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2017年 AUTOCAR英国の編集部員が買った9台のクルマたち

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2017年 AUTOCAR英国の編集部員が買った9台のクルマたち

もくじ

ー ジェームス・ルパートが買ったBMW320
ー マイク・ダフが買ったアウディA6アバント3.0TDIクアトロ
ー リチャード・ウェッバーが買ったランチア・フルビア1.35
ー ジョン・エヴァンスが買ったヴォグゾール・アストラ・1.6SXi
ー スティーブ・クロプリーが買ったホンダX-ADV
ー ジミ・ベックウイズが買ったフォルクスワーゲン・ルポ1.4
ー ジェス・クロスが買ったBMW X5 3.0スポーツ
ー ベン・サマレル-ユードが買ったフォルクスワーゲンT3シンクロ
ー マット・ソーンダースが買ったマツダCX-5 2.0 SE

「夢の3台持ち」 あなたなら何えらぶ? 英国編集部の場合 パート1

ジェームス・ルパートが買ったBMW320

シェッド7(BMW 728)が逝ってしまった後、シェッド5と9カ月を過ごして、走行距離の伸びたクルマを所有するのは諦めようと決心した。わたしはその辺を走りたいだけなのだ。

何を買えばいいのだろう? ほかに持っているランド・ローバー・シリーズIIIより快適で、ミニ・クーパーより真面目なクルマがいい。

遡ること2016年の夏、ネットの広告でこのきれいな3シリーズを見つけた。忙しすぎてほかのことにかまっていられなかった時期だ。4999ポンド(75万円)。忘れようと思い、しばらくは大丈夫だったのだが、去年の12月、わたしのクラシックカー・レーダーにこいつが引っかかってしまった。広告、写真、そして価格も同じ。

買い手がつかなかったのはオートマが3速だったことと、ボディ・カラーが1970年代の色、カシミアだったからだろう。メーカー純正のエアコンとアルピナのアルミ・ホイールが購入の決め手になった。

もうひとつ、とてもコンパクトなので、1970年代の二輪車用車庫にも簡単に滑り込ませることができたからでもある。

交渉の結果、価格は4500ポンド(67万円)まで下がり、わたしが見た後にはさらに3700ポンド(55万円)まで落ちた。しかしクルマを取りに行くと落とし穴があった。

腹立たしいことに英国での登録書類がない。このクルマはイタリアで使われていたのだ。書類をそろえたりするのに丸々5カ月かかった。

けれど、待つ価値はあった。

第1世代の3シリーズを最後に見たのはいつだろうか? わたしはずっと前だ。

良いところは、いつでも好きな時に運転できること。だがコールド・スタートはやはり大変だ。ソレックスのキャブレターが懸命に点火を妨げるからだ。しかしそのぶん、ようやくエンジンに命が吹き込まれ、クルマは走り出すときは最高だ。

オートマティックのギアボックスはこのクルマにとても合っており、現代のクルマに混じって老馬を引っ張る。エアコンは喘息気味だが、一応冷たい空気は出てくる。その通り、これは本当にクールなクルマなのだ。

マイク・ダフが買ったアウディA6アバント3.0TDIクアトロ

わたしには少し変わった悩みがある。ピカピカの新型車より使い込んで年季の入ったクルマのほうが好きなのだ。

いろんな理由があるが、ひとつ、はっきりしているのはスコットランド人の遺伝子に組み込まれている倹約の精神だが、ほかにも、そのクルマの持つ語るべきストーリー、酷使された証のくたびれ具合といったものがわたしの琴線に触れるのだ。

わたしは3年以上にわたってA6を所有している。売りたがっていた友人から「ウイ・バイ・エニー・カー」の評価額6000ポンド(90万円)で購入した。

いくつかのマイナーな不具合があり、23万3000kmにおよぶ走行でできた無数の飛び石の跡がブラックの塗装一面についている。しかし、基本的なコンディションは厚さ5センチのディーラーのサービス履歴書ですべてわかる。

