9月29日、WRC世界ラリー選手権第11戦『ラリー・チリ・ビオビオ』のデイ1が行われ、4年前に行われた前回大会の覇者であるオット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組(フォード・プーマ・ラリー1)が総合トップでラリー初日を駆け抜けた。日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合6番手につけている。
2019年の初開催以来、コロナ禍を経て4年ぶりにWRCカレンダーに復帰し2度目の大会実施を実現させたラリー・チリ。同イベントは南北に非常に長いチリのほぼ中央部に位置する、ビオビオ州の州都コンセプシオンを中心に29日(金)のデイ1から10月1日(日)のデイ3にかけて、計16本のSSで争われる。
SS1で痛恨のクラッシュ「曲がるのが少し早かった」とラッピ/2023年WRCチリ デイ1後コメント
2023年シーズン最後のグラベル(未舗装路)ラリーである今大会は、シェイクダウンとセレモニアルスタートが実施された28日(木)の翌日から競技がスタート。気温8℃と春先の低い気温のなかで始まったオープニングステージのSS1はタナクが制し、ステージとの相性の良さを予感させた。
雲ひとつない青空が広がりドライコンディションでの実施となった初日午前中のループでは、その後SS2とSS3が行われ、いずれもTOYOTA GAZOO Racing WRTのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)がベストタイムをマークした。選手権2位につけるイギリス人はミッドデイサービスを迎えた段階で首位に立ち、総合2番手に浮上したテーム・スニネン(ヒョンデi20 Nラリー1)に2.6秒、ハイブリッドシステムのトラブルやスピンの影響で3番手に後退したタナクには2.7秒のリードを築く。
しかしエバンスは、午後の再走ステージが始まると苦戦に転じる。SS4ではスニネンがステージウインを飾り総合でもトップに。トヨタのドライバーはタナクにも抜かれ総合3番手にダウン。続くSS5はタナクが最速タイムを記録して首位スニネンを逆転し、SS6で今大会3度目のステージウインを飾る。これにより直前のSS5で1.1秒だったギャップを4.2秒に拡げている。3番手エバンスとのタイム差は12.7秒だ。
出走順が早いドライバーたちのなかでエバンスが善戦するなか、僚友で選手権リーダーであるカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)はルーズグラベルによってグリップを得られず苦労することに。SS6ではハーフスピンする場面もあり、このステージでティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)に抜かれ総合5番手に後退。首位タナクとヌービルのタイム差は27.7秒、ロバンペラはさらに11秒の後れを取っている。
■ラッピとルーベが午前中に大クラッシュ
自身5度目のワークス参戦となった勝田は、午前中のループで苦戦を強いられながらも、午後はセッティングを変更したことでペースが向上しロバンペラと6.9秒差の総合6番手につけている。彼の後方は50秒以上の間があいて“ラリー1デビュー戦”に挑むグレゴワール・ミュンスター(フォード・プーマ・ラリー1)が総合7番手につけている。WRC2勢のサミ・パヤリ、オリバー・ソルベルグ(ともにシュコダ・ファビアRSラリー2)が総合8、9番手。地元チリ出身のアルベルト・ヘラー(フォード・プーマ・ラリー1)が10番手に入った。
なお、ラリー・チリの競技初日は大きなアクシデントも続発した。オープニングステージでは、エサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)がフィニッシュ直前のコーナーでイン側のコンクリートブロックにフロントを引っ掛けてしまい、ロールをともなうビッグクラッシュを喫した。幸いラッピとコドライバーのヤンネ・フェルムは無事だったが、マシンの損傷が激しくヒョンデ・シェル・モビスWRTはラッピ組のリタイアをアナウンスしている。
また、Mスポーツのピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)もSS3の15km地点付近でコースオフ。こちらもクルーの無事は確認されているものの、マシンがロールし大きなダメージを負ったことから翌日のラリー復帰は難しいと思われる。
そのデイ2はサービスパークの南側エリアで、3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行する。SS7からSS12までのステージ合計距離は154.00kmとなり、これは3日間で最長。リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は522.10kmに上る。
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