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【超Lクラスミニバンは12月16日販売開始!!】グランエースはアルファードと何が違う!?

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【超Lクラスミニバンは12月16日販売開始!!】グランエースはアルファードと何が違う!?

 第46回東京モーターショー2019には、市販予定のさまざまなプロトタイプ(試作車)が出展された。その中でも特に注目されたのがトヨタのグランエースであった。

 トヨタはアルファード/ヴェルファイアでLクラスミニバンマーケットを席巻し、圧倒的な販売をマークしている。さらに大きいグランエースを投入してきたが、グランエースの新車紹介をするだけでなく、アルファード/ヴェルファイアとは何が違うのか? 日本で受け入れられるのか? といった点を渡辺陽一郎氏が考察する。

【グランエースは世界一のミニバンか?】対抗できるのはレクサスLMだけ?

文:渡辺陽一郎/写真:TOYOTA、MERCEDES-BENZ

【画像ギャラリー】アルファード/ヴェルファイアを超える超高級ミニバンのグランエース

グランエースは商用車ベース

アルファード/ヴェルファイアよりも大きい全長5300×全幅1970×全高1990mmの超Lクラスミニバンとして12月16日から日本で販売を開始

 全長が5300mm、全幅は1970mm、全高は1990mmに達する大柄なミニバンで、同じトヨタのアルファード&ヴェルファイアとは素性が違う。グランエースは、タイやフィリピンで販売される海外版ハイエースをベースに開発されたからだ。

 商用車ベースのミニバンだから、駆動方式は後輪駆動だ。4WDは用意されない。ボディの下側に耐久性の高いラダーフレームを備え、ここにエンジン、サスペンション、ボディなど架装している。

アルファード/ヴェルファイアが乗用車ベースのFFなのに対し、グランエースのベースとなったのは写真の海外版ハイエースゆえ、駆動方式もFRとなる

 サスペンションは前輪がストラット、後輪はトレーリングリンクを備えた車軸式だ。スプリングはすべてコイルとなる。

 ボディが大柄でホイールベース(前輪と後輪の間隔)も3210mmと長いが、後輪駆動で全幅はワイドだから、前輪の最大舵角を大きく確保できた。そのために最小回転半径は5.6mに抑えている。

ディーゼルの大トルクが魅力

 エンジンは直列4気筒2.8Lクリーンディーゼルターボだ。ランドクルーザープラドが搭載するのと同じタイプで、最高出力は177馬力(3400回転)、最大トルクは46.1kg-m(1600~2400回転)となる。典型的なディーゼルエンジンで、実用回転域の駆動力を高めた。尿素水溶液を使い、窒素酸化物の浄化性能を向上させている。

 最大トルクの数値は、ガソリンエンジンに当てはめると4.5L並みで、車両重量が2740~2770kgという重いボディに適する。トランスミッションは6速ATだ。

車重は2740~2770kgとアルファードより約600kg重い超重量級ボディながら、46.1kgmのビッグトルクの2.8Lディーゼルターボを搭載してカバー

プレミアムは2×3の豪華6人乗り

 グランエースで注目されるのは、広くて豪華な室内だろう。全長がアルファード&ヴェルファイアと比べても350mmほど長く、大容量の室内を確保した。

 グレードは車内の造りに応じて2種類が用意され、乗車定員が6名のプレミアム(価格は650万円)と8名のG(620万円)がある。

上級グレードのプレミアムは2×3列の6人乗りとなる。すべてのシートが独立しているのも魅力で、快適な室内空間を実現している

 注目されるのは上級のプレミアムだ。2人掛けの3列シートだから、乗車定員は6名になる。2列目と3列目には、アルファード&ヴェルファイアの2列目と同様のエグゼクティブパワーシートを装着した。

 このシートは両側に固定されたアームレストを備える豪華な造りで、座面の下側からはオットマンが持ち上がり、膝から先をサポートする。オットマンやリクライニングの調節は電動式だ。格納式のテーブルも備わり、2/3列目の両方とも快適に座れる。

プレミアムの2列目、3列目とも両側に固定されたアームレストが装着され、飛行機のファーストクラスのシート並みの快適性をもつ

2×4の8人乗りもラインナップ

 Gは2人掛けの4列シートを装着して、乗車定員を8名にした。アルファード&ヴェルファイアなどの8人乗りは、1列目が2人掛け、2/3列目を3人掛けにして乗車定員を8名にしたが、グランエースは4列のシートを備えることが特徴だ。

