが225/50で、ジュニア・スーパーカーらしい印象を与えた。
リアに載る、プジョーとルノー、ボルボによって共同開発されたPRV V6エンジンも先代譲り。それでもルノーは、ポルシェなど高性能化が進むスポーツカーと互角に戦うことを目指して開発を進めた。
実際、モータースポーツでは一定の成果を挙げ、以前から築いてきた技術的な評判も手伝い、前衛的な見た目のアルピーヌ GTA V6ターボは同社にとって重要なモデルになっていた。同じエンジンを積む5ドアハッチバック、ルノー25 ターボと並んで。
アルピーヌ GTA V6ターボでは、2.5LのPRVユニットにインタークーラーを装備。吸排気は独自設計で、燃料インジェクションが与えられ、25 ターボから18psと0.4kg-m増強されていた。
2+2のクーペとして不満の少ない移動体験
V6エンジンとフロントシートの間に設けられたリアシートは、平均的な大人が座れるサイズ。手荷物置き場のようなポルシェ911や、不自然に座面が凹み体育座りを強いるロータス・エクセルより、遥かに過ごしやすい。
それらより2+2のクーペとして不満の少ない移動体験を約束したのが、グラスエリアの大きいフェラーリ・モンディアル。リアシートの座面がフロントより50mmほど高く、周囲を見渡しやすい。
フェラーリ308 GTBより、ホイールベースは100mm長い。端正なスタイリングを描き出したのはピニンファリーナで、ディティールにはフェラーリらしい繊細さがある。
ボディサイドには、フィンが幾重にも並ぶエアインテークが開けられ、アルミホイールは星型の5スポーク。丁寧に仕立てられたボディが、他の3台とは次元の異なる技術水準にあることを静かに物語る。
ミドシップされるのは、フラットプレーン・クランクが組まれた3.0L V型8気筒エンジン。燃料供給はボッシュKジェトロニック・インジェクションが担い、デジプレックス・システムによって点火が制御されている。
1984年にアップデートを受け、エンジンは1気筒当たり4バルブ化。クアトロバルボーレを名乗り、最高出力は240psまで向上した。最終仕様では304psまで増強されたが、ディーノ308 GT4をパワーウエイトレシオで超えることはなかった。
スーパーカーとサルーンが融合した感覚
モンディアル・クアトロバルボーレの車重は1430kgと、当時としては重量級。そのかわり、従来以上に洗練性や信頼性は高められ、それまでのスーパーカーとは一線を画す。
価格は入門モデルに相当し、適度なサイズ感と現実的な速さを兼ね備え、多くのユーザーに訴求できるフェラーリだった。ブランドの間口を広げたといってもいい。
「優れたパフォーマンスと、不満ないラグジュアリーさが融合しているのが好きです。イタリアン・エンジニアリングに夢中なんですよ」。と説明するのは、現オーナーのルイ・シャバス氏。マセラティの大ファンでもある。
このモンディアルは1984年式。ボディとインテリアはレストア済みで、その際に防音材を追加したそうだ。
ドライバーズシートは路面へ近い位置へ据えられ、快適で現代的。上質なキャビンは明るく開放的。ファーストクラスの空港ラウンジに慣れた家族でも、インテリアに違和感は覚えないだろう。
発進させると、後方からV型8気筒エンジンのエキゾチックなサウンドが放たれる。スーパーカーとサルーンが一体になったような、不思議な感覚が湧いてくる。ステアリングホイールは低速域でも軽いものの、反応は少しおっとりしている。
若干慣れが必要なドライビングポジションは、フェラーリ・ライク。アクセルペダルを踏み込んだ時の、クレッシェンドとともに生まれる高揚感も期待通りだ。
この続きは後編にて。
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みんなのコメント
速くて音も造りも素晴らしいのは圧倒的にgt4です。フェラーリの手組みエンジン、ウエーバー、排ガス規制なしですからモンディアルとは全然違うと思います。V6ターボも給排気チューンしていましたが高空力でワープするような独特の加速、後ろからのエンジンサウンドとエレガントな見た目も好きでした、がよく壊れた。カレラは乗りやすい普通の古いスポーツカーで、ドラマチックなところはありませんが、遠出にも使える信頼性はありました。カレラ3.2と比べると同時期の928はいまでも十分通用する凄いスポーツGTで、あのビタっと吸い付く高速での王様フィーリングはいまのポルシェより良いような、金は掛かりましたが。4台とも個性的なデザインで今見ても素敵です。
そう言う事だ