約10分間の充電を計40回行う
メルセデス・ベンツは、第3世代となる次期「CLA」のテスト走行でEV航続距離の新記録を樹立した。
【画像】プロトタイプ初公開! 新世代の高級コンパクトEV【メルセデス・ベンツ次期CLAを写真で見る】 全6枚
空力的に洗練されたEQXXコンセプトによって確立されたベンチマークを基に、次期CLAのプロトタイプはイタリアのナルド・テストコースで24時間で3717km(2309.6マイル)を走破した。
これは、2019年に同じコースでポルシェ・タイカンが記録した24時間走行距離3425kmを上回るものだ。
メルセデス・ベンツ・モジュラー・アーキテクチャー(MMA)プラットフォームをベースとする次期CLAは、同社が2026年末までに発売を予定している4車種の新型コンパクトEVの第1弾である。CLAシューティングブレークや、EQAおよびEQBの後継車も準備中だ。
この4車種はすべて、メルセデス・ベンツが量産車として初めて採用した新開発の800V電気アーキテクチャー、新世代の電気モーター、ヒートポンプ、MB.OSオペレーティング・システムを備えている。
今回の記録挑戦走行に使用されたCLAのプロトタイプは、すでに耐久性テストが行われている量産型ベースのテスト車両群の中から選ばれた1台だ。挑戦走行ではバックアップのプロトタイプと並走した。両車にはドライバーと助手席乗員のほか、データロガーなどの計測機器が搭載されていた。
記録の鍵となったのは、「プラグ・アンド・ダッシュ」と呼ばれる、走行時間を最大化するために考案された巧みな充電戦略だ。長時間の走行でエネルギーを使い果たしてから充電するのではなく、短時間の走行と頻繁な充電を繰り返した。
メルセデス・ベンツの電気駆動システムの開発リーダーであるクリスチャン・ファイファー氏は、「定期的な充電は、距離と時間効率の両面で決定的なアドバンテージをもたらす。つまり、1分間の充電で何km走行できるかということだ」と述べた。
CLAのプロトタイプは、24時間の挑戦走行中に約10分間の充電を計40回行った。
全体として、24時間の28%近く、約6時間40分にわたって停車していた。このような短時間だが定期的な停車によって、DC(直流)システムでの高い初期充電率を活かすブースト機能を利用できた。
次期CLAは来年導入、ハイブリッドも登場
メルセデス・ベンツは次期CLAの充電性能をまだ明らかにしていないが、250kW前後での充電が可能で、さらに50kWのブースト機能によって短時間であれば300kWに達することができると以前示唆している。これにより、わずか15分で400kmの走行が可能になる。
リチウムイオンバッテリーのエネルギー容量も未公表だが、89.6kWhと言われている。これにより、平均消費電力は約8.3km/kWh、航続距離は最長750kmとなり、量産EVの中でトップクラスの効率性と航続距離を実現するという。
市販バージョンでは、より安価なオプションとして、エネルギー密度の低いリン酸リチウムイオンバッテリーも用意される見込みだ。
今回の記録挑戦で使用されたCLAは、リアに1基の同期電動モーターと2速トランスミッションを搭載した後輪駆動モデルである。ここでも技術的な詳細はまだ明らかにされていないが、標準車で最高出力205ps、AMGブランドのツインモーター四輪駆動モデルでは合計出力545psのドライブトレインを開発中とされている。
CLAは「エレクトリック・ファースト」モデルとして開発されたものの、マイルドハイブリッドの2.0L 4気筒ターボガソリンエンジンの販売も予定している。
メルセデス・ベンツが開発した新しい4気筒エンジンは、中国の自動車メーカー吉利汽車とフランスのルノーが共同で運営するホース・パワートレイン社によって、中国工場で生産される。リークされた仕様によると、エンジンは社内コードネームで「M252」と呼ばれ、開発初期段階で最高出力252ps、最大トルク36.8kg-mを発生するようだ。
メルセデス・ベンツのオラ・ケレニウス最高経営責任者(CEO)は次のように述べた。
「CLAによって、メルセデス・ベンツは新時代を迎える。このセグメントにおいて、お客様がメルセデスに期待するあらゆる側面を大幅に向上させる」
「モジュラープラットフォームにより最大限の柔軟性を確保する。CLAでは、最先端の電動ドライブトレイン仕様と、ハイブリッド化されたエンジン仕様の両方を提供することができる」
「また、当社のオペレーティング・システムであるMB.OSによって、これまでで最もインテリジェントなクルマとなる」
第3世代CLAは来年公開される予定で、欧州での販売は2025年末までに開始される。当初はEVのみで、約6か月後にハイブリッド車が追加される予定だ。
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みんなのコメント
これトヨタのハイブリッド車を同じ条件でやったら給油にトータル30分もかからないのでは。
もちろんこうやって進歩していくんだろうけどそれっぽいデータ持ち出して都合よく良さそうに見せてるだけだよね。
…実験段階だから仕方ないけど、これ冷静に考えると大体「20分走って10分休憩」をひたすら繰り返したってことだよね?効率的な電池マネジメントの研究としては意味があるかもしれないが、一般レベルでこれを強要されるとなるとその車は売れないね。
そもそも先の条件では(日本の高速道路だと)「30キロごとに充電」となり、原則50キロごとに設置のガソリンスタンドよりも多く必要になる。しかもHVなら30キロならガソリンは1L、燃費が悪い車でも3Lでよく、給油時間は10分はかからない。ガソリンを運ぶ手間意外に勝てる要因が現時点では(実験室レベルでも)ないということになる。ガソリン車を凌駕するのは当分先と言える。