はじめに
新たなオーナーのもと、メルセデスAMGのトップだったトビアス・ムアースCEOの舵取りで走り出したアストン マーティンは、将来に向けたさらに別のプランとヴィジョンを用意している。
【画像】アストン マーティン・ヴァンテージとライバル 全14枚
実態調査には、じつに1年を要した。より効率を高め実践的になってきて、いまやより確固たるものとなった経済的基盤による成功が見込めると、ムアースが主張するまでになった。
2020年8月、CEOに就任したムアースは、きわめてとらえどころのなかったビジネスを、グローバルなスポーツカー造りへと転換させるプランを擁し、それに基づく最初のクルマをこの3月に発表した。数億円のコレクターズアイテムでも、ゼロエミッションモデルでもなく、このブランドの中心的商品である2シーターの改良版だった。
それがヴァンテージF1エディションだ。フロントエンジンのスーパースポーツであるヴァンテージの量産モデルにおける、新たな最上位グレードである。直接的な先代に当たるヴァンテージAMRより安価だが、モータースポーツとのつながりはこちらのほうがわかりやすい。F1のセーフティカーに用いられた技術を応用した市販車だ。
数ヶ月前、現行ラインナップを吟味したムアースがまずエンジニアたちに求めたのは、ヴァンテージを改良し、ドライバーズカーとしてのポテンシャルをフルに引き出すことだった。もっと速く、ハンドリングも優れたサーキットマシンに仕上げながら、妥協のない公道でのパフォーマンスも兼ね備えるクルマに仕上げるようオーダーしたのである。
その結果、アストンによれば、ニュルブルクリンクのノルドシュライフェで、通常のヴァンテージより15秒近くラップタイムを短縮したという。それも、大幅なパワーアップやハイグリップのサーキット向けタイヤに頼ったわけではない。はたして、われわれのテストでも、その速さを見せつけてくれるのだろうか。
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
アストン曰く、これは現行ヴァンテージにおいて、2018年のデビュー以来もっともサーキット志向の強いモデルだという。この系譜にウインドスクリーンを排したV12スピードスターがあることを考えると、必ずしもその主張が当てはまるとは限らないが。
このアストン最小モデルに、12気筒がうまく搭載された実績があるので、このF1エディションにもV12を積めば、かつてのヴァンテージGT12の跡を継ぐといえるモデルになっただろう。しかし、今回はそうはならなかった。
このクルマのメカニカルレイアウトは、すでにおなじみのものだ。メルセデスAMG製のV8ツインターボは、フロントアクスルより後方に積まれるフロントミドシップ。トランスミッションは8速ATで、リアに搭載するトランスアクスルとなっている。
このふたつをつなぐプロペラシャフトはカーボン素材で、トルクベクタリング機構を備える電子制御LSDを装備する。サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクだ。
新たなトップの指揮下でまず着手されたのは、7速MTの廃止だった。その目的はコストカットと、製造工程の複雑さの削減、そして品質の向上だった。そのため、F1エディションはATのみの設定となった。
エンジンの電子制御の変更で、発生回転は同じ6000rpmのまま最高出力を標準グレードの510psから534psへ引き上げた。トルクは同等の69.8kg-mだが、トルクバンドはやや広がったようだ。アストンはエンジン特性のグラフを提供してくれなかったので、そこは推測するしかないが。
3.5秒の0−97km/h加速タイムと314km/hのトップスピード、2.93:1のファイナルレシオは、すべて標準モデルと同数値。ただし、トランスミッションの制御は洗練され、トルクカットマネージメントの追加でシフトスピードが速くなっているという。
オールアルミのモノコックシャシーは、フロントエンドの剛性を高め、ステアリングのレスポンスとフィードバックを改善している。内部構造を見直した新型のアダプティブダンパーは作動領域の、スポーツ/スポーツ+/トラックの各モードに応じた調整幅を拡大。また、高速域における垂直方向のボディコントロールが大幅に向上していると、アストンでは説明している。
また、リアのスプリングとスタビライザーが、標準モデルよりハードになっている。どちらもターンインをシャープにし、トラクションを高め、フロントとともにリアのレスポンスも向上させるのが狙いだ。
ステアリングのギア比は標準車と同じ13.09:1だが、幅はそのままに径を1インチ拡大した21インチホイールと扁平率の小さくなったタイヤにより、グリップとフィードバックが増強されている。
