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修理代は2000万円オーバー? 23年所有する「アルファロメオGT1600ジュニア」オーナーの泣き笑いエピソード

掲載 更新 53
修理代は2000万円オーバー? 23年所有する「アルファロメオGT1600ジュニア」オーナーの泣き笑いエピソード

トラブルが起きても”いつか”笑い話となる

 ここ数年で旧車ブームが到来し、各方面で注目を浴びている。そのブームの前から、乗っているオーナーからよく耳にしたのは、私自身もそうだが、周りの人から「維持費や購入金額を聞かれることがある」ということだった。

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 そこで今回は、旧車オーナーになろうとする人たちへのなんらかの参考になればと思い、著者が所有する1974年式のアルファロメオを例に旧車維持の醍醐味と大変さを紹介していこう。

最初に購入しようと思ったアルファロメオ・ジュニアZ

 筆者(高桑)が1998年に購入し、いまでも愛用している旧車の名は1974年式アルファロメオ GT1600ジュニア。そのボディカラーから、自身では「水色号」と呼んでいる。まずは、買った経緯からお伝えしたい。

 数あるアルファロメオの中でも、筆者が一番最初に好きになったのはジュニアZというモデルだ。ジュニアZは、1969年から1975年まで生産されたスタイリッシュなロードカー。1970~72年に1300cc版が1108台、1972~75年に1600cc版が402台デリバリーされた。わずか1510台しか生産されていないので、かなり稀少なアルファロメオだといえる。 直線基調のウェッジシェイプはカロッツェリア・ザガートが描いたもの。車名の最後に付けられた「Z」は「Zagato」の頭文字だ。

 大ヒット作となったアルファロメオ・ジュリア(105/115系)の派生モデルとして1969年のトリノ・ショーでデビューしたジュニアZは、それまでのアルミボディが与えられたSZやTZといったザガート系アルファロメオとは異なり、レースに参戦しないロードカーとして設計され、車体はスチール製だった。

 ちなみに、ザガートがデザインした個性的なアルファロメオは、その後、1989年デビューのアルファロメオSZ(ES30型)が登場するまでリリースされなかった。

好きすぎてジュニアZを紙粘土で自作

 いま思うと完全に若気の至りなのだが、高校2年生のときに紙粘土でジュニアZのプロポーションを模したモノを自作したことがある。近所のホームセンターで針金をたくさん買ってきて、ジュニアZの形っぽくフレームを組み、そこにペタペタと紙粘土をくっつけていったのだ。それほどまでにジュニアZのことが好きだった。 高校2年生のときは、すでに友人たちと原付バイクでツーリングに行ったりしながら自宅でバイクいじりを楽しんでいたので、さまざまな工具が揃っており、針金を曲げたり切ったりすることが容易だったのである。

 物持ちがいいので、高校2年生のときに紙粘土で作ったそのジュニアZを現在もガレージ内で保管し、大切にしている。自分では、なかなか上手く作れたと思っているが、いかがだろうか。

ショップのひと言がきっかけでGT1600ジュニアを購入

 高校を卒業し、大学生になってからもジュニアZへの想いが消えることはなく、ずっと憧れ続けていた。だが、18歳で普通自動車の第一種運転免許を取り、クルマを運転できるようになったものの、いきなり稀少かつ高価なアルファロメオを買えるだけの軍資金が手元にあるはずもなかった。

 そこで、まず中古の日産マーチ・ターボを買い、それにしばらくのあいだ乗っていた。マーチ・ターボ生活を続けながらジュニアZに憧れ続け、初志貫徹で27歳のときに最寄りのアルファロメオ専門店にジュニアZを買いに行った。

 売り物を見せてもらっているときに専門店の社長さんから「ジュニアZは維持するのが大変なので、人生初のヒストリックカーとしてジュニアZを買うのはやめておいたほうがいいかもしれないよ。まずは維持しやすい普通のクーペモデルを買って、それに慣れてからジュニアZにしたほうがいいでしょう」と優しく諭された。 その言葉を信じて1974年式アルファロメオGT1600ジュニアを買うことにした。あれから23年。購入時に18万kmだった走行距離が、すでに30万kmを突破した。

