かつては品質に課題がありジャーマンスリーに敵わなかった
オペルの復活と聞いて、懐かしいと思う方もいるだろう。オペルはアダム・オペルという創業者の名前で、元々はミシンや自転車を作っていて、その息子たちが1899年に自動車を生産開始していて、世界的にも古い部類に入るメーカーだ。日本では戦前に国内生産されていたし、終戦後も早い時期から輸入され、2006年まで正規販売されていた。
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今回の復活にはプジョーを中心とするPSAグループの一員となったことが大きく影響していて、2017年に傘下に入っている。それまではGMグループだったが、そもそもリーマンショックでGMが経営破綻。オペルの売却を模索したが、紆余曲折ありつつも、宙ぶらりんの状態が続いていた。このゴタゴタも収束したことで、日本での復活となったわけだ。
日本から撤退してからかなり経つので、オペルといってもピンとこない方もいるかもしれない。再上陸を記念して、今一度振り返ってみよう。ちなみに、当時と今とでは母体も体制も異なることから、紹介する内容は再上陸するオペルとは関係ない部分もあることはご了承いただきたい。
と、前置きをしたのは、やはり品質が悪かったから。実際どうかは別として、メルセデス・ベンツ、BMW、VWのジャーマンスリーが鉄壁なのは、品質の高さや信頼性があるから。そこに対して、オペルは品質があまりよろしくなく、故障も結構あった。
ドラマ「ビューティフルライフ」で常磐貴子が乗っていたことで大ヒットとなったヴィータは150万円ぐらいから用意されていて、女の子にもウケたモデルだ。しかし、しばらくするとエンジンに不具合がよく出ていた。知り合いも乗っていたが、ディーラーに持って行っても「どんなに調べても故障原因がわからない」と言われていた。1990年代の輸入車なんてそんなもんだとも言えるが、ドイツ車信奉が強い日本では致命的だったのは確かだ。
GMの呪縛から解き放たれ、独自のテイストで成功となるか!?
ヴィータ以外の1990年代モデルを紹介すると、アストラ、ベクトラ、オメガとクラス毎に順番にラインアップが並び、ハッチバックやセダン、ワゴンとボディ形状も豊富に用意されていた。また、スポーツモデルのカリブラも注目を浴びたものだ。装備もエコテックエンジンや当時は珍しかった流線型のエアロミラーなど、トピックスも多かった。
ただ、やはりドイツ車といっても実質GM製というのは、クルマ好きを中心に知られていたことで、実際にもGMの世界戦略として、GM、オペル、いすゞで分担開発を行っていた。たとえばいすゞ・ジェミニはオペル・カデットをベースに開発されて販売されていたなど、ドイツ車の身上であるプレミアム感が薄いというのが当時のオペルの印象だ。ちなみにドイツ本国で聞いても、日本で言うところのカローラ的なイメージというクルマが多かった。
肝心のディーラーも東邦モータースやいすゞが扱った時代もありつつ、1990年代はヤナセが販売。最終的にはGMが直営で販売するという変遷があって、安定しなかったのもあるだろう。ヴィータは安かったものの、中型のベクトラセダンを500万円ぐらいで売っていた。ヤナセが売ったからヒットしたというのもあるが、かなり強気だったと言え、最終的には販路拡大につながらなかったのは事実としてある。
そのほか、迷走していたのが、ミニバンのザフィーラで、ご存じの方も多いと思うが、当時GMと関係の深かったスバルからトラヴィックとして登場したことには驚いた。エンジンなどの仕様が違ったとはいえ、価格はスバルのほうが安いという珍現象だったのも、結局はオペルの戦略のブレの露呈につながり、ますます苦境に陥った感じだった。
と、右往左往した1990年代のオペルだが、GMの呪縛からも解き放たれ、心機一転、日本市場でどこまで頑張れるか。存在感のある独自テイストのデザインなど、オペルらしさは健在だけに、成功してほしいものである。
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