走行距離は最近29万kmを突破したが、その間かなり出費がかさんだ。定期点検は安くないうえ、補器類を駆動するクランクシャフト・プーリーの修理に750ポンド(112000円)かかった。

さらに低扁平タイヤと英国の酷い舗装のせいで、タイヤを4輪とも交換する羽目になった。荒れた道ではカンガルーのように飛び跳ねるため、すぐにダンパーも新調しなくてはならないだろう。

しかしどれにも腹は立たない。

A6の減価償却費は年およそ1000ポンド(15万円)で燃費も10km/ℓ台。最新のA6と同じようにハイウェイをリラックスして走れる相棒だ。

今のアウディMMIのような正確さはないが付属の衛星ナビもまだ動くし、ごく初期のブルートゥースもついていてスマホもつながる。

もっとモダンで信頼性の高いものがあるのもわかっているが、本当はそんな物は欲しくないということに気付いたのだ。それよりも、同世代のA6オールロードに強く惹かれるのだ。

リチャード・ウェッバーが買ったランチア・フルビア1.35

わたしは自分のネットワークを欧州本土にまで広げようとして、一時期、クラシックで非力なイタリアのクーペを漁っていたことがあった。

そのとき、ペール・ブルーのかわいいスリー・ボックス、1974年のランチア・フルビア・クーペ1.35を広告で見つけたのだ。

陽光の照り付けるナポリ郊外の山間で光り輝くクルマの写真は、北の別世界に住む英国人には強烈すぎた。わたしは個人の売り手に7000ポンド(100万円)少々を支払った。

すぐさまアマルフィ海岸をぐるっと回って現地に向かったのだが、薄気味悪いほどスムースにことは運び、最後はエスプレッソと自家製のリモンチェッロで乾杯、抱擁して取引は完了した。

クルマはアムステルダムまで運ばれ、そこでニューキャッスル・フェリーに載せかえてエディンバラに帰ってきた。

91psを全開にすることは絶対にしないが、エキゾチックな1298ccのV4は吠えまくり、ラリー育ちのシャーシーは曲がりくねった辺境の田舎道をしっかりとグリップする。

ジョン・エヴァンスが買ったヴォグゾール・アストラ・1.6SXi

先週はフィアット・クーペ、先々週はアストン マーティンV8ヴァンテージ、その前はポルシェ・ボクスター986……。全部ほしいところだが、これはAUTOCARの中古車購入ガイドの話だ。

今回の話はわたしのヴォグゾール・アストラ、2006年登録の1.6SXi、3ドアで走行15.7万km。これは政略結婚である。前のオーナー(2番目の息子)が2月にほとんど新車のフォルクスワーゲン・シロッコを買ったので、アストラを個人的に売りに出すというのだ。それをわたしが買った。

800ポンド(12万円)(かみさんがわたしに腹を立てて1000ポンド(15万円)になった)を支払った後で、ウインカーのステムはないし、リア・ブレーキはすり減っているし、点検は必要だし、MOTは切れているし、ということに気づいた。なんてこったい。

アストラはわたしにとって2台目だ。最初のクルマ(2005年登録の1.8オートマティックの5ドア)は約10万km乗った。子どもたちとの生活そのものだった。武骨で頼りがいがあり、スポーツ・ボタンを押せばクイックにもなった。

なので、この2台目のアストラが同じだとわかっても驚きはしなかった。104psの1.6ℓモデルだが、1.8ℓモデルの筋力はないものの、3750rpmあたりにトルクの山があり、スポーティーなマニュアル・ギアボックスがそれを助長する。5速でも4速みたい、という感じだ。

ステアリングはクイックになっているが、注意が必要。先日、濡れたラウンドアバウトを出ようとして自信をもってハンドルを切ったところ、テールが流れた。少なくともかみさんはもう乗ろうとしないだろう。

話を7月に戻すと、わたしはクルマにキャンプ道具を積み込んでイーペル(ベルギー西部、フランデレン地域のウェスト=フランデレン州にある都市)に行った。走りは快調。ぼんやりしたヘッドライトを除けばやはり現代的で、移動コストもとても安い。V8ヴァンテージを手に入れた際には、惜しいことをしたと悔やむだろう。違うか。

