AMGのEパフォーマンス戦略
text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
【画像】AMG仕様のPHEVが搭載されるのは?【GT 4ドア、Cクラス、SLクラスを写真で見る】 全120枚
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
メルセデスAMGは、自社開発した2つの新しいプラグイン・ハイブリッド(PHEV)システムを発表した。最もパワフルなものは、将来のAMGモデルで815ps以上の出力を実現するとともに、短距離のゼロ・エミッション走行を可能にするなど環境性能との両立を図っている。
AMGが「Eパフォーマンス」と呼ぶ新しいPHEVシステムでは、既存の4.0L V8ツインターボと、新開発の2.0L 4気筒ターボエンジンの縦置きバージョン(それぞれコードネーム:M177とM139)をベースに、AMG製トルクコンバーターを搭載した9速MCTスピードシフトを組み合わせている。
このエンジンに、リアアクスル・アッセンブリーに組み込まれた電気モーターを組み合わせることで、CO2排出量の削減に貢献すると同時に、潜在的なパフォーマンスを高めている。
搭載される非同期モーターは95psの定格出力を持つが、よりパフォーマンスを重視した走行モードでは、最高出力204ps、最大トルク30.5kg-m(1万3500rpm)を発揮する。後輪をメインで駆動し、必要に応じて短時間前輪を駆動する。
この新しいドライブトレインは、2017年のジュネーブ・モーターショーで公開されたメルセデスAMG GTのコンセプトカーで示唆されていた。標準的なメルセデス・ベンツのPHEVモデルで採用されているレイアウトとは異なり、電気モーターをトランスミッション・ハウジングの前部に統合している。
AMGによると、Eパフォーマンスモデルの車両重量は平均200kg増加するが、前後の重量配分を最適化し、既存の内燃機関モデルのハンドリング特性は維持されるという。また、電気モーターは、9速MCTとは独立した2速ユニットとして動作するため、高い複合トルクを実現している。
電気モーターの動力源となる電力は、円筒形のセルを採用した400V 6.1kWhのリチウムイオンバッテリーに蓄えられ、コンパクトにまとめられている。メルセデスAMGのF1マシンのドライブトレイン開発を担当している英国のハイパフォーマンス・パワートレインズ社との共同開発により、重量は89kgに抑えられているという。
ドライビングモードは、エレクトリック、コンフォート、スポーツ、スポーツ+、レースの5種類に加え、ドライバーの好みに合わせて調整可能なインディビジュアルが用意されている。
年内にGT 73eでデビューを飾る
AMGによると、このPHEVシステムは複数のモデルに搭載される予定だ。
V8エンジンをベースにしたバージョンは、今年末に発売予定のGT 73e 4マチック4ドアに搭載され、最高出力815ps、最大トルク101.8kg-mを発揮するとされている。AMGが発表したデータによれば、0-100km/h加速を3.0秒で達成できるとのこと。
また、S 73e 4マチックとSL 73e 4マチックへの採用が正式に決定している。
4気筒をベースにしたバージョンは、C 63 4マチックの後継モデルであるC 63e 4マチックに搭載され、2022年初頭に発売される予定だ。内燃機関は、新しい電気式ターボチャージャーを採用し、最高出力449ps、最大トルク61kg-mを発生させる。また、V8 PHEVの兄弟車と同じ電気モーターとバッテリーを組み合わせることで、最高出力510ps、最大トルク71.2kg-mを発揮するとされている。
AMGは、2つの新しいPHEVシステムの航続距離を明らかにしていない。しかし、パフォーマンスに重点を置いていることを強調しつつ、電気モーターとバッテリーのパワーだけで短距離のEV走行が可能であることを示唆している。
減速時の運動エネルギーは、4段階のレベル(0~3)で回収される。このレベルはステアリングホイールのボタンで選択することができる。レベル3では、最大90kWの電気エネルギーを回収できる。
AMGのEパフォーマンスモデルは、現在の43および53モデルに相当するEVと言われている。専用スタイリングとインテリアを備え、トルクベクタリングが可能なデュアルモーター4輪駆動のパワートレインにより、モデルによっては0-100km/h加速で4.0秒以下のタイムを実現する。
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