今週末の7月9~11日にスペインはモーターランド・アラゴンでの第3戦を控えたWTCR世界ツーリングカー・カップに向け、TCR規定ツーリングカーをグローバルに統括するWSCの技術部門が新たにBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)の改訂版をリリースした。
これにより最新の2代目モデルとなったアウディRS3 LMSとクプラ・レオン・コンペティションTCRはそれぞれ30kgと20kgの重量軽減措置を受け、さらにアウディは最低地上高が80mmから70mmへと低減。その一方でFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRとヒュンダイ・エラントラN TCRは10kgの重量増となっている。
レース1表彰台独占のリンク&コーに逆襲。ホンダのアッティラ・タッシが待望の初優勝/WTCR第2戦
WTCR開幕戦の結果を受け、第2戦エストリルのパドックでも話題の中心となったBoP調整は、ライバルに対して「まるで別の惑星のマシン(イバン・ミューラー)」と直線速度の不足に嘆くシアン・レーシング・リンク&コーが不満を表明。リンク&コーの親会社である吉利汽車(ジーリー)グループが11月開催予定の中国・寧波ラウンドのイベント後援を「辞退する」と発表するなど、シリーズ側に状況の是正を促す圧力を掛けていた。
そのシアン・レーシングはBoP未調整ながら第2戦のレース1で表彰台を独占する好成績を収めたものの、その際にも直線速度の不利は可視化されており、WSCは改めて競合マニュファクチャラーの性能調整を実施する決断を下した。
また第3戦のモーターランド・アラゴンに向けては、ここまでの成績によりコンペンセーションウエイトも加算されることになり、4台のホンダ・シビックを走らせるミュニッヒ・モータースポーツ勢は規定最大の60kgを搭載。
BRCとエングストラー、ターゲット・コンペティションと都合6台のヒュンダイは40kgを。そしてリンク&コー03 TCRは10kgを搭載し、アウディとクプラは未搭載の状況で巻き返しの勝負に挑む。
この結果、BoP再調整と合わせてホンダ勢は開幕2戦と比較して70kgもの重量増を抱え込み、総重量1345kgとグリッド最重量級モデルに。もっとも軽い1265kgのクプラとは80kgもの差がつくことになる。
■「BoPの調整により戦力図は変わる可能性がある」とベルネイ
こうした再調整に対し、現在シリーズランキング首位を行くジャン-カール・ベルネイ(ヒュンダイ・エラントラN TCR/エングストラー・ヒュンダイN・リコモリ・レーシングチーム)は、週末併催が予定される電動ツーリングカー選手権『PURE ETCR(ピュアETCR)』との並行参戦も念頭に「忙しい週末になるだろう」との観測を語った。
「僕らには40kgものコンペンセーションウエイトが搭載されるし、BoPの調整により戦力図は変わる可能性がある。他ブランドと比較して、何が起こるか見てみることにしよう」と語ったベルネイ。
「同じ週末に後輪駆動の高出力EVマシンもドライブするから、競争力を高めるため、セッションの合間ごとにヒュンダイ・エラントラN TCRにすばやく適応する必要がある。でも、その挑戦をする準備はできているよ」
一方、イバン・ミューラー(リンク&コー03 TCR/シアン・レーシング・リンク&コー)やサンティアゴ・ウルティア(リンク&コー03 TCR/シアン・パフォーマンス・リンク&コー)らとともに、3人でランキング2位をシェアするホンダのアッティラ・タッシ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DE・ミュニッヒ・モータースポーツ)も、前戦と比較して70kgも重くなるマシンにより「困難な週末に直面するだろう」との見通しを語った。
「シーズンのスタートはそれほど簡単ではなかったから、ポイントランキングで2位にいるのは素晴らしいことだね」と続けるタッシ。
「この週末にそれを維持しようとするのは良い目標だと思うけど、ウエイト加算の関係でアラゴンではより厳しい時間が予想される。昨季の最終戦(アラゴン)での僕らのペースを考えても苦しいけれど、今週末は最大限にプッシュするつもりだ」
そのほか、新型モデル投入により厳しいBoP調整を課されていたコムトゥユー・レーシングのアウディ勢や、昨季最終戦でポディウム登壇を果たしているミケル・アズコナ(クプラ・レオン・コンペティションTCR/ゼングー・モータースポーツ・サービスKFT)らも、今週末のパフォーマンス向上が予想されている。
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みんなのコメント
おもしろくするつもりが忖度することでおもしろくなくなる。
なんでポイントリーダーじゃないホンダが最重量級なんですか?