 Gのシート配列を見ると、2列目はプレミアムと同じエグゼクティブパワーシートで、3列目はアルファード&ヴェルファイアのリラックスキャプテンシートに準じたセパレートシートになる。

セカンドグレードのGは2×4列の8人乗り仕様となる。4列しよとするために3列目、4列目は若干簡素化されたシートとなるが使い勝手はいい

 最後部の4列目はシンプルな造りだが、座面を持ち上げて前方にスライドさせ、荷室面積を拡大できる。プレミアムは最後部の3列目もエグゼクティブパワーシートだから、畳んで荷室を広げることはできず、使い勝手に違いが見られる。

 なおGには4列のシートが備わるが、車内の広さはプレミアムと同じだ。Gではシートが1列増えるぶんだけ、1名分の足元空間は狭まる。

商用車ベースだが豪華なインパネ

 インパネの基本レイアウトは、商用車の海外版ハイエースと同じだが、装飾類の見栄えは大幅に違う。グランエースではドアトリムなどに合成皮革を使い、サテンメッキの装飾も豊富に装着して質感を高めた。

アルファード/ヴェルファイアをも凌駕するレベルの豪華さを誇るグランエースのインパネ周り。計器類も整然と配置され操作性もよさそう

 インパネ中央のパネルには傾斜が付けられ、操作性を向上させている。ストレートに動かすATレバーも使いやすく、自発光式オプティトロンメーターも見やすい。メーターフードには表皮を巻いて、糸を使う本物のステッチ(縫い目)をあしらった。ステアリングホイールも本革巻きで、部分的に木目調となる。

 このほか車内にはLEDを使った読書灯や各種イルミネーションが豊富に備わり、空調は前後席ともにオートエアコンが装着される。インパネには8インチのディスプレイオーディオ、DCM(専用通信機能)などが備わる。

安全装備で快適ドライブ

 安全装備も充実させた。衝突被害軽減ブレーキ(緊急自動ブレーキ)は、センサーにミリ波レーダーと単眼カメラを併用して、歩行者、自転車、車両を検知できる。後方の並走車両などを知らせるブラインドスポットモニター、後退時の事故を防ぐリヤクロストラフィックオートブレーキなども標準装着した。

 運転支援機能では、車間距離を自動調節できるレーダークルーズコントロールなども備わり、長距離を移動する時も快適だ。

現代のクルマとして安全装備は当然充実しているが、ロングボディということでリアカメラの映像をミラーに移してくれる便利機能は重宝するはず

アルファードと比べて高いのか?

 価格は前述のように3列シートで6人乗りのプレミアムが650万円、4列シートで8人乗りのGが620万円になる。両グレードの違いはシートと一部の装飾で、基本的な装備は共通だ。

 プレミアムは乗車定員が6名だから、Gに比べてシートは2名分少ないが、各部を電動調節できるエグゼクティブパワーシートを4名分装着した(Gは2名分)。そのために価格が高まったが、30万円の上乗せは開きが少々大きい。プレミアムは粗利を多めに含んでいるだろう。

アルファード/ヴェルファイアのトップググレードの3.5Lエグゼクティブラウンジは2列目にエグゼクティブパワーシートを装着する超豪華版で、グランエースよりも高価

 ちなみにアルファード&ヴェルファイアにエグゼクティブパワーシート(2列目のみ)を装着して、レクサスGSなどと同じV型6気筒3.5Lエンジンを搭載した上級グレードGF&VLは532万4000円だ。これに比べてグランエースは90~120万円高い。

 アルファード&ヴェルファイアの最上級に位置するエグゼクティブラウンジは、さらに豪華なエグゼクティブパワーシートを備え、TコネクトSDナビ+JBLプレミアムサウンドシステム(オプション価格は70万4000円)、12.1型リヤシートエンターテインメントシステム(18万7000円)なども標準装着して、3.5Lエンジン搭載車が715万8800円になる。

 つまりアルファード&ヴェルファイア・エグゼクティブラウンジから上級のオーディオ&ナビのオプション価格を差し引くと、グランエースとほぼ同じ価格になる。

Lクラスミニバンで圧倒的な人気を誇るアルファード。豪華&広い快適空間とともに押し出しの強いフロントマスクが好評。トヨタではグランエースの月販目標台数は公表していないが、アルファードの販売に影響は与えないと思われる