フロントのボディ幅いっぱいに広がったスプリッターと左右のカナード、アンダーボディのターニングベーン、リアウイングといったエアロパーツは新造品だが、リアディフューザーはキャリーオーバー。全速度域でダウンフォースを生み、トップスピードでの発生量は標準モデルを最大200kg上回る。
内装 ★★★★★★★☆☆☆
ブラックのレザーにライムカラーのステッチとアクセントが入り、ステアリングリムやシート、ドアトリムなどにグレーのアルカンターラを用いたインテリアは新鮮で、さらなるパフォーマンスを感じさせる雰囲気がプラスされている。
ライムカラーの箇所は、レッドかブラック、もしくはグレーに変更可能で、ピアノブラックに代わるカーボンのパネルも用意される。アルカンターラのヘッドライナーも含め、それらはオプション設定だ。
F1のトレードマークをあしらったバッジを除けば、F1エディションと標準モデルのインテリアの違いは、カラーとトリムだけとなる。とはいえ、価格差や、内装以外に費やされた労力を考えれば、おそらくこれで十分だろう。
しかし、3年前の発売時に、メルセデスの型落ちインフォテインメントシステムを使用したのが今になって問題となっているのだから、もっと大幅なリフレッシュを図ってもいい時期だとも思える。
基礎的な部分はきわめてまっとうだ。ドライビングポジションは低く、ストレートで、サポート性も十分。操縦系の配置は適切で、手が届きやすい。前方の視認性は、上下に薄いガラスハウス越しにしては十分納得できるものだ。リアの視界はじつにプアだが、360°パーキングカメラが標準装備されているので、そこは補える。
テスター陣が揃ってダメ出ししたのは、センターコンソール前方とセンターパネル周辺の狭いエリアにスイッチ類が集中しているレイアウトの煩雑さだ。とはいえ、使いたいボタンを見つけることは確実にできる。
たとえばエンジンのスターター・ジェネレーターを停止させたいとき、スタビリティコントロールの効きを弱めたいとき、またリバースギアを選びたいときなどがそうだ。そして、低く配置したトランミッションのプッシュボタン式セレクターは、アストンのほかのモデルのそれより手が届きやすい。
しかし、インフォテインメントシステムの古さは見落としようがない。同じ価格帯のメルセデスに搭載されているものからすれば、少なくとも2世代は前のもので、スマートフォンのミラーリング機能は一切備わらない。
アストン マーティンのオーナーの大多数やその予備軍は、このクルマのほかの魅力に比べればたいした問題ではないと思うかもしれない。しかし、アストン自身が、無党派層的ユーザーにポルシェ911の上級仕様と比較検討する対象として訴求したいなら、高級スポーツカーとしての競争力を確保し続ける努力が必要だ。
走り ★★★★★★★★☆☆
3年前、ヴァンテージが自然吸気からターボへとエンジンを変更したとき、その結果もたらされた現実的なパフォーマンスの改善ぶりはわれわれを大いに感心させたものだった。もちろん今でも、アストンのエントリーモデルがロータスやポルシェの廉価モデルを、オードブルでも平らげるように易々と下すだろうという考えを変えるつもりはない。
そこはF1エディションでも同じだが、標準仕様のヴァンテージを大幅に上回るものではない。もっともそれは、ムアースCEOの信条に沿った結果だ。彼は今のところ、大幅なパワーアップを望んでいないのだから。
アストン マーティンは、トルクコンバーター式ギアボックスに、スムースさよりシフトスピードを求めた。その副作用として、ユニット内のクラッチがローンチコントロールプログラムに、最大のスタート加速を見込める1800rpm以上へ回転を上げることを許さない。
そのため、このヴァンテージの改良版はやや出足が遅れ、幅広いタイヤを十分にホイールスピンさせることはないが、ほぼ完璧な発進を決めた際には、0−97km/hで3.6秒というみごとなタイムを叩き出した。160km/hを超えると、このクルマはスタンディングスタートのタイムでベースとなった標準モデルを上回る。
そのパフォーマンスをもっと詳細に分析し、サイズアップしたリアタイヤとやや妥協気味の発進性能の影響を考えの外に置けば、エンジンの性能アップがどこに効力を発揮したかが見えてくる。32km/h刻みの追い越し加速のうち、4速以上を使う97~193km/hの範囲の多くで、標準モデルを0.1~0.2秒凌いだのだ。
F1エディションの空力パーツは、190km/hを超えると加速をわずかに損ねるようだが、それをコクピットで体感することはできないだろう。ダウンフォースが増加しようとしまいと、このクルマは常に持てる力のすべてを発揮するように感じられる。おそらく、速いアストン マーティンは総じてそういうものだろうが。
このV8ユニットはオペラの名手のような美声を聞かせてはくれないが、感情むき出しといった感じの好ましいサウンドを発する。そして、デジタルギミックで増幅されたAMGのエンジン音のような不自然さがないのが、より一層魅力的に感じられる。
