サーキット走行を念頭においた「Mハイパフォーマンス・モデル」のコアモデルとなるM3。足回りやエンジンをはじめ、ベースの3シリーズとはまったくの別物な仕立てだ。内燃機関のみで500psオーバーの直6を後輪駆動で楽しめる、今や貴重なモデルの走りとは。
ベースの3シリーズとはまったくの別物
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2021年1月、第6世代となるM3(G80型)が日本に上陸した。初代M3(E30型)は1986年に当時のDTM(ドイツツーリングカー選手権)のホモロゲーション用モデルとして開発されたもの。ボディタイプは初代では2ドアのみの設定だったが、2代目(E36)より、4ドアも追加された。
この初代M3の成功がBMW M社を一躍有名にした。いまでは、同社のオリジナルエンジンを搭載したコンプリトカーであるサーキット志向の“Mモデル”と、標準モデルをベースに独自のチューニングをした公道仕様の“Mパフォーマンスモデル”というふうに、ラインナップの幅を広げている。
そして、最新のMモデルでは、4ドアがM3、2ドアがM4と、ベースモデルが3シリーズと4シリーズに棲み分けされたことに伴う区分けがなされている。
エクステリアデザインでまず目につくのは、現行型4シリーズに採用された大きな縦長のデザインを踏襲するキドニー・グリルだ。これはキドニー・グリルのルーツといわれる1933年のBMW初のオリジナル4輪車「303」をモチーフとしたものだ。
キドニー・グリルのデザインは、時代とともに、縦長から四角や横長などへと変遷しており、再び縦長へと原点回帰したものだ。この新たな4シリーズ顔を、セダンで唯一身につけているのが、この新型M3ということになる。
またルーフはカーボン製となり、フロントからリアへと続くブラックシル、リアのトランクスポイラーなどM専用のデザインエレメントが、エクステリアを引き締めている。ボディサイズはMパフォーマンスモデルの「M340i XDrive」が全長4720mm、全幅1825mm、全高1445mm、ホイールベース2850mm、前後トレッド1580/1570mmなのに対して、「M3 competition」は、全長4805mm、全幅1905mm、全高1435mm、ホイールベース2855mm。前後トレッド1615/1605mm。
ベース車両に対して全幅は80mm、トレッドは35mmも拡大しており、前後フェンダーまわりはとても抑揚のある造形になっている。歴代Mモデルは、例えば足回り1つをとってもダンパーやスプリングを強化するだけでなく、アーム類などをはじめシャシーも念入りに補強することで知られており、ベースの3シリーズとはまったくの別物だということがわかる。
スペシャルなエンジンは筆舌に尽くしがたい気持ちよさ
試乗車は「アイル・オブ・マン・グリーン(マン島の緑)」というボディーカラーに、「キャラミ・オレンジ」のレザーインテリアを組み合わせていた。モータースポーツやレーストラック由来のカラーは、Mモデル専用に設定されたものだ。
パワートレインは、最高出力510ps、最大トルク650Nmを発揮するM社謹製S58型3リッター直6ツインターボエンジンに、シフトスケジュールを変更可能なMドライブロジック付き8速ATを組み合わせる。駆動方式はFRの後輪駆動。ちなみにこの新型はM3としては初となる4輪駆動(xDrive)モデルを選択することも可能になった。
スプリングもダンバーも相当に硬いはずなのに、それをきっちりとシャシー全体で受けとめている。だから、日常領域でも快適だし、上質とすら感じられる乗り味だ。荒れた路面からの入力や、首都高速の大きな目地段差を乗り越えた際のつきあげも上手におさめていく。4ドアだし、これならファミリィカーとしても使えるのではと思った。
ドライブモードは、エンジン、シャシー、ステアリング、ブレーキ、トラクションコントロールなど、詳細にセッティングすることが可能で、好みの組み合わせを事前に登録しておけばステアリングに備わる「M1」「M2」ボタンで呼び出すことができる。
いざスポーツモードに切り替えれば、Mスポーツエキゾーストシステム内部のフラップがひらき、直6らしく抜けのいい音が高回転域まで響きわたる。M社のスペシャルエンジンがもたらす気持ちよさは、筆舌に尽くしがたい。そしてコーナリング時のスタビリティの高さも盤石のものだ。試乗車にはドリフトの速度や距離、角度などを記録、分析してくれる「Mドリフト・アナライザー」なる機能が備わっていたが、それはもちろんサーキットでのお楽しみだ。
いまや500ps超のエンジンを2WDで提供するメーカーなどほとんどない。また一番のライバルであるメルセデスは、AMGモデルの電動化を着々と進めている。このM3、そしてMTまで選べるM4の存在は貴重だ。ピュアな直6の内燃エンジンに、後輪駆動の組み合わせが選べる、これが本当にラストチャンスなのかもしれない。
文・藤野太一 写真・ビー・エム・ダブリュー 編集・iconic
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みんなのコメント
バイクで200馬力は考えられない。ざっくり調べたら車重200kg以下?クレイジーの一言だよ!