英国でも高人気だったスポーツカーの1台
執筆:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
【画像】日産フェアレディZ S30型とZ34型、次期型のプロトタイプも 全91枚
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ロータスに影響を受けたサスペンション構成と、ジャガーEタイプを小さくしたようなスタイリング、0-97km/h加速8.0秒という動力性能。多くの魅力を備えた日産フェアレディZ(ダットサン240Z)は、英国でも登場直後から注目を集めた。
英国仕様のエンジンは、240Zの車名の由来となった2.4Lの直列6気筒。最高出力152psを発揮し、1tをわずかに超えるボディをリアタイヤで押し出す。
MGBやランチア・フルビア・クーペなどが欧州でのライバルとなったが、240Zの製造品質は高く、世界各国で支持を獲得。新車当時の評価も良好で、英国で最も人気の高かったスポーツカーの1台だった。
初代フェアレディZが残した遺産は絶大。後継モデルへ、確かな成功をつないできた。最新のフェアレディZ、400Zが発表されたが、英国には導入されないと聞き悲しい限りだ。
最新モデルは選べなくても、英国市場には選びたい240Zがまだ沢山残っている。状態が良く、過度にモディファイされていない例なら、2万ポンド(310万円)前後で取引されている。
ジャガーEタイプやトヨタ2000GTといった、同時期の希少モデルより遥かに少ない金額で、オールドスクールなFRのクラシックスポーツを入手できる。同じように、レストアする楽しみもある。
真新しいような240Zも、英国では入手できる。ブラッドフォードを拠点とするMZRロードスポーツ社は、ダットサンを見事に再生。最高状態の仕上がりと洗練度を持つ、240Zを提供している。
弱点はボディのサビ 並行輸入という手も
そのレストア作業は、ボディをベアメタル状態にまで戻すことから始まる。ボディを整え、最新の防音材を施し、シャシーを強化。アップグレードされたエンジンが組まれる。だが、オリジナルの240Zと基本的な構成は変わらないという点がミソだ。
完成車の英国価格は9万ポンド(1395万円)とお手頃ではないが、悪いお金の使い方ではないだろう。そんな金額は用意できないとしても、オリジナル状態に近い240Zを探せばいい。
選ぶ場合は、ボディの構造部分の状態を重視したい。英国の気候は日本と同様にクラシックカーへ優しくない。しかも240Zは特に錆びやすい。一見売値が安くても、サビでボディに穴が空いていて、結果的に高い出費につながる場合もなくない。
英国で人気が高いのは、カリフォルニアなどアメリカからの輸入車。輸送量や関税が掛かっても、傷んだボディの修理代よりは高くない。仕入れを代行してくれる業者に依頼することもできる。
輸入に掛けられる予算を予め決めたら、走行距離と、これまでの維持状態や整備内容を確認。ナンバー取得までの費用を見積もりすれば、後は自身の決心次第。現実的な価格で取引されている今が狙い目といえる。
ダットサンの直列6気筒エンジンは、吹け上がりが気持ちイイうえに耐久性にも優れる。適切に手入れされた駆動系やシャシーと組み合わされれば、年式の新しいスポーツカーへ迫る走りを一般道で楽しませてくれる。
専門家の意見を聞いてみる
ダンカン・パーシー:ザZファーム社代表
「現在の英国には、レストアに値する右ハンドル車は殆ど残っていません。英国の冬を45年も過ごしてきた240Zの多くは、妥当なレストア費用で直せる以上に、ボディが傷んでいるためです」
「そんなクルマを部品取り車にし、雨の少ないカリフォルニアやアリゾナなど、北米から仕入れた240Zを仕上げることが多いですね。10年前なら悪くない右ハンドル車を7000ポンドから9000ポンドで仕入れ、直して利益を得ることもできましたが」
「今では、その3倍は費用が必要でしょう。もちろん、アメリカからの輸入にもリスクはあります。でも、宝石のように状態の良い例を発見できることもあります」