6人すべてが快適に過ごせる空間

 グランエースの一番の魅力は、プレミアムを選ぶと、6名がきわめて快適に移動できることだ。

 アルファードGF&ヴェルファイアVLの場合、2列目はエグゼクティブパワーシートを装着する特等席だが、3列目の快適性は大幅に下がる。

 3列目は折り畳んで荷室に変更する機能を重視したから、背もたれや座面の柔軟性が乏しく、床と座面の間隔も不足して足を前側に投げ出す座り方になりやすい。快適に座れるのは1/2列目の4名だけだ。

グランエースはベースとなっているのが商用車のハイエースだからボディのスクエア感が強く、リアから見た時の存在感はアルファード/ヴェルファイアを凌駕

 それがグランエースプレミアムなら、2/3列目の両方にエグゼクティブパワーシートを装着するから、4名がきわめて快適に移動できる。1列目も座り心地はいいから、乗車した6名全員が満足できる。このようなミニバンは、日本車には今まで用意されていなかった。

 グランエースの注意点は、床の高さだ。エンジンを縦向きに搭載する後輪駆動車で平らな床面構造を採用したから、床の位置が大きく持ち上がった。

 グランエースとアルファード&ヴェルファイアで、全高/室内高/最低地上高を基準に大雑把に比べると、グランエースの床はアルファード&ヴェルファイアに比べて150mm程度は高いので乗降性は下がる。

パワースライドドアを採用し利便性は高いが、フロア高がアルファードに比べて150mm程度高いため乗降性は劣る。室内高はアルファードより110mm低い

 また床が高いので、全高は1990mmに達するが、室内高の数値は1290mmにとどまる。アルファード&ヴェルファイアの1400mmを110mm下まわる。プレミアムにはシートの格納機能もないから、Lサイズミニバンなのに大きな荷物は積みにくい。

 もっともグランエースの2/3列目に座ると、この天井の高さがセダン的な落ち着きを生み出していることに気付く。アルファード&ヴェルファイアのような開放感はないが、適度に囲まれた雰囲気が心地よい。

ライバルはメルセデスベンツVクラス!?

 いっぽう、4列シートの8人乗りは、多人数で乗車したり、4列目を畳んで6名乗車+荷物という使い方に適する。

 プレミアム、Gともビジネス向けの車種だが、全幅と全高が約2m、全長が5.3mのボディは存在感がきわめて強い。ドレスアップを楽しむユーザーの間でも人気を高めそうだ。

V220dアバンギャルドロングは全長5140×全幅1928×全高1901mmで超巨大と言われているが、グランエースはそれよりも大きい超Lクラス。ちなみに受注生産となるエクストラロングは全長が5370mmとなりグランエースより長くなる

 またボディサイズが同程度のミニバンとして、メルセデスベンツV220dアバンギャルドロング(全長は5140mm)、V220dアバンギャルドエクストラロング(5370mm)があるが、3列目シートはグランエースプレミアムが豪華だ。

 価格はV220dアバンギャルドロングが764万円、アバンギャルドエクストラロングは790万円になる。この金額は、グランエースプレミアムと比べて110~140万円上まわる程度だから、ちょうどいい勝負だろう。

グランエースは新たな刺激を与えてくれる

 最近はオデッセイやエルグランドの売れ行きが低調で、Lサイズミニバンはアルファード&ヴェルファイアの1人勝ちだ。グランエースは同じトヨタ車とはいえ、この市場に新たな刺激を与えてくれるだろう。

 かつてトヨタは、クラウン&マークIIとプログレ&アルテッツァなど、上級セダン市場に主流と反主流を送り込んで活性化させた。今後は上級ミニバンで、同じような市場構造が生まれるのかも知れない。

新たなマーケットに挑むグランエースは、ボディカラーを4色、インテリアカラーを2色、天井カラーを2色ラインナップ。プレミアムはすべての組み合わせが選択可能

(注1)アルファードは3.5Lのみハイオク指定で、2.5L、ハイブリッドともレギュラー指定

【画像ギャラリー】アルファード/ヴェルファイアを超える超高級ミニバンのグランエース

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