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画像で振り返る エンジン始動方法の歴史 後編

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画像で振り返る エンジン始動方法の歴史 後編

メルセデス・ベンツのフリップ式キー(1989年)

メルセデス・ベンツが1989年に発売したR129型SLは革新的技術を満載しており、ある小さな変化がしばしば見落とされる。その変化とは、キーフォブのボタンを押すことでメカニカルキーが飛び出すという構造だ。

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単なる子どもだましではなく、鍵の上に座ってしまい太ももに刺さるといった事故を防ぐことにもつながる機能だ。1990年代を通し、数々のメーカーが似たような機能を採用し、2019年現在でも使われている。

メルセデス・ベンツのスマートキー(1998年)

シーメンスが1990年代にスマートキー技術を開発すると、多くのメーカーがこれを採用した。1998年に登場したW220型Sクラスでは、これまでイグニションが配置されていた位置にプラスティック製のスマートキーを挿すスロットが取りつけられた。

ECUがそのキーを認識すれば、それをひねることでエンジンを始動することができる。2000年代にはメルセデスの全車にこの機能が採用された。

ルノーのキーカード(2001年)

ルノーは2001年の2代目ラグナの発売により、プッシュボタン式イグニションを初採用するメーカーとなった。クレジットカードほどの大きさのカードキーが用意され、それをセンターコンソール下部のスロットに差し込むというものだ。このカードが認識されれば、ダッシュボード上のボタンでエンジンを始動することができる。あくまでも理論上は。

しかし初期のモデルでは電気系統のトラブルに悩まされ、しかもこのシステムは代えの効かないものであった。ルノーは徐々にこの問題を改善し、エスケープなど後のモデルにも搭載した。

他のメーカーもこれに追随し、ワイヤレス技術によりポケットから鍵を出すことなく動作するものも現れた。単にボタンを押すだけで始動できるという点で、2000年代初期のクルマは1910年代と似通っているとも言える。2008年時点では、米国の新車におけるこのシステムの搭載率はわずか11%であったが、2018年には62%にまで上昇した。s

ダッジのレッドキー(2015年)

ダッジはチャージャー(画像)およびチャレンジャーのヘルキャットに2種類のキーを用意した。黒のキーでその6.2ℓV8スーパーチャージャーを始動すればその最高出力は507psに制限される。一方赤のキーを使うと最大の727psが解放されるというものだ。

ブガッティ・シロンも似たようなシステムを搭載する。標準のキーでは最高速度は380km/hに制限される。しかしそれでは歩いているのと変わらないと感じるひともいるだろう。そんなときは車内に収納されたふたつめのキーを専用の鍵穴に挿すことで、リミッターが420km/hに変更されるのだ。

ヒュンダイがアレクサと連携(2016年)

ヒュンダイは2016年後半にアマゾンのアレクサとの連携を発表した。アレクサのアプリをダウンロードすることにより、ヒュンダイのブルー・リンクと呼ばれるインフォテインメントシステムにアクセスすることができる。

この接続が完了すれば、「アレクサ、ブルーリンクにエアコンを72℉にするよう伝えて」と語りかけることでその通りに動作するのだ。アレクサの機能により、車両の施錠や解錠を行うこともできるという。

2019年には、ヒュンダイはグーグルとのタイアップを表明し、上述の機能をグーグル・アシスタントを搭載するスマートスピーカーでも使えるようにするとのことだ。この機能は2019年末までに一部市場で使用可能となる。

ボルボのデジタルキー(2016年)

ボルボはデジタルキーを2016年に導入した。これはブルートゥースにより、鍵本体を持ち歩かなくてもスマートフォンが鍵の役割を果たすものだ。これは遠く離れた他者に一時的に鍵の情報を送り、クルマをシェアすることもできる。

ボルボはこれにより物理キーは過去のものになったと考えているが、顧客が望む限り今後も物理キーを使用可能にするとのことだ。

テスラのキーカード(2017年)

テスラ・モデル3には鍵は付属しない。そのかわり、ホテルでつかうようなキーカードが2枚付属する。このカードを運転席側のBピラーにかざすことで解錠し、車内のカップホルダー後方のスペースにかざしてブレーキを踏めばシステムが起動する。

しかしテスラが推奨する解錠方法は、スマートフォンを車両にペアリングするというものだ。ブルートゥースにより、そのデバイスが車両周辺にあることを感知すると解錠される。発進時は単にブレーキを踏んでシフトを入れるだけだ。

次に登場するのは?(2019年以降)

新技術の登場や、市場のトレンドの変化によりクルマとの接し方も変わってきている。多くのドライバーは鍵のボタンで解錠する方法に満足している。

しかし数千人のドライバーで数百台のクルマを共有するような企業ではより簡単に車両にアクセスする手法を求めている。スマートフォンやIOT技術がこれを後押しすることになるだろう。

画像:バイトン・コンセプトカー

ヒュンダイの指紋センサー

ヒュンダイはアップルのタッチIDのような機能をいち早くクルマに搭載した。ドアハンドルに埋め込まれた指紋センサーによりクルマを解錠でき、イグニション・スイッチにも同様のセンサーを取りつけている。

静電容量認識により、指紋をコピーしても始動することはできないようになっている。米国を含むいくつかの市場において、サンタフェに指紋センサーをオプションで設定している。その採用地域や設定車種は今後拡大するだろう。

ボッシュのパーフェクトリー・キーレス

ボッシュはCES2019において、パーフェクトリー・キーレスと呼ばれる新しいキーレスエントリー・システムを発表した。これはデジタルキー情報をスマートフォンに内蔵するものだ。オーナーが車両に近づくと、ボディ内部に搭載されたセンサーがクラウドからの信号を受信し、ドアをアンロックする。

このシステムと、ボルボやテスラのシステムとの大きな違いは、使用する技術がNFCかブルートゥースかというものだ。

ユーザーはスマートフォンをポケットやバッグから取り出す必要はなく、もしデバイスを紛失した場合にはただちにキーを無効化することができる。ボッシュは2021年までにこの技術を市販車に搭載するとしているが、どのメーカーが採用するかは明らかになっていない。

アップルの指紋センサー

アップルは自社製のクルマこそ発表していないものの、同社の技術を自動車業界に送り出すことを模索している。アップル・カープレイがその良い例だろう。2017年、フェイスIDやタッチIDを車両の解錠に使用する技術の特許を取得している。iPhoneユーザーには周知のことと思うが、フェイスIDは顔認証、タッチIDは指紋認証だ。

将来的に、アップルはこの技術のライセンスを自動車メーカーに販売する可能性がある。これにより指紋でのエンジン(または電動モーター)の始動が可能になるだろう。この機能ではヒュンダイが一歩先を行っており、アップルはこれに追いつく必要がある。

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