「当時、ディーラーで購入した方が安かったんですよね」
真っ赤なフェラーリ「テスタロッサ」の横で、オーナーの池田耕三さん(77歳)は当時を振り返る。
【連載】F1グランプリを読む──「コロナ危機」はF1の危機?
池田さんがテスタロッサを購入したのは1987年。ちょうど日本はバブル景気真っ只中。テスタロッサは、正規ディーラー(コーンズ)の個体より、並行輸入の個体のほうが高価だった。
【2桁ナンバー物語 Vol.1 春日部33のブガッティ EB110 前編/後編】
とはいえ、正規ディーラーには注文が殺到したため、納期まで長い時間を待たなければならなかったという。池田さんのテスタロッサも、納車まで1年以上かかった。
「1988年9月に納車されました。同年8月にエンツォ・フェラーリ氏が亡くなられたこともあって、納車前後のエピソードは今でもよく覚えています」
ちなみに池田さんは、根っからのフェラーリ・ファンというわけではなかったという。
「人生初のフェラーリが今のテスタロッサです。当時、“夢のある仕事”を新しくはじめることになって、だったら夢のあるクルマを購入しなくては……と思い、買いました。衝動買いです(笑)」
オーナーの池田耕三さん(77歳)。テスタロッサ以外にランボルギーニ「アヴェンタドール」なども所有する。“夢のある仕事”とは、ホテル経営である。本業(産業機械や制御システムの開発)とは別に、神奈川県江ノ島に「湘南ホテル」を1990年9月に開業したのだ(現在は閉館)。
「私の叔母が所有していた2000坪の土地を有効活用すべくホテル事業を始めたのです。テスタロッサは、ときどきホテルに展示していました。新婚さんが(クルマと)一緒によく撮影されていたのを覚えています」
フェラーリ以外のスーパーカーに興味はなかったのか? と訊くと、「うーん、当時はスーパーカーといえばフェラーリ、でしたから、迷いはなかったですね」。
【2桁ナンバー物語 Vol.4八王子33のディーノ246GT 前編/後編】
フォードLTDなどを乗り継ぐ「ボディカラーは定番のレッドにしましたが、インテリアカラーは、日本仕様になかった濃いタンを選びました。日本にあるテスタロッサの多くは、もっと明るいタンかブラックがほとんどです」
なぜテスタロッサを選んだのか? 「リア・エンドのデザインやスリット状のエアインテークがカッコよかったので、テスタロッサを選びました。バックオーダーを抱えるほどの人気モデルでしたが、車両価格の約3%分を値引きしてくれたのは嬉しかったですね。担当セールスがコーンズに入社後、初めて販売した新車だったので、頑張ってくれたようです(笑)」
【2桁ナンバー物語 Vol.2 品川35のアルピナB8 4.6 リムジン 前編/後編】
池田さんは、幼い頃からクルマやバイクが好きだった。16歳で免許取得後、今はなき丸正自動車製造の「ライラック号」に乗っていたという。進学した明治大学では体育会自動車部に所属した。
「大学時代はプリンス『スカイライン 2000GT』に乗っていました。23歳で事業を興してからは、ジャガー『Eタイプ』やフォード『LTD』、ポルシェ『914』などを所有しました。LTDに乗って青森へドライブしたとき、3回も給油したのが今となっては懐かしいですね」
池田さんが所有したプリンス「スカイライン」は2代目。2000GTは、2.0リッター直列6気筒OHCエンジン搭載のハイパフォーマンス版だった。さまざまなメーカーのクルマに乗ったものの、フェラーリやランボルギーニなどのスーパーカーとは無縁だったという。が、テスタロッサを購入後、スーパーカーの魅力を知ることに。
「と、言っても、しばらくはあまり乗っていませんでした。納車から18年間の総走行距離は約8000kmでしたから。普段は、メルセデス・ベンツ『560SEL』や『S500L』、ジャガー『XJ』などに乗っていましたので」
【2桁ナンバー物語 Vol.5三重33のBMWアルピナ 3.0CSL B2S 前編/後編】
nullnull560SELは5.6リッターV型8気筒エンジンを搭載。当時のSクラスのフラグシップモデル。Daimler AGもしや故障が続いたのか? と、思いきや、「トラブルはほとんどありませんでした」と、述べる。
「ただ、納車から約2週間後、エンジンオイルが吹くトラブルに見舞われました。保証期間内だったので無料でしたが、約150万円の修理内容だったそうです。原因は、オイルシールがきちんと装着されていなかったから。“さすがイタリア車!”と、思いましたね(笑)」
【2桁ナンバー物語 Vol.3 練馬34の日産 ステージア 前編/後編】
その後、大きなトラブルは皆無。車検費用は、大きな整備がなければ40万円前後という。整備は基本、購入先のコーンズに任せているそうだ。
「周囲から“アタリの個体ですね”と、よく言われます。エアコンやタイミングベルトを交換したときこそ、工賃が嵩むため、大きな出費となりましたが」
エアコン交換には、ダッシュボードの脱着が必須。この作業が煩雑なため工賃が嵩むという。また、タイミングベルト交換は、エンジンを下ろす必要がある。
「いざというときのために、いくつかのパーツはストックしています」と、述べる池田さん。手に入りにくい部品もあるそうだ。故障が不安で乗らなかったのか? というと、そうではない。「積極的に乗る必要がなかったから」と、池田さんは話す。たまの休日、すこし乗る程度で十分楽しめたそうだ。
それが今、総走行距離は約4万5000kmまで伸びた。約14年間で3万7000kmだから、平均すると年間約2500km。つまり、従来の5倍以上も走行するようになったのだ! その理由とは? (後編に続く)
文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)
【2桁ナンバー物語 過去記事】
Vol.1 春日部33のブガッティ EB110 前編/後編
Vol.2 品川35のアルピナB8 4.6 リムジン 前編/後編
Vol.3 練馬34の日産 ステージア 前編/後編
Vol.4八王子33のディーノ246GT 前編/後編
Vol.5三重33のBMWアルピナ 3.0CSL B2S 前編/後編
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
マジか…? 新制度導入で「車検」通らないかも!? 10月から始まった“新たな車検”何が変わった? 覚えておきたい「OBD検査」の正体とは
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
ついにトヨタ「新型セリカ」復活!? 次期8代目登場か… 中嶋副社長「セリカ、やっちゃいます。」宣言! 会長も後押し!? ラリージャパンで語られたコトとは
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
「(次期)セリカ、作ります!」ラリージャパン会場でトヨタ中嶋副社長が明言!! 開発開始を宣言、次期86も「出す」
レクサス新型「小型スポーツカー」がスゴい! “テンロクターボ”×初の6速MTを搭載! 最小SUV「LBX MORIZO RR」どんなモデル?
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?