10月7日に開幕を迎えるF1第18戦日本GP。舞台となる鈴鹿サーキットを運営するホンダモビリティランドの田中薫社長は、2019年以来の開催に向けて「雰囲気と匂い、そして最高峰のレースを楽しんでほしい」と語った。
2020年と2021年は新型コロナウイルスの世界的な蔓延により中止と相成っていたが、2022年はようやく日本は鈴鹿サーキットにF1が帰ってくる。
■角田裕毅、日本GPに向けて意気込みを語る「鈴鹿は何千、何万周と走ったコース。でもF4より40秒速いので、ワクワクしています!」
3年ぶりの開催ということ、そして日本人ドライバー、角田裕毅(アルファタウリ)の存在もあり、決勝日の観戦チケットは完売。ホンダモビリティランドの田中社長は、具体的な来場者数の見込みこそ明言を避けたが、2年というブランクがあるものの前回開催から続く上昇傾向は今年も続いていると明かしている。
「はっきりとした数字はお答えできませんが、チケットの売れ行きは2019年を上回る推移です」
2019年大会では、フリー走行1回目に山本尚貴がトロロッソ・ホンダ(現アルファタウリ)から出走し、金曜日から3万3000人が来場。土曜日のセッションが台風19号の接近によりキャンセルになったものの、決勝日の動員数は前年比で9.8%増の8万9000人となっていた。
楽観的に見れば、2022年の日本GP決勝日の動員数は10万人の大台に乗るやもしれない……そうなると、小林可夢偉がザウバーで3位表彰台を獲得した2012年以来のこととなる。
田中社長としても、この好調の要因には待望の日本GP開催ということに加えて、角田の存在があると考えているようだ。
「3年ぶりの日本GPを皆さん心待ちにして頂いていたこと、そして鈴鹿サーキット・レーシングスクール(SRS/現Honda Racing School Suzuka)の卒業生でもある角田選手の参戦が大きな要因であると捉えています」
2016年にSRS-Fの門を叩いた角田。その年のスカラシップを逃したものの、当時校長を務めていた中嶋悟らの推薦もあり、2017年はFIA F4にフル参戦。翌年チャンピオンに輝き、ヨーロッパ行きのチケットを掴んだ経緯がある。
その後はFIA F3、FIA F2をいずれも単年で駆け上がり、2021年にF1デビューを果たした角田だったが、その年のF1カレンダーに”あったはずの”母国GPは、8月の段階で中止が決まった。
忸怩たる思いで中止を決断したホンダモビリティランド。しかし、その経験が同じくコロナ禍での開催となる2022年大会に活きているという。そして3年ぶりの日本GPを五感で味わってほしいと、田中社長はファンに向けて語った。
「昨年は、何としても鈴鹿で開催できるよう、関係省庁をはじめさまざまな方からのご協力もいただきながら、最後の最後まで努力を尽くしてまいりましたが、期限までに関係者の入国が確実なものにはならず、苦渋の思いで中止を判断することとなりました」
「そこから2022年の日本GP開催に向けて再スタートとなりましたが、昨年の経験が今に活きていると考えています」
「まだ感染対策が必要な状況下であるため、従来実施してきたイベントの一部は見送らざるを得ません。しかし、イベントの開催基準に則ったうえで、少しでもドライバーを身近に感じていただけるようなトークショーなどの開催を予定しています」
「まだコロナ禍による制限も残る中での開催で、お客様にもご協力をお願いしなければならないこともございますが、待ちに待った3年ぶりの日本GPの雰囲気、空気、匂いとともに、世界最高峰のレースをお楽しみください」
そして、今年が初の母国GPとなる角田については、「まずは楽しむことから」と期待を語った。
「角田選手はSRS出身のドライバーで、鈴鹿サーキットとの縁も深い選手です。もちろん活躍を期待したいですが、角田選手自身も久しぶりの鈴鹿になると思うので、母国GPとして大勢のファンの前で走ることを楽しんでもらいたいと思います」
また現在、アメリカ資本であるリバティ・メディアがオーナーを務めるF1は、アメリカ市場を中心にブームを迎えている。今年は既存のアメリカGPに加えてマイアミGPが追加。全24戦で争われる2023年シーズンには、アメリカ国内3レース目となるラスベガスGPが加わる。
アメリカ以外からもF1への注目度が高まっているのは事実であり、F1誘致を目指す自治体や団体が多く存在することが分かっている。
現時点で、鈴鹿サーキットでのF1日本GPの開催は2024年まで。2025年以降の開催について田中社長は、次のように答えた。
「持続可能性への取り組みをはじめ、F1全体を取り巻く環境も大きく変化し続けています。この環境変化も注視し、しかるべきタイミングで判断したいと考えます」
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