新規定に基づいたハイブリッドマシン
text:James Attwood(ジェームズ・アトウッド)
【画像】羊の皮をかぶった狼シリーズ【アウディの市販ハイパフォーマンスカー7選】 全158枚
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
アウディは、2023年のル・マン24時間レースに挑戦するマシンのコンセプトワークを「ほぼ完了」したと発表した。兄弟ブランドのポルシェがル・マン24時間レース用に開発している新型ハイパーカーとの関連性も示唆されている。
ドイツ・インゴルシュタットに本拠地を置くアウディは、これまでに耐久レースで13回の優勝を果たしており、最近では2014年にR18で勝利を挙げている。2016年シーズンを最後に耐久レースから撤退したが、2023年に復帰することになっている。
同じフォルクスワーゲン・グループのポルシェとともに、アウディは新しいLMDhレギュレーションに基づいて参戦する。このレギュレーションでは、企業に独自のパワートレインを開発する自由が与えられているが、ハイブリッドシステムのスペックを統一するなどコスト削減策も盛り込まれている。
アウディ・スポーツの代表であるユリウス・ゼーバッハは、同プロジェクトはポルシェと共同で開発が進められていると述べ、2台のマシンが密接に結びついていることを示唆した。彼は次のように述べている。
「フォルクスワーゲン・グループの大きな強みは、市販車の開発において各ブランドが協力し合えることです。わたし達は今、この実績あるモデルをモータースポーツに移植しようとしています」
アウディとポルシェは、レースの歴史の中で多くの成功を収めている。ポルシェは19回の優勝を果たしており、直近では2017年に勝利した。
カスタマーチームにも並行して提供
アウディは、シャシーのパートナーを選び、「エンジンのコンセプト」も決定したとしているが、パワートレインについてはほとんど詳細を明らかにしていない。LMDhのルールでは、空力的に厳しい制限が設けられているが、アウディ・スポーツは同社の市販車デザイナーと協力して、マシンのスタイリングを検討しているという。
アウディ・スポーツのファクトリー責任者であるアンドレアス・ルースは、アウディ・スポーツの新しいル・マン参戦マシンを、「ファクトリーチームと並行して、カスタマーチームにも提供します」と述べている。LMDhのレギュレーションに基づいて製造された車両は、米国のスポーツカー選手権であるIMSAにも参戦することができ、アウディにはすでに潜在的なカスタマーからの関心が寄せられているという。
ルースは、「ワークスチームと並行してカスタマーに販売する」という決定は、アウディ初のル・マン優勝車であるR8で採用した哲学を引き継いでいると付け加えた。R8の5回の優勝のうち、2回はプライベーターチームが獲得したものだ。
アウディは来年のダカール・ラリーに参戦する水素駆動のオフローダーも開発しており、ルースはこの2つのプロジェクトを並行して進めていると語った。
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