トランスアクスルのATギアボックスは、街乗りではときどき低いギアで変速がややぎこちないところをみせ、またサーキットを思い切り攻めるのに向いているものでもない。速めのクルージングのほうが適していると感じられる。
シフトクオリティを磨こうというアストンの試みは、部分的に成功したといったところだ。シフトアップはクイックですっきりしているが、シフトダウンはスローで粘っこい。長いプロペラシャフトを介したトランスミッションへのインプットをコントロールするのが、一筋縄ではいかないことを十分に示している。
使い勝手 ★★★★★☆☆☆☆☆
インフォテインメント
ヴァンテージに搭載された8.0インチ画面のインフォテインメントシステムは、今後のニューモデルに使われ続ける見込みのないものだ。操作系はメルセデスが用いていた旧式のロータリー入力デバイスで、使いにくいわけではない。また、上部を覆われているので、センターコンソールの見栄えがスッキリしている。
とはいえ、タッチパネルでの入力はできず、音声入力もできることが限られている。機能性に関してゲイドンがプロモーションしている文言を見ると、デジタル放送とAM/FMに対応したラジオ、Bluetoothのオーディオストリーミングくらいにしか言及されていない。
スマートフォンのミラーリングは用意されていないし、ネットワーク経由でできることもきわめて少ない。とても21世紀のクルマとは思えない内容だ。モーガンやケータハム、またはスパルタンなロータスでもなければつけることのないような点数を、まさかアストンにつけるとは思わなかった。
それでも許せる点があるとすれば、旧式ながらもきちんと機能してくれることだろう。ナビゲーションシステムは使いやすく、マップは見やすいし、メニューのレイアウトは直感的だ。
テスト車のオーディオは1325ポンド(約18.6万円)のアストン マーティン・プレミアムシステムで、出力は700W。キレのある音質で、なかなかにパワフルだった。
燈火類
前後ともライトはフルLEDで、ダイナミックウインカーが標準装備。ロービームの光軸は、やや高めだと思うドライバーもいるかもしれない。光の強さや鮮明さはいい。
ステアリングとペダル
ペダルのパッドはラバーで、滑りにくく安定して踏める。配置も上々で、左足を置くフットレストも十分なサイズがある。ステアリングコラムの調整幅は、テレスコピックは十分だが、チルトは物足りない。
操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
シャシー性能は、まさにアストンの努力が実を結んでいるに違いない分野だ。
実際、とくに公道走行で、その成果は感じられる。
F1エディションを走らせ甲斐のあるルートに連れ出すと、ベーシックなヴァンテージよりもシャープで、落ち着いていて、制御の効いた、ドライバーに報いてくれるスポーツカーに思えるハンドリングを発揮してくれるのだ。それでいて、昔ながらのFRアストンらしさはそのままなのだから、うれしくなるではないか。
新型ダンパーや剛性を高めたボディのフロント周り、スプリングレートを高めたリアが相まって、直感的なギア比のステアリング越しにクリアさを増したフィールを伝えてくる。しかし、既存のヴァンテージオーナーがもっともはっきり気付く改善点は、高速域でのボディコントロールだろう。
サスペンションをデフォルトのスポーツモードにしたままでも、ほどほどな波長のバンプを乗り越える際に、シャシーはなめらかなまま、歯切れ良くきっちりコントロールされた乗り心地をみせてくれる。
また、公道における高めの速度では、車体の質量の抑えが効かなくなる感覚がない。標準モデルでは、サスペンションをやわらかめのモードにしていると、それを露呈してしまうことがある。
複雑な路面で、リアがフロントについていけなくなることもない。もっとも小さなアストンでありながら、突如として大きなクルマに感じられてしまうような標準モデルの悪癖が、このF1エディションにはみられないのだ。
足回りのスポーツ+モードは、スムースな舗装の上で真価を発揮する。ボディコントロールはタイトになるが、ひどくとげとげしくはならない。そしてどのモードでも、シャシーのレスポンスは、標準モデルよりややキレがよく、ハンドリングは正確さが増している。
タイトコーナーでは、より鋭く、それでいてしなやか。ゆるめのコーナーへはより素早く飛び込み、クルマがかなり小さくなったように感じられるのだ。
フェラーリの限定モデルや911GT3のように強力なグリップと恐ろしいほどのアジリティを期待すると、やや肩透かしを食うかもしれない。そうした比較対象ほどには路面へ食いつかないし、回るように曲がっていくこともないからだ。
