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大型SUVへドンピシャのV6ディーゼル フォルクスワーゲン・トゥアレグへ試乗 価格帯は上昇

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大型SUVへドンピシャのV6ディーゼル フォルクスワーゲン・トゥアレグへ試乗 価格帯は上昇

VWのフラッグシップSUVがアップデート

フラッグシップ・モデルとは、そのブランドの頂点を飾る、上質で高価なクルマに用いられる。われわれは、それに一定の洗練性や性能を期待する。

【画像】価格帯は上昇 フォルクスワーゲン・トゥアレグ ボディサイズが近い大型SUVと比較 全130枚

市民のクルマ、フォルクスワーゲンにとってのフラッグシップは、欧州市場ではトゥアレグだ。2002年に初代が登場して以来、その座を守り続けてきた。ポルシェ・カイエンと技術を共有しつつ、手頃な価格帯でBMW X5などとしのぎを削ってきた。

日本市場へは3代目が導入されていないものの、実はモデルチェンジから5年も経過している。競争力を高めるため、大幅なアップデートが施された。

といっても、その中心はソフトウエア。オプションだった「イノビジョン・コクピット」と呼ばれるインフォテインメント・システムと、12.0インチと15.0インチのモニターが標準装備になっている。

これまで、113万台以上がラインオフしたというトゥアレグ。その台数を勢いよく伸ばせる内容か、順番に確かめていこう。

まずはスタイリングから。フロントマスクに手が加えられ、LEDマトリックス・ヘッドライトを獲得し、シャープな目つきになっている。バンパーのエアインテークは大型化され、ラジエーターグリルの処理も改められた。

リア側もテールライトを中心にリフレッシュ。夜間には、水平に赤い光が灯る。

ボディサイズは変わらず、全長が4902mmで、全幅は1984mm、全高が1695mm。このクラスでは全高が低く、スポーティな印象を与える。

高級感が漂う内装 15.0インチモニターが標準 

パワートレインの選択肢は従来どおり。3.0L V6ディーゼルターボは、230psと286psの2段階の最高出力が選べる。3.0L V6ガソリンターボは、340psを発揮する。同じエンジンのプラグイン・ハイブリッドも設定され、こちらはシステム総合で380psだ。

カイエンに並ぶたくましさを欲するなら、3.0L V6が461psを繰り出す、トゥアレグ Rも選べる。見た目もアグレッシブに仕立てられる。

サスペンションはコイルスプリングが標準だが、追加費用でエアスプリングも指定可能。後輪操舵システムも、オプションで装備できる。

インテリアは、同社のフラッグシップらしく高級感が漂う。ダッシュボード中央には15.0インチのタッチモニターが据えられ、プレミアムでハイテクな印象を与える。メーターパネルもモニター式。高精細でグラフィックは見やすい。

インフォテインメント・システムのメニュー構造は、理解しやすい。表示は美しく、入力に対する反応も素早い。

ただし、実際に押せるハードボタンは殆どない。エアコンの温度調整はスライダーと呼ばれるタッチセンサーで行うが、運転中の操作はほぼ不可能だろう。また、大画面は良いのだが、操作時にフレームなどで手を支えることが難しくなった。

ステアリングホイールにも、タッチセンサー式の操作パネルがある。こちらも、ハードボタンの方が簡便なはず。

内装は、ソフトタッチ加工された領域が広く、素材も上質。ブランドらしい上品さと堅牢さを漂わせる。ダッシュボード上面やセンターコンソールは、レザー張りだ。

大型SUVへドンピシャの3.0L V6ディーゼル

車内空間は前後とも広々。荷室も広い。パノラミック・ガラスルーフが装備され、特別感を引き上げていた。

運転姿勢は乗用車へ近い。シートやステアリングホイールの調整域が広く、快適なポジションを探しやすい。死角を考えると、座面は高めの方が良いだろう。

試乗車の3.0L V6ディーゼルターボエンジンは、大きなSUVへドンピシャ。61.0kg-mと余裕のあるトルクで、充分以上の力強さを叶えている。

低速域ではディーゼルらしい唸りが聞こえてくるものの、幹線道路へ入れば気にならなくなる。8速ATは基本的に滑らかで、市街地の移動も快適。だが、強めにアクセルペダルを傾けると、適したギアを選ぶのに迷うことがあった。

ドライブモードをスポーツへ切り替えると、活発さが増す。ノーマル・モードの方が、全般的には快適に思えた。

高速道路の速度域でも、車内は静か。舗装が古い区間では、21インチ・タイヤのノイズが増すが、上質さを損なうほどではないだろう。

上級なブラックエディション・グレードの試乗車の場合、セルフレベリングと車高調整に対応したエアサスが標準。路面の凹凸をしなやかにいなし、落ち着いた乗り心地を提供していた。

ホイールが21インチと大きく、エアスプリングにありがちな跳ねるような振る舞いも感取されたが、舗装の剥がれた穴などは平然と対処。ボディロールも小さく、高めの全高でも安心感は高い。

後輪操舵システムの反応は自然。ゴルフへ匹敵するほど小回りも利く。

悪路性能も高評価 求める内容は不足なく満たす

不整地での能力も高く評価できる。ランドローバー・ディスカバリーなど、本気のオフローダーには及ばないとしても、現実環境で動けなくなることは稀だろう。

短い悪路を走らせてみたが、オフロード・モードが効果を発揮。ローレンジ・ギアやロックデフは備わらなくても、問題なく走破してみせた。エアスプリングで車高を高めれば、起伏の激しい区間もお構いなしだ。

燃費は、郊外の流れの速い区間や市街地を交えて、平均で10.9km/L。高速道路を中心に走れば、12.0km/Lくらいは得られるだろう。

かつてのトゥアレグは、アウディやBMWと比べて価格価値に優れるとみなされてきたが、最近はそうともいえなくなった。試乗車の、ブラックエディションの3.0TDIは、7万2665ポンド(約1315万円)に達していた。

これは、BMW X5だけでなく、アウディQ7も選べる価格帯になる。ベースグレードのポルシェ・カイエンすら検討できる。

また、フォルクスワーゲンらしい機能的で落ち着いたデザインと、高級車らしい豪華な雰囲気を両立させることは、少し難しい課題かもしれない。価格に相応しい魅力までは、感じにくいだろう。

それでも、車内は広く洗練され、インフォテインメント用の大画面も現代的な印象を演出している。オフロードにも問題なく対応でき、大型SUVへ求められる内容は不足なく満たしているといえる。

フォルクスワーゲン・トゥアレグ・ブラックエディション 3.0TDI 4モーション(英国仕様)のスペック

英国価格:7万2665ポンド(約1315万円)
全長:4902mm
全幅:1984mm
全高:1695mm
最高速度:236km/h
0-100km/h加速:6.4秒
燃費:12.2km/L
CO2排出量:215g/km
車両重量:2118kg
パワートレイン:V型6気筒2967cc ターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:286ps
最大トルク:61.0kg-m
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

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みんなのコメント

11件
  • 見た目が良くなった。
    日本でも売れてもらいたかったが、
    輸入車購買層が絶対的に少ないから難しいし、
    アメリカとドイツしか考えてないサイズ感だからね。
    今はポルシェも金あっても鈍重なカイエンより
    マカンの最上位グレードでオプション載っけ盛りっていう人が多いように思える位マカンだらけだからな。
  • VWとして出すならこの価格は厳しいな。
    この価格なら直6ディーゼルのX5が間違いない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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