鈴鹿サーキットで行われた2019全日本スーパーフォーミュラ選手権の決勝レース。ランキングトップで最終決戦を迎えた山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だったが、ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)の逆転を許してしまい、2年連続チャンピオンとはならなかった。
5番グリッドからスタートした山本はミディアムタイヤを選択。スタートでも好ダッシュを決めて3番手まで浮上した。3周目にはソフトタイヤでペースの良いキャシディの先行を許したが、なかなかペースが上がらないミディアムタイヤで粘り強くポジションを守り、ピットウインドウが開いた7周目にピットイン。ソフトタイヤに交換した。
■チームタイトル獲得の村岡代表「尚貴に速いクルマを渡せなかった……」と複雑な心境
特にシーズン前半はここからペースを上げて逆転していくレース運びができた山本だったが、今回は第2スティントの序盤からタイヤを労わる走りを徹底。レース終盤でのバトルに勝負をかけた。
途中、アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)、石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)とサイド・バイ・サイドのバトルを繰り広げポジションを上げていくも、最終的に5位に終わり、キャシディ(2位)の前でフィニッシュすることができなかった。
「今回はミディアムもそうでしたが、ソフトタイヤに交換した直後から最後まで持たないなという感じはあったので、厳しいなと思って労っていました。仮にタイヤを労らずに走っていたら、もっと早い段階でペースが落ちていたかもしれませんでした。最後は苦しい状態で、特に最後の石浦選手とのバトルで(タイヤを)使い果たしてしまった感じがあって……正直、今日のニックには完敗でした」
そうレースを振り返った山本。パルクフェルメでマシンを降りると、村岡潔チーム代表、杉崎公俊エンジニアらと言葉を交わし、人目をはばからず号泣するシーンがあった。
「ちょっと糸が切れた感じで、何も考えられないような感じでしたが……。クルマを降りて、最初はニックのところに真っ先に行こうと思ったんですけど、エンジニアの杉崎さんがピットウォールのところにいてくれて。まず杉崎さんのところに行きました」
「本当は自分の力が足りなかったし、及ばなかったので『申し訳ない』と彼に謝ろうと思っていました。逆に涙を流して『速いクルマを作れなくて申し訳なかった』と言われて……」
レース後の取材でそう語った山本は、様々な想いが込み上げてきたかのように涙を流しながら続けた。
「メカニックもそうだし、村岡さんもそうだし、チームのみんなに『ゴメン』という言葉を先に言われてしまって……そういうことを言わせたのがレーシングドライバーとして、すごく辛かったです」
「自分の個人のタイトルではあるものの、チームがたくさんの努力をしてくれて、このチャンピオンのために鈴鹿に乗り込んできました。みんなの期待に応えるべくプレッシャーもありましたけど、みんなの想いを余計に知っていたからからこそ、その言葉が胸に突き刺さって苦しかったです」
「村岡さんにも開口一番に『良いクルマを用意できなくてゴメン』と言われました。でも、そんなことはないんです。今回も(福住)仁嶺はいいペースで走れていたし、僕のペースが上がらなかったのは自分自身の力不足だったから。こうして、いい監督のもとでレースができて幸せ者だなと感じた部分もあるし、そんな恵まれたチームで成績を残せなかったというのは、ドライバーとして本当に情けないなという気持ちが強いです」
DOCOMO TEAM DANDELION RACINGは2ポイント差で2012年以来のチームタイトルを獲得したが、山本は年間表彰式の間も涙を流し続けていた杉崎エンジニアを隣で支え続けた。
「杉崎さんも一緒にチャンピオンを獲りたいと言ってくれて、この鈴鹿に乗り込んできていました。僕ももちろんタイトルを一緒に獲りたいなと思ってきました」
「これが“ベストなセッティング”だと思って持ち込んでくれたんですけど、それを活かすことができなかったですし、この週末も僕がうまく組み立てることができなかったので、そこはすごく申し訳なかったです」
先日、F1日本GPのフリー走行1回目に出走したこともあり、今後の山本の動向に注目も集まっているが、ひとまず来週はスーパーGT最終戦が控えている。
来季以降のことについて山本はコメントを控えつつも、まずは心の中を一度リセットしたいと語った。
「ちょっと1回リセットをかけて、今度はニックや他のライバルに負けないように、自分のモチベーションを上げて、またここに帰ってきたいなと思います」
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