元FIA会長のジャン・トッドは、2008年のF1シンガポールGPはイベントに「不正な」性質があることから、記録から抹消されるべきだったという元F1ドライバーであるフェリペ・マッサの評価に同意した。
マッサはF1とFIAに対し、彼らが2008年のシンガポールGPの『クラッシュゲート』スキャンダルを隠蔽するために共謀したと主張し、法的措置を取っている。シンガポールGPでは、ルノーのネルソン・ピケJr.がセーフティカーを出すため故意にマシンをクラッシュさせた。これによりピケJr.のチームメイトだったフェルナンド・アロンソは、ピットストップを行って新タイヤに交換し、首位に浮上して最終的にレース優勝を飾った。FIAは後に、ピケJr.のクラッシュは意図的でルノーが仕組んだものだと明らかにした。
2008年F1タイトルに関する訴訟手続きを進めるマッサ、FIAとF1の調査結果に期待。回答期限を1カ月延長
この悪名高い出来事は、F1やFIAにとって最高の節目ではなかったが、この一件については訴訟が終結して措置が取られた。しかし事件は今年初めに蒸し返された。F1の元最高権威者バーニー・エクレストンが、彼と当時FIAの会長だったマックス・モズレーがレース後に『クラッシュゲート』スキャンダルのことを知っていながら、「大きなスキャンダル」となることを避けるために対処しないでいることを決めたという、物議を醸すコメントを発したのだ。
この暴露話によって、マッサはフラストレーションを再燃させ、FIAとF1が共謀してスキャンダルを隠蔽したことで、正当な勝利を彼から奪ったという確信を得た。マッサは、当時モズレーが指揮を執っていたFIAはルノーをレースから失格にするか、イベント自体を選手権から抹消するべきだったとし、そうなっていれば2008年のタイトルは自身が手にしたはずだったと考えている。
裁判所で訴訟を起こして以来、マッサの弁護団はこの事件の関係者から積極的に文書を収集してきた。1993年から2007年までフェラーリのチーム代表を務め、2008年にはスペシャルアドバイザーとなっていたトッドは、イタリアの『La Stampa』との最近のインタビューで、FIAはあの状況に違う形で対処できたはずだと認めた。
「論争には触れないが、彼(マッサ)にとって心理的に非常につらいことだった」とトッドは語った。
「話が知られていたら、我々はもっと厳しくなれたかもしれないが、シンガポールGPは不正に操作されたので、中止されるべきだったのは間違いない」
トッドのコメントはマッサのF1とFIAに対する法的主張を直接支持するものではないが、この一件に関するマッサの見解をある程度裏付けている。元FIA会長であり、スポーツの世界で尊敬される人物としてのトッドの立場も、法的手続きにおいて幾分か重みを持つ可能性がある。トッドのコメントが完全に意味するところについてはまだ分からないが、フェリペ・マッサとF1/FIAとの進行中の法廷闘争に、新たな陰謀の側面が加えられたことは間違いないだろう。
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