エンジンは2基目

 昨今の旧車ブームの影響で往年のアルファロメオの販売価格もジワジワ高騰してきたが、筆者が1974年式アルファロメオ GT1600ジュニアを購入したのは1998年のことなので、クルマの価格は200万円だった。真夏に購入し、いきなり、雨の日も風の日もガンガン乗るという普段使いをしてしまったので、やがてエンジンがパワーダウンしてしまい、ボディの各部が錆びてしまった。

 まず、エンジンを載せ替え、その後、アルファロメオ専門店経由で鈑金塗装を依頼した。購入当初のボディカラーは赤で、それを鈑金塗装時に白にしてもらったのだが、ガレージ内の本棚が過積載によって崩壊したことにより、白は半年という短命で終わった。

 本棚の崩壊により再び鈑金塗装をすることになった……という非常にバカバカしい展開になったので、そのときのことはハッキリ憶えており、白から水色に鈑金塗装するときの出費は80万円だった(もちろん、自腹)。

 赤から白にチェンジしたときの一番最初の鈑金塗装時のコストは憶えていないが、まあ、そんな感じの出費だったと思ってもらっていいだろう。

 ちなみに、日々の足として乗る、という筆者の使い方が特異なのでエンジンは2回載せ替えており、一回目も二回目も、それなりの金額をお支払いした。結構な出費だったので、脳内のサーキットブレーカーが落ちてしまい、かかったコストについてはまったく記憶がない。なお、二回目の載せ替え時に組んでもらったエンジンは、現在も完調だ。

各部のリセット作業は日常茶飯事

 1974年に生産され、走行距離が30万kmに近づいてくると、金属疲労が避けて通れない問題となる。ここでは実際に起きたトラブルを紹介していこう。

プロペラシャフトのユニバーサルジョイント部ネジの破断・脱落

 我が愛車はプロペラシャフトのユニバーサルジョイント部のネジが有料道路を走行中にすべて破断・脱落し、ドライブシャフトは一般道を走行中に折れてしまった。

 両方とも九死に一生を得たが、もしもドライブシャフトが高速道路を走っているときに折れていたら、筆者がこの原稿を書く機会はなかっただろう。

 ユニバーサルジョイント部のネジの破断・脱落やドライブシャフトの折損はクルマが動かなくなるトラブルだが、それらを経験した後に味わったのがクルマを止めることができなくなるというトラブルだ。

ブレーキトラブル

 つまり、ブレーキのトラブルである。筆者の1974年式アルファロメオ GT1600ジュニアは右ハンドルなのだが、ブレーキのオイルラインがタンデムで、マスターバック(ブレーキブースター)も前後別々でエンジンルーム内に2つ装備している。

 マスターシリンダーもタンデムということになり、現在、これが我がアルファロメオ GT1600ジュニアのウイークポイントになっている。すでに4回も抜けてしまったからだ。1回目は浜名湖でフィアット・パンダのイベントを取材した後、会場を出て2つ目の信号で、いきなりスコーンと抜けてしまった。

 慌ててサイドブレーキで止めたが、トヨタの高級ミニバンのリヤバンパーまであと数cmだった。心臓が飛び出るほど驚いた。アブナイあぶない。2回目は浜名湖の近くのショップで交換してもらったマスターシリンダーが、クルマを引き取り、自宅に帰る際に使った新東名高速道路にて抜けてしまった。

 そういえば、浜名湖でのブレーキトラブル時は新幹線で東京都の多摩地域南部にある家まで帰って、引き取り時も新幹線で浜名湖の近くまで行ったので、余計なコストがかかってしまった。

