現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ソニーの電気自動車が日本で公道走行実験を予定…それでも市販の可能性が低い理由

ここから本文です

ソニーの電気自動車が日本で公道走行実験を予定…それでも市販の可能性が低い理由

掲載 更新 94
ソニーの電気自動車が日本で公道走行実験を予定…それでも市販の可能性が低い理由

今年1月に話題を呼んだソニーの電気自動車が日本に上陸

今年1月、ラスベガスで開催されたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で、ソニーがオリジナルで製作した電気自動車「ビジョンS プロトタイプ」を発表したのを覚えているでしょうか。ついにソニーが自動車製造に進出!? とおおいに注目を集めた、あのコンセプトカーが日本に上陸しました。

CESの終了後、オーストリア・グラーツの開発拠点へ輸送された「ビジョンS プロトタイプ」は、2020年度中の公道走行実験を目指して、車両開発のパートナーであるグナシュタイヤー社らとブラッシュアップしてきましたが、今後は東京で開発されることになり、日本に運ばれてきたわけです。

日本で開発を続けるようになったのはなぜか?

マグナシュタイヤー社は、トヨタ・スープラの生産委託を受けるなど、少量生産では知られた会社です。生産だけでなく、開発能力ももつ、非常に珍しい独立系の自動車会社という見方もできます。

その意味では、ソニーから生産委託を受けて量産することも不可能ではない…かもしれませんが、現時点では「ビジョンS プロトタイプ」はあくまでもソニーが自動車業界に対してサプライヤーとしての実力を売り込むショーケースといえ、今回の東京で進められる開発も、公式発表によれば「センシングやオーディオ技術」といったソニーが得意としている自動車用部品が開発のターゲットとなっています。

センシングの主役は、ソニーが得意としているCMOSセンサー(画像素子)。フロントカメラ、サラウンドビューカメラ、リアカメラ、電子ドアミラー用カメラ、そしてドライビングレコーダーなどなど13個のカメラがボディ各部に置かれています。そのほか、超音波ソナーが12個、ミリ波レーダーが5個、さらに最新の自動運転には欠かせないライダー(LiDAR)が3個搭載されています。

もうひとつのターゲットであるエンターテインメント関連では、臨場感あふれる「360リアリティオーディオ」、インパネの左右いっぱいに配置された「パノラミックスクリーン」がアピールポイントで、こうした部分をさらに磨き上げることが東京に運んできた理由というわけです。

マグナが手掛けたEVは流行りの大容量&高出力バッテリー搭載タイプ

ちなみに、ソニー初の自動車といえる「ビジョンS プロトタイプ」は走行可能で、日本上陸後に駐車場内をスルスルと走る様子が動画で公開されています。この仕上がりぶりは、さすがマグナシュタイヤーと感じるところですが、年内には日本での公道走行実験をスタートすることを目指して開発を進めているそうです。

なお、「VISION-Sプロトタイプ」の主要スペックを見ると、ボディサイズが全長4895×全幅1900×全高1450mm、ホイールベース3000mmとかなりの巨体。大容量のバッテリーを積んでいるようで車重は2350kgとヘビー級。

パワートレインは、定格200kWのモーターを前後に配置したAWDで、最高速は240km/hとアナウンスされています。サスペンション形式は前後ダブルウィッシュボーン。公開されている画像からはエアサスを採用していること、ブレンボブレーキを備えていることも見て取れます。タイヤサイズは、フロント245/40R21、リア275/35R21となっています。

日本で公道実験するからといって市販につながるわけではない

いまから世界中に販売チャネルや車両や部品のロジスティクスを整備することを考えると、ソニーがオリジナルの自動車を販売するというのは現実味がありませんし、そもそもサプライヤーとしてのアピールのために製造されたコンセプトカーという意味合いが強いことを考えると、公道走行実験をするからといって、すぐに市販につながるとはいえません。

初めてのプロトタイプで走行可能なポテンシャルを見せつけられると「ソニーのクルマ」を期待したくなるのが人情というのはいったん置いておくとして、それが叶わなくてもソニーのセンサーやエンターテインメントシステムを搭載した自動運転車を楽しめる未来は、間違いなくやって来るはずです。