「英国へ輸入して公道を走れるまでに、北米での車両価格の倍近くには膨らみます。1万5000ポンド(232万円)から2万ポンド(310万円)くらい。送料と関税が掛かりますからね」
購入時に気をつけたいポイント
ボディ
240Zはどの角度から見てもカッコいいが、目も当てられないほどサビが進行している場合がある。バッテリートレイやフロントフェンダー下部、スペアタイヤの収納部分、テールリッドやフロアパンが特に弱点。
養生をした磁石をボディに当ててみることで、塗膜の内側が鉄板かどうかがわかる。パテや分厚い塗装が施されている場合、くっつきにくい。
ボディパネルは、ザZファーム社など専門ガレージが再生産してくれている。その他のトリム類は、北米市場から探すことになるだろう。
エンジン
直列6気筒エンジンはチューニングしやすいが、馬力を高めることは、ストレスを加えることでもある。パッケージとしてバランス良くアップグレードする方法が良い。
アクセルレスポンスが冴えなかったり、ミスファイアや不安定なアイドリングは、キャブレターの不調が原因だろう。油圧が異常に低い場合は、センサーの不具合かもしれない。
エンジンファンはグリススプレーでスムーズさを取り戻す場合もあるが、新しい電動ファンに置き換えた方が得策。
電気系統
ディストリビューターは240Zの弱点の1つ。バキュームホースの反対側から空気を吸い、内部プレートが滑らかに回転し、元の位置に戻るかどうかで状態を確かめられる。
キーを捻って始動しない場合、スターターソレノイドの故障かも。だが、ステアリングコラム内のイグニッションスイッチが原因の可能性もある。こちらの方が交換しやすく部品も安価だ。
コネクターの接触が悪くなると、ヒューズが飛ぶ。専門店が販売しているアップグレード版のヒューズボックスは、手っ取り早く一式を一新できてオススメ。
トランスミッション
英国仕様には5速MTが存在したが、北米から輸入する240Zは4速MTの場合が多い。どちらも堅牢なユニットとはいえ、2速と5速に入れる際のシンクロメッシュの状態はチェックポイント。ベアリングの摩耗状態も、聞き耳を立てて確認したい。
走行中にリアから聞こえる唸り音は、デフが原因だろう。摩耗が進んでいなければ、あまり心配する必要はないはず。
英国ではいくら払うべき?
5000ポンド(77万円)~9999ポンド(154万円)
果てしなくレストアが続くような240Zが、英国の中古車市場の根底を支えている。板金と溶接が得意な友人を作っておけば、少しは安心かもしれない。
1万ポンド(155万円)~1万4999ポンド(232万円)
北米市場なら、この価格帯で充分走行に耐える240Zを入手できる。だが、英国への輸入と車検取得にかかる費用は別途必要。
1万5000ポンド(233万円)~2万4999ポンド(387万円)
掘り出し物といえそうなのはこの価格帯。モディファイされていたり、くたびれてレストアが必要な例も英国には少なくないが。
2万5000ポンド(388万円)以上
特に状態の良い240Zは、英国では5万ポンド(775万円)以上に達することも。だが1971年式で3万2000ポンド(496万円)という悪くない例も、執筆時に発見した。
英国で掘り出し物を発見
ダットサン240Z(S30型/日産フェアレディZ) 登録:1972年 走行距離:6760km 価格:3万5000ポンド(542万円)
MZRロードスポーツ社によって完全にリビルドされてから、7000km弱を走行した240Z。ほぼ新車状態といって良い。エンジンとブレーキ、5速MTがオーバーホールされ、シャシーもピカピカな状態に戻されている。
パワーステアリングが追加され、各部がアップグレードされている。純粋主義的にオリジナルへ強くこだわる思考を忘れられれば、存分に楽しめる240Zになるだろう。
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