そのぶん、ハンドリングは鋭い動きがやや足りない代わりに安定していて、スロットルを抜いた際の動きは緩慢だが、これはフロントエンジンのスポーツカーにありがちな傾向だ。ただし、スタビリティコントロールをカットすれば、コーナリングの挙動をパワーでどうとでもできるよう、e-デフがチューニングされている。
低い速度域での走りや、その野生味やフィール、純粋なアジリティについては、最新のフェラーリ・ピスタやマクラーレンのロングテール系、ポルシェのGT系に及ぶものではない。しかし、限界まで攻めたサーキット走行ならば、見劣りしないような魅力を発揮してくれる。
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
快適性について、とくに指摘するほどの問題点はない。これまでのアストン マーティンをよく知るひとならば、ヴァンテージF1エディションが必要とあれば快適な長距離ツアラーになれる素養の持ち主であることを期待するはずだが、それは間違いないだろう。
このクルマは、乗り心地にもステアリングにもひどくシビアなところがない。よりおとなしめのモードを選べば、ロードノイズやエンジン音に取り立てて悩まされずに済む。シートは十分にソフトで、長距離でも不満のないクッションが効かされている。ただし、脚の長いドライバーは、もう少しもも裏を支えてほしいと感じるかもしれない。
パワートレインのモードをスポーツ+からスポーツへ落とすと、エグゾーストノートは遠のく。風切り音は、ほどよく抑えられている。
グローブボックスがなく、アームレストに浅い小物入れが付くだけなので、キャビンの収納スペースは不足気味だが、カップホルダーふたつと小さからぬドアポケットは備わる。また、ラゲッジスペースは中くらいのスーツケースひとつとショルダーバッグふたつくらいは収納できる広さがあり、前半部はキャビンからでも手が届きやすい。
購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
アストンは、このクルマになかなかうまい値付けをした。車名からは限定モデルかと思わされるが、これはカタログモデルだ。それゆえ、コレクション的価値やそれに伴うリセールに、リミテッドエディションの類ほど高いものは望めない。
となれば、あまりにも高いプレミアム価格を正当化することは難しい。となれば、同等の装備を持ったヴァンテージに対し、1万5000~2万ポンド(約210~280万円)という差額は妥当だろう。
もし、特別なスーパースポーツとしてみるなら、金銭的な価値はほとんど値落ちのない911GT3に及ばない。しかしながら、アストンの水準からすれば、このヴァンテージの残価予想は泣けてくるようなものではない。
また、今回のテストでは、10.9km/Lというツーリング燃費をマークした。長距離をあまり飛ばさずに巡航するなら、73Lタンクを満タンにすれば800km近く走れる計算だ。
スペック
レイアウト
縦置きのV8ツインターボから、カーボンファイバーのプロペラシャフトを介して、リアに配置されたトランスアクスルの8速ATへ送られた駆動力は、トルクベクタリング機構付きのe−デフを介して後輪を駆動する。ギアボックスは、DBXを除くアストン全車に設定されているものだ。
サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンク。テスト車の前後重量配分は、実測45:55だった。
エンジン
駆動方式:フロント縦置き後輪駆動
形式:V型8気筒3982ccツインターボチャージャー、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ83.0×92.0mm
圧縮比:10.5:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:534ps/6000rpm
最大トルク:69.8kg-m/2000-5000rpm
エンジン許容回転数:7000rpm
馬力荷重比:341ps/t
トルク荷重比:44.5kg-m/t
エンジン比出力:134ps/L
ボディ/シャシー
全長:4490mm
ホイールベース:2704mm
オーバーハング(前):−mm
オーバーハング(後):-mm
全幅(ミラー含む):2150mm
全幅(両ドア開き):3760mm
全高:1274mm
全高(テールゲート開き):2010mm
足元長さ(前席):最大1030mm
足元長さ(後席):-mm
座面~天井(前席):最大960mm
座面~天井(後席):-mm
積載容量:300L
構造:アルミモノコック
車両重量:1570kg(乾燥重量・公称値)/1715kg(実測値)
抗力係数:0.42
ホイール前/後:9.0Jx21/11.0Jx21
タイヤ前/後:255/35 ZR21 XL 98Y/295/30 ZR21 XL 102Y
ピレリPゼロ
スペアタイヤ:なし(パンク修理剤)