 3回目は、蓼科で開催されたアルファロメオのイベントに向かっている際に抜けてしまった。過去2回の経験でブレーキが抜ける予兆を感じることができたので、ペダルのタッチが悪くなってきたときにクルマをストップした。4回目は福岡でクルマをフェリーから降ろし、1.5kmほど走ったところで抜けた。 このときはブレーキスイッチが壊れ、そこからブレーキフルードが漏れていたので、マスターシリンダーではなく、これが原因だったことも考えられる。3泊4日のラリーイベントだったので、レンタカーを使って取材しつつ、北九州にあるショップに保険のトランポで運んでブレーキを修理してもらった。

 結果的に4回目のトラブル時は、九州までブレーキを修理しに行っただけ、ということになったので、我が愛車のおバカなエピソードをランキング形式で紹介する機会があったら必ず上位に来る打ち明け話だ。

 なお、ブレーキのマスターシリンダー修理は1回:8~9万円程度の出費となる。参考までに記しておくと、足まわりのブッシュ類、ダンパー、ブレーキローターまでをフルで交換すると65万円ぐらいの出費となり、この作業も定期的に実施している。

人によっては耐えられないかもしれない苦労の嵐

 これは趣味車の世界のみならず人生および仕事の先輩でもあるケータハム・スーパーセブン・オーナーから伺った話なのだが、このパイセンは箱根取材に向かう最中の東名高速道路で、走行中にマフラーが外れてしまったのだという。

 ラッキーなことに懇意にしているショップの最寄りインター手前での出来事だったこともあり、予定を変更して訪問することを決意。箱根で待つカメラマンに事情を説明し、現地で待ってもらうことにして、マフラーを接続してもらってから再び東名高速道路で西に向かったと話してくれた。

 筆者のブレーキトラブルと同じように、旧車の場合、条件が揃えば出先でもなんとかなってしまい、笑い話になるのだが、人によっては耐えられないかもしれない案件だろう。

 これまでにかかった正確な出費のことは憶えていない、というかトータルの維持費を計算したことがないが、おそらく、整備代、ガソリン代、保険、税金などを全部含め、毎年100万円程度の出費が続いてきたのだと思う。

 車検と走行3000kmごとのオイル交換だけで済む年もあれば、鈑金塗装やエンジンの載せ替えや足まわりのリフレッシュなどで出費がかさむ年もあり、平均すると100万円程度になるということだ。

 かつてクローズドコースでマークした1974年式アルファロメオ GT1600ジュニアの最高速は190km/hほどで、高速道路の追越車線を難なく走ることができる。燃費は1Lあたり9~10km前後といった感じだ。

旧車を見かけても「壊れますか?」とは訊かないでほしい

 取材で、いろんなところへ行かせてもらったが、コロナ禍の影響でここ最近は遠方のイベント取材ができていない。これから徐々に復活させていきたいと思っているので、どこかで見かけたら、声をかけてほしい。

 たとえ、どんなことがあっても、そのオーナーが楽しいと思っているのだから……「壊れますか? 維持費はどのぐらいかかりますか?」などということは、当たり前であると思っていただき、できれば聞かずに温かい目で見守っていただけたら幸いだ。これからも、がんばってリセットして、走り続けよう。

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みんなのコメント

53件
  • 故障の内容が恐ろしいですね。
    微笑ましく見ていた旧車への意識が変わりました。
    危害を加える可能性がある方向の整備は過剰にしているものだと勝手に信じていました。
    記事の書かれ方がそういう方針だから仕方ないですが、もし取り返しの付かない事故に発展していたらと思うと誰も笑えない。
    他人の命や財産を奪うことのないよう十分に気を付けて欲しいです。
    とりあえず旧車には近づかないようにしたいと思います。
  • 他人に迷惑かけなければ何に乗ろうが好きにすれば良いかと思う。

    だけどこの筆者の場合はヤバいでしょう。
    下手したら他人の命を奪いかねない。

    壊れたら直そうではなくて、壊れないメンテナンスが出来ないのであれば旧車に乗らないでいただきたい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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