スティーブ・クロプリーが買ったホンダX-ADV

あなたが何を考えているか、わかってますよ。これはクルマの祭典なのに、こいつはバイクを持ってきている。困ったものだ、なんて思っているんでしょう。

いくつか弁解を。その1。ここ数カ月、われわれのところで新車と呼べるのは、オフローダーとスクーターのクロスオーバーであるこの750ccホンダX-ADVだけであること。その2。クルマのような6速DCTギアボックスを持つ数少ないオートバイであること。4つの走行モードを持ち、マニュアル・シフトも可能だ。

その3。このホンダの新しい2気筒エンジンは、事実上、ホンダ・ジャズ(日本名:フィット)のエンジンを半分にしたものである。このため、ボア、ピストン、コンロッド、バルブのサイズや、燃焼室の形状、カム・ドライブといったものをすべて新たに設計しなおす苦労が省けたこと。このエンジンはほかのバイクより回転数が低められトルクは増強されているので使いやすい。

そして最大の理由。風変わりだが完璧にクルマの代わりになること。ほかのバイク以外の交通はないも同じだ。ロンドンのどこでも1ポンドで停められるので、打ち合わせに遅れることもない。パートナーは後ろに乗せられる。

燃費は26.5km/ℓだ。ハイウェイでは、混雑するクルマの間をすいすいと縫うように走ることもできる。

その間、家ではあなたの(ドライブには最高だが交通には良くない)四輪車がまっとうに楽しんでもらえる時を待っている。なぜもっと多くのドライバーがこのオートバイのメリットに注目しないのか、わたしには不思議でならない。わたしのホンダのように、それはすぐ目の前にあるのだ。

次に狙っているクルマ?

冬がくるのにミニ・モークの購入を考えるなんて馬鹿げた話だ。操縦性は最高、とても軽いので848ccでも性能は十分のようだ。10インチのホイールがすてきだ。

ジミ・ベックウイズが買ったフォルクスワーゲン・ルポ1.4

わたしの1999年製ルポは、ふとした気まぐれで6カ月前に300ポンド(4万5000円)で購入したクルマだ。GTIの大きな欧州ミーティングに参加するためヴェルター湖へ行った後のことだ。

ヴェルター湖に集まった連中のチューニングへの情熱に倣って、わたしはモディファイを開始した。お約束のモディファイはボルボのリブラ・ホイールだ。

数年前からC30、S40、V50DrivEモデル用となっている空気抵抗が少なそうなアルミ・ピースで、これにファルケン・タイヤを履かせている。このタイヤは少し伸びてホイールにフィットするので、純正の13インチ・スチール・ホイールのディメンジョンを維持することができる。

少しだけ車高も下げている。驚くほど弾力性のあるKW製ヴァリアント1のコイルオーバースプリングを一番低くして装着している。今のところ、バンプでクルマの腹を擦ったり、ホイールがこすれたりするトラブルはない。自分の鈍感さはよくわかっているけれど。

室内はちょっと寂しい。残された大きな課題は、クリームレザーで全面的にリトリムし、クリームのカーペットを敷くことでいまより少しだけ高級に見せることだ。しかし手先の器用なパートナーのおかげで、タッチスクリーン式のインフォテインメント・システムは装着できた。

見てほしい。今やわたしは国内最小の自動車チューニング会社のトップだ。わたしは自薦のCEOであり(自分で言っているだけだが)チーフ・エンジニアはわたしのパートナーだ。電装担当はわたしの弟。

リアにフルLEDユニットを装着したり、今度はタッチスクリーンに代えてダッシュボードにiPadを装着する予定だ。わたしのふたりの叔父は(本当の)室内装飾業者で、インテリアのアップ・グレードを担当してくれる。

これまであれこれとかなりの費用が掛かったので、合計いくらと大雑把に言ったりはしない。もっとも高かったのはリア・バンパーとホイール・アーチのへこみ修理で400ポンド(6万円)。さらなるモディファイも計画しているが、費用はあまり詳しく計算しないようにしている。