変速機
形式:8速AT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:4.71/9.7
2速:3.14/14.5
3速:2.11/21.7
4速:1.67/27.4
5速:1.29/35.4
6速:1.00/45.7
7速:0.84/54.4
8速:0.67/68.2
最終減速比:2.93:1
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:7.3km/L
ツーリング:10.9km/L
動力性能計測時:2.8km/L
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):5.4km/L
中速(郊外):8.7km/L
高速(高速道路):10.2km/L
超高速:9.4km/L
混合:8.6km/L
燃料タンク容量:73L
現実的な航続距離:533km
CO2排出量:264g/km
サスペンション
前:ダブルウィッシュボーン/コイルスプリング、スタビライザー
後:マルチリンク/コイルスプリング、スタビライザー
ステアリング
形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.4回転
最小回転直径:11.8m
ブレーキ
前:410mm通気冷却式カーボンセラミックディスク
後:360mm通気冷却式カーボンセラミックディスク
制御装置:ABS、EBD、ブレーキアシスト
ハンドブレーキ:電動、ステアリングコラム右側にスイッチ設置
静粛性
アイドリング:54dBA
全開時(4速):94dBA
48km/h走行時:61dBA
80km/h走行時:66dBA
113km/h走行時:71dBA
安全装備
ABS/EBD/DSC/EBA/TC/HBA/PTC/DTV
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
交通弱者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%
発進加速
テスト条件:乾燥路面/気温19℃
0-30マイル/時(48km/h):1.7秒
0-40(64):2.2秒
0-50(80):2.8秒
0-60(97):3.6秒
0-70(113):4.5秒
0-80(129):5.4秒
0-90(145):6.6秒
0-100(161):7.9秒
0-110(177):9.6秒
0-120(193):11.8秒
0-130(209):14.1秒
0-140(225):17.2秒
0-150(241):21.5秒
0-402m発進加速:12.2秒(到達速度:192.0km/h)
0-1000m発進加速:22.0秒(到達速度:241.1km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
メルセデスAMG GT R(2017年)
テスト条件:乾燥路面/気温12℃
0-30マイル/時(48km/h):1.6秒
0-40(64):2.2秒
0-50(80):2.9秒
0-60(97):3.6秒
0-70(113):4.3秒
0-80(129):5.1秒
0-90(145):6.2秒
0-100(161):7.3秒
0-110(177):8.6秒
0-120(193):10.1秒
0-130(209):11.8秒
0-140(225):13.8秒
0-150(241):16.3秒
0-402m発進加速:11.5秒(到達速度:207.0km/h)
0-1000m発進加速:20.6秒(到達速度:264.3km/h)
中間加速
20-40mph(32-64km/h):1.6秒(2速)/2.6秒(3速)/3.5秒(4速)
30-50(48-80):1.4秒(2速)/1.9秒(3速)/2.5秒(4速)/3.8秒(5速)/6.5秒(6速)
40-60(64-97):1.5秒(2速)/1.8秒(3速)/2.2秒(4速)/3.0秒(5速)/4.8秒(6速)/7.5秒(7速)
50-70(80-113):1.8秒(3速)/2.3秒(4速)/2.9秒(5速)/4.0秒(6速)/6.8秒(7速)/11.8秒(8速)
60-80(97-129):1.9秒(3速)/2.3秒(4速)/3.0秒(5速)/3.9秒(6速)/6.2秒(7速)/11.7秒(8速)
70-90(113-145):2.2秒(3速)/2.4秒(4速)/3.2秒(5速)/4.1秒(6速)/5.5秒(7速)/12.8秒(8速)
80-100(129-161):2.6秒(4速)/3.3秒(5速)/4.4秒(6速)/5.7秒(7速)/10.8秒(8速)
90-110(145-177):2.9秒(4速)/3.5秒(5速)/4.8秒(6速)/6.3秒(7速)/8.6秒(8速)
