カッコカワイイ電動バイクとしての機能を持ちながら、車いすユーザーの気軽な移動手段にもなる。――楽しみながら社会の課題も解決する電動モビリティ「WUSA」(ウーサ)に興味津々で試乗してきた。
開発したのは、モータースポーツをはじめ、医療・福祉、最先端ロボットなど多くの製品開発をしてきたデザイン&エンジニアリング企業のRDS(杉原行里代表取締役社長)。様々なデザイン賞を獲得するかたわら、2020年からスクーデリア・アルファタウリ・ホンダF1のオフィシャルパートナーを務め、ひときわ脚光を浴びている。
ホンダF1よ永遠なれ!! ファインダー越しにセナを見続けたひとりの日本人カメラマンの想い
文/沼尾宏明、写真/池之平昌信
【画像ギャラリー】ホンダモンキーがビッグバイクに見えるほどミニマムなWUSAの詳細はこちら
超コンパクト、モンキー125が大型に見える?
バッテリー+インホイールモーターで走る完全電動モビリティのWUSA(ウーサ)。実物は……とにかく小さい! まさに車名の由来となった「ウサギ」のようだ。昔のホンダ・モンキー(50cc)も小さかったが、さらにコンパクト。足を折り畳むようにして乗るポケバイの感覚だ。
一方でデザインはクール。シャープなフォルムに加え、スイングアームや外装に用いたカーボンがレーシーだ。
試乗したWUSAはプロトタイプ。50cc以下の扱いで、原付免許で運転できる。価格は未定だが、製品版はノンカーボン仕様で20万円台を予定。発売時期は2022年春頃を予定している
コンパクトなモンキー125がビッグバイクに見える(?)ほど、WUSAはミニマム。■全長950 全幅500 全高600(各mm) 車重25kg モーター出力500wまたは1000w バッテリー36V11.6Ah
ワクワクする乗り味、少年に戻れる遊び道具だ!
走り始めると、実にエキサイティング。停止状態から右手のスロットルを捻ると、電動バイクらしく力強く加速していく。目線が低いため、実際の速度よりスピード感があり、しかもほぼ無音なのだから実に新鮮だ。
ポケバイ並みの小径ホイール(6インチ程度)だけに、極低速だとフラつくが、速度を上げると安定。小ぶりながらリヤショックがきちんと仕事をしていて、路面からの衝撃を吸収し、乗り心地も悪くない。
コーナリングも低速だとハンドルが切れ込むが、ある程度の速度を出してしっかりバンクさせるとスムーズに曲がれる。
感心したのは、スロットルを開けたままブレーキができる点。一般的な電動バイクは、ブレーキをかけるとモーターからの動力が途切れてしまうが、WUSAはコーナリング中にスロットルを開けたまま後輪ブレーキでトルクをコントロールするなどスポーティに走れるのだ。
乗るとこんなサイズ感(筆者の身長は177cm)。何より注目度がスゴい。RDSのオフィスがある千駄ヶ谷周辺を走ったのだが、通行人がアツい視線を送ってきた。存在自体が新しい乗り物だ!
軽量かつ高級感抜群のドライカーボンを各部に採用。オートクレープ(窯)を持ち、デザインから加工まで一貫して自社で行える強みだ(製品版はアルミやFRPなどで代用する予定)
車いすにドッキングして動力源にすることも視野
一方で挙動がクイックすぎる面も。外乱や路面の凹凸で前輪が急に切れ込む場面がある。しかし、これは仕方ない一面もあるようだ。WUSAは電動バイクとして楽しめるだけでなく、既存の手動車いすにアタッチメントを介して連結できるのがコンセプト。ホイール径を大きくすれば解決するだろうが、車体が大柄になってしまい、コンセプトに沿わなくなるからだ。
とはいえ、こうした側面も「乗りこなしてみたい」と思えるほど楽しい。童心に戻ってワクワクできる、大人の遊び道具だ。
こうしたチャレンジングなアイデアを具現化できるのも自社内にファクトリーがあるRDSの強み。同社のモノづくりのメリットを最大限に生かしている。
量産に関してのメドは立っており、アライアンスパートナーを組んで製作していくという。
右レバーはフロントブレーキ、左はリヤブレーキで、変速機構は備えない。メーターでは速度や距離、バッテリー残量などを表示する。なお最高速は35km/hとのこと
バッテリーは着脱式で、自宅の室内で充電できる。30~60分でフル充電となり、約45分走行できる
重量は25kgなので運搬はカンタン。自室での保管もできそうだ。ハンドルとステップは内側に折り畳めるので、クルマへの積載もしやすい
ユニークなアイデアで社会の課題を解決したい
「社会課題を面白く解消したいんです」とRDS代表の杉原行里さんは話す。
WUSAもその一環で、誰でも乗れる移動手段を目指して開発した。“誰でも”の中には車いすユーザーも含まれており、WUSAを連結することで車いすを電動モビリティ化できる。徒歩とクルマの中間に位置する、気軽な移動ツールとなるのだ。
RDS代表の杉原行里(あんり)さん。英国でプロダクトデザインを学び、2018年より代表取締役に就任した。2021年には受賞したデザイン賞の数で順位を決定する「DAC」で世界2位を獲得した
RDSは、これまでも世の中の課題に対し、ユニークな手法を提示してきた。
ドライカーボンで約310gという驚きの軽量化を実現した世界最軽量の松葉杖をはじめ、ロボット・AI化された測定解析システムで最適な座位姿勢を素早く体験できる競技用車いす、日常の走行性能と非常時の防災性能を兼備した幼児用カートなど、実に多様だ。
「ドライカーボン松葉杖」は、約310gと驚異的な軽量化を実現。画一的なデザインや素材しかなかった松葉杖の固定概念を崩した。グッドデザイン賞金賞(経済産業大臣賞)を授賞
「競技用車椅子[RDS SS01]」は、自社開発のシートポジションシミュレーター。着座位置を解析し、車いすユーザーの悩みを解決する。オーダーメイドの車いすを作る際に有効だ
小さいウサギが未来を変えるかもしれない
杉原さんが社会課題の解決に関心を持つようになったのは、「みんなで楽しくワイワイやりたい」という明快な思いが根底にあるからだ。
「例えば、車いすの方が乗れない乗り物があったとします。みんながワイワイやっていても、車いすの方は輪に入りにくいですよね。それなら“技術とアイデアで車いすの方も乗れるようにしちゃえ”と考えるタイプなんです」と杉原さん。
移動弱者、医療格差、高齢化etc……。車いすに限らず、今の日本には多くの社会課題が山積みだ。
「日本は、先進国で最初に様々な課題に直面しています。そう考えると、日本は最大の実証フィールドでもある。ここで生まれたソフト、プロダクト、サービスは、世界に横展開できるはず。今は当たり前になったスマートフォンも一昔前は常識ではなかったように、発想を転換して、常識ではないモノを当たり前にしたいんです」
さらに、社会課題を解決するには「眉間にシワを寄せていてはいいモノはできない」と話す。
「会議も同じで、眉間にシワを寄せていてもうまくいかないですよね(笑)。せめてワクワクするものを手掛けていきたい。でも本当は、“自分が乗りたいモノ、やりたいモノをつくりたいから”が一番の原動力ですね」と笑った。
熱量をもって未来を語ってくれた杉原さん。思わず惹き込まれてしまった
WUSAがエキサイティングな乗り物に仕上がっているのは、まさに杉原さんのコンセプトどおり。多くの人が、より生きやすい世の中となり、しかも楽しめる。20~30年後にWUSAのような乗り物が当たり前になっていたら、うれしい。
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