2025年11月7日、日産自動車は「NV200バネット」の一部仕様向上を発表した。発売は12月15日。全車に先行車発進お知らせ機能、ドアロック連動格納機能付ドアミラー、車線変更時に便利なコンフォートフラッシャーを標準装備化。さらにVX/GX/16X-2R/16X-3Rにはサイドターンランプ付ドアミラーを採用し、被視認性を高めた。室内は全席が抗菌仕様となり、運転席・助手席にはスパイナルサポート機能を追加。働く現場からファミリー、車中泊まで“ちょうどいい”実用バンの価値を底上げした。加えて、新グレード「Outdoor Black Edition」を設定。これ、だいぶ売れそう。
文:ベストカーWeb編集部、画像:日産自動車
【画像ギャラリー】日産NV200バネット一部仕様向上の全画像、だいぶ売れそうな新グレード「Outdoor Black Edition」あり(24枚)
装備強化+新グレードで「働く」と「遊ぶ」を両取り
2009年のデビュー以来、NV200バネットは“ちょうどいいサイズの実用バン”としてロングセラーを続けてきた。5ナンバー枠に収まる取り回しのよさ、たっぷり積める荷室、バン/ワゴン/特装という幅広い展開が魅力だ。そのNV200バネットが、2025年11月7日に一部仕様向上を発表、12月15日に発売される。今回の改良の狙いは明快で、「毎日の使い勝手と快適性の底上げ」そして「アウトドア需要へのより直接的な回答」にある。
まず、日々の運行で効き目の大きい装備を全車に標準化した。停車中に前走車の発進を知らせる先行車発進お知らせ機能、施錠に連動して自動で格納されるドアミラー(ドアロック連動格納機能付ドアミラー)、車線変更時に一定回数点滅するコンフォートフラッシャーを全グレードに展開。VX、GX、16X-2R、16X-3Rにはサイドターンランプ付ドアミラーを採用し、交差点での右左折や車線変更時の被視認性を高めている。細かなようで実使用頻度が高いポイントに手を入れた。
居住性・衛生面の改良も見逃せない。全席シートは抗菌仕様となり、運転席と助手席にはスパイナルサポート機能を追加。長時間のドライブや配送でも疲労感の低減が期待できる。毎日を共にする“道具”として、使い勝手と快適性の双方をきっちり磨いてきた印象だ。
もうひとつのトピックは、新グレード「Outdoor Black Edition」の設定。対象はVX、GX、16X-2R、16X-3R。サンドベージュのモノトーンボディに、前後バンパー、ドアハンドル、バックドアフィニッシャー、ホイールをブラックで統一した専用外装を組み合わせ、引き締まった雰囲気と“アウトドアでも映える”存在感を両立。サンドベージュはDXでも選択可能で、ベースの実用性はそのまま、見た目のキャラクターをガラッと変えられるのが魅力だ。
価格はバン/ワゴンとも幅広く、たとえばバンの2WD・CVTではVXが2,523,400円、GXが2,682,900円。これに対し「Outdoor Black Edition」はそれぞれ2,608,100円/2,767,600円と、専用加飾込みでも手が届きやすい設定になっている。
日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)による特装車もアップデートされる。車中泊仕様の「マルチベッド」、ライフケアビークル(LV)の福祉車両「チェアキャブ」、配送現場の負担軽減に効く「ワークユースビークル」シリーズが、ベース車の改良点(抗菌仕様・スパイナルサポート機能、快適&利便装備)を反映。とくに「マルチベッド」には新たに「GX Outdoor Black Edition」ベースが追加され、耐久性・撥水性に優れるCORDURA®製ベッド生地とサンドベージュのボディカラーを組み合わせるなど、“寝ても映える”構成へと進化している。
福祉車両の「チェアキャブ」は、スロープから車いすのままスムーズに乗り込めるのが強み。使い方に応じた3つの室内レイアウトを用意し、車いすやストレッチャーの乗員を含め5~7名が乗車可能だ。乗降用手すり、オートステップ、助手席スライドアップシート(オプション)など、介助者や自立歩行の方にも配慮した装備がポイントになっている。
「ワークユースビークル」シリーズは、庫内の断熱を徹底した「保冷バン」、後方に折りたたみ式自動昇降リフター(最大350kg)を備える「リフター付バン」、装備と外装を充実させた「VX2人乗りバン」や「外装VX仕様ルートバン」まで、現場ニーズに対して的確に刺さるメニューを用意する。積み降ろし効率や温度管理、外装イメージまで、用途に合わせて選べるのが頼もしい。
さらに、NV200バネットのMYROOMについては「12月中旬に仕様向上の詳細を発表予定」と予告された。
「現場」は必死にクルマを作っている、がんばれ日産
総じて、NV200バネットの一部仕様向上は“働く”と“遊ぶ”の二刀流をより明快にした内容だ。運転支援や視認性、操作性に手を入れ、シート快適性と衛生面も強化。そこにアウトドア志向の新グレードで楽しさを加え、特装のメニューまで横断的にブラッシュアップ。地味に見えても、使うたび、積むたび、泊まるたびに効いてくる。実直なクルマが実直に進化した。こういうのが大事なんですよね! ……と自動車情報専門メディアとしては声を大にして言いたい。
先頃、日産は2025年度上期で(半期で)約2200億円規模の赤字を公表、横浜グローバル本社売却も発表している。もちろん財務は大変な状況にあり、リストラや工場閉鎖は深刻な影響を及ぼすだろう。厳しいことは承知で、粛々と進めていただきたい。
いっぽうで、今回のNV200バネット改良のような、地道な「足元のプロダクトの商品力向上」を愚直に積み重ねる姿勢はクルマ好きとしてしっかり評価したい。
「現場」にとっては何千億円の赤字が積みあがっていたとしても、目の前のユーザー、目の前のクルマに向き合う日々が続くし、それだけが日産復活への道筋ともいえる。頑張れ日産、復活の号砲を待っているぞ。
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