100-120(161-193):3.8秒(5速)/5.1秒(6速)/7.0秒(7速)
110-130(177-209):4.2秒(5速)/5.7秒(6速)/7.9秒(7速)
120-140(193-225):5.1秒(5速)/6.2秒(6速)
130-150(209-241):6.9秒(5速)/7.0秒(6速)
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温19℃
30-0マイル/時(48km/h):8.1m
50-0マイル/時(64km/h):21.8m
70-0マイル/時(80km/h):41.8m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.60秒
ライバルの制動距離メルセデスAMG GT R(2017年)
テスト条件:乾燥路面/気温12℃
30-0マイル/時(48km/h):7.7m
50-0マイル/時(64km/h):20.8m
70-0マイル/時(80km/h):41.4m
各ギアの最高速
1速:67.6km/h(7000rpm)
2速:101.4km/h(7000rpm)
3速:151.3km/h(7000rpm)
4速:191.5km/h(7000rpm)
5速:247.8km/h(7000rpm)
6速:313.8km/h(6869rpm)
7速:313.8km/h(5770rpm)
8速(公称値):313.8km/h(4602rpm)
8速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1652rpm/1888rpm
結論 ★★★★★★★★☆☆
3年前、われわれは強力なV8のパフォーマンスとドラマティックさを誉めたたえた。カリスマ的なFRならではのハンドリングもだ。そうして、ヴァンテージの標準モデルに、われわれは9点を与えた。
そして今、マーケットには992世代のポルシェ911にはGT3とターボSが存在し、マクラーレン600LTは優秀の美を飾ろうとしている。その中にあっては、ヴァンテージF1エディションがかなり強化されているとはいっても、少々影が薄い。
その比較はフェアではない、という意見もあるだろう。しかし、この手のクルマのパフォーマンスやサーキットでの走行性能、そしてドライバーの走らせ甲斐に求められる水準は、この36ヶ月で引き上げられた。それに対して、このヴァンテージの進歩は完全に追い付いてはいない。
わかりやすいのは、このクルマのインテリアが可及的速やかなアップデートを必要としていることだ。F1エディション投入と合わせて、大幅なマイナーチェンジを図るべきだった。
そうはいっても、F1エディションで行われたバージョンアップは、公道でもサーキットでもよりシャープなハンドリングをもたらした。それはヴァイザッハやウォーキング、エミリア・ロマーニャで生まれるサーキット重視のスペシャリストと同じ土俵に上がるものではなく、やんちゃなやりかたでアジャストできるハンドリングはそのまま残されている。
アストンのスーパーカーイーターは、もう少し後に出てくるだろう。今回は、走りの魅力を一層高めた、きわめて好ましいスポーツカーをわれわれに託してくれた。最新のハードコアなライバルたちと比べるのも、十分にフェアな勝負だと思う。
担当テスターのアドバイス
リチャード・レーンステアリングホイールに加えられたアルカンターラのグリップは、このクルマでは非常に役立つ変更点だ。ただ、リムはやっぱり丸いほうがいい。
マット・ソーンダースドライバーの左膝を支えるパッドをトランスミッショントンネルにどうにか取り付けたのに、どうして右側にはなんの処置もしなかったのだろう。ドアパネルは薄くて脚が届かないので、ハードなコーナリングをすると、行き場がなくフラフラしてしまうのだ。座面のサポート性を高めるか、シートとドアの距離を縮めるかしてくれれば、万事解決するはずなのだが。
オプション追加のアドバイス
標準装備の内容はかなり充実している。もしもサーキット走行を想定してオプションのカーボンセラミックブレーキを装着するなら、カップ仕様のタイヤもいっしょに選んだほうがいい。カーボンファイバー・インテリアトリムパックをつけておけば、ちょっとはリセールのプラス要素になるだろう。
改善してほしいポイント
・もっともっとインテリアに注意を払ってもらいたい。
・このクルマにはカップ仕様のタイヤを履かせてほしい。サーキットでのパフォーマンスに、多大な貢献をしてくれる。
・現状のZF製ATより、トランスアクスルに適したギアボックスがあるのではないだろうか。出来のいいDCTなら、もっと明確なシフトをしてくれるはずだ。
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