ジェス・クロスが買ったBMW X5 3.0スポーツ

自分の目の黒いうちは絶対に買わない。2年前、その道に明るいラリー仲間から2005年のE53世代のX5 3.0スポーツをどうかと言われたとき、最初に考えたことだ。ラリーで荷物の運搬や車両の牽引など日々の作業に使われていた。

「走行距離は?」と不機嫌そうな表情で聞き返したところ16万kmとのこと。6000ポンド(90万円)から7000ポンド(105万円)という希望の金額に当てはまるクルマだった。「問題ない」と仲間たち。

第一候補のランド・ローバー・ディスカバリー4はまだちょっと高すぎた。同じくガソリンのX5を所有していたジェームス・ルパートと急いで話をして、腹は決まった。

PCPで新車購入したキア・スポルテージKX-3に乗っていたこともあるが、ラリーの道具をすべて積み込むには小さすぎた。PCPもあまりお金の節約にはならないと判断した。わたしは壊れたら直すのが好きなので、少し古くて安いもののほうが理にかなっている。払い戻しは月330ポンド(49000円)だったので、2年以内にはX5の収支はトントンになるはずだ。何も壊れなければの話だが。

わたしは結局6900ポンド(100万円)を支払うことになった。縁石で傷ついたホイールの修理に270ポンド(4万円)余計にかかったが。工場取り付けの牽引バーを探し出し、バック・カメラを取り付けて備付けのディスプレイに接続した。DIYで50ポンド(7500円)だった。

気に入っているので売るつもりはない(まだディスコ4に未練はあるが)。とても力強く、洗練されていて、運転が楽しい。3.5トンまで牽引可能で、いまや愛嬌のある時代を超越したデザインも好きになった。燃費は9.9km/ℓ程度。

2回のオイル交換とエアコンのコンデンサー、ドライヤーの交換を行ったが、工賃込みで合わせて500ポンド(75000円)しかかからなかった。

ベン・サマレル-ユードが買ったフォルクスワーゲンT3シンクロ

わたしのバンは新しいものではなく、過去数年間、このようなページに登場している。だが2017年にはちょっとしたことがあった。

全面的なリフレッシュをおこない、テストを兼ねてフランス1周キャンプ旅行に連れ出したのだ。信頼性は十分だった。

わたしはサンタ・ポッドの400mランをのろのろ走ろうと思っていたのだが、わずか数マイル手前でクラッチがダメになり、立ち往生してしまった。

問題は、最近ではオフロードでも滅多にないことだが、ベル・ハウジングに小さな隙間ができてしまい、泥とホコリがたくさん入ってきてクラッチを詰まらせてしまったのだ。

しかしもう完治した。来年のコンクール・ド・インエレガンスが待ち遠しい。

マット・ソーンダースが買ったマツダCX-5 2.0 SE

2年前のこの記事で、頼りになる(そして次第にボロくなってきた)フォード・フィエスタをもっと大きな家族用の荷馬車に買い替える予定だと書いたのをご記憶かもしれない。当時はホンダCR-Vを考えていた。その後どうなったかというと……。

検討していくとホンダは比較的保険料が高いのだ。そこで同じくらいの大きさで、できればガソリン・エンジンのクルマにしようということになった。

数年は売らないつもりだったので、シンプルなガソリン・エンジンのほうがディーゼルより耐久性があると考えたのだ。結局この8月に3年落ちで79000km走行のマツダCX-5 2.0 SEを購入した。

子どもたちはさっそく部屋の荷物をクルマに積み込んでしまった。トランク・スペースはとても広い。後ろのシートは4:2:4分割で畳むことができる(希望と反対側の6:4分割シートは最悪だ)。

走りもいい。乗り心地はどっしりとして安心感があり、ギアチェンジはかっちりと決まり、何もしなくてもまっすぐ走ってくれる。

気に入った。

ロード・テスターが所有するにはちょっと鈍重だが、今のところわたしにはぴったりだ。

もしこのクルマを鼻で笑うヤツがいたら、このエンジンは世界で一番売れたスポーツカーと同じなんだと言ってやろう。

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