文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

飲んでも美味しい「観音温泉」の“うぶ肌の湯”で身も心もリフレッシュ【風呂じまんの宿31選】
飲んでも美味しい「観音温泉」の“うぶ肌の湯”で身も心もリフレッシュ【風呂じまんの宿31選】
グーネット
【激注意!!】6時前にもう満車!? [羽田空港の駐車場]がいっぱいだったらどうすればいいのか?
【激注意!!】6時前にもう満車!? [羽田空港の駐車場]がいっぱいだったらどうすればいいのか?
ベストカーWeb
読者の値引き実例 私もX氏
読者の値引き実例 私もX氏
グーネット
PACIFIC RACING TEAM、人気VTuberグループ『ぶいすぽっ!』とのコラボが2024年末で終了と発表
PACIFIC RACING TEAM、人気VTuberグループ『ぶいすぽっ!』とのコラボが2024年末で終了と発表
AUTOSPORT web
残念な年末年始を迎えないために!! これだけは絶対覚えておきたい[道交法のキホン]
残念な年末年始を迎えないために!! これだけは絶対覚えておきたい[道交法のキホン]
ベストカーWeb
「エアーズロック」を目指して半日で450キロ爆走! やっと彼方に見えてきた巨大な岩山は「ウルル」じゃなかった!?【豪州釣りキャンの旅_15】
「エアーズロック」を目指して半日で450キロ爆走! やっと彼方に見えてきた巨大な岩山は「ウルル」じゃなかった!?【豪州釣りキャンの旅_15】
Auto Messe Web
人気No.1レースアンバサダーの栄冠を手にするのは? RAアワード2024ファイナリストそれぞれの想い Vol.3
人気No.1レースアンバサダーの栄冠を手にするのは? RAアワード2024ファイナリストそれぞれの想い Vol.3
AUTOSPORT web
ロータス・エリーゼのレストモッド 電動・最強のGクラス 英編集部の2024年に「1番好き」な1台!(2)
ロータス・エリーゼのレストモッド 電動・最強のGクラス 英編集部の2024年に「1番好き」な1台!(2)
AUTOCAR JAPAN
【アメリカ】日産「パスファインダー」2025年モデルに反響多数! 「4WD欲しくなる!」「存在感半端ない!」の声! 3.5リッターV6エンジン×9速ATがスゴイ! 超タフ仕様SUV登場!
【アメリカ】日産「パスファインダー」2025年モデルに反響多数! 「4WD欲しくなる!」「存在感半端ない!」の声! 3.5リッターV6エンジン×9速ATがスゴイ! 超タフ仕様SUV登場!
くるまのニュース
重量過多とクラッシュに悩まされたウイリアムズ。新パーツ投入直後の失格も【覚えておきたい2024アップデート】
重量過多とクラッシュに悩まされたウイリアムズ。新パーツ投入直後の失格も【覚えておきたい2024アップデート】
AUTOSPORT web
こういうのが好きなんでしょ? 大排気量V8を載せた70年代のアメ車 英国記者の視点
こういうのが好きなんでしょ? 大排気量V8を載せた70年代のアメ車 英国記者の視点
AUTOCAR JAPAN
ロールス・ロイスの「スピリット・オブ・エクスタシー」は勝利の女神「ニケ」になるはずだった…神秘的で幽玄なマスコットを手掛けた人物とは?
ロールス・ロイスの「スピリット・オブ・エクスタシー」は勝利の女神「ニケ」になるはずだった…神秘的で幽玄なマスコットを手掛けた人物とは?
Auto Messe Web
スタンレー、東京オートサロンのブースにピットを再現。スーパーGTドライバー&RAトークショー開催へ
スタンレー、東京オートサロンのブースにピットを再現。スーパーGTドライバー&RAトークショー開催へ
AUTOSPORT web
スズキを日本国内で2番めに新車を売る世界的メーカーに押し上げた中小企業のおやじ! 鈴木 修相談役が残した功績が偉大すぎた
スズキを日本国内で2番めに新車を売る世界的メーカーに押し上げた中小企業のおやじ! 鈴木 修相談役が残した功績が偉大すぎた
WEB CARTOP
ホンダの高級SUV「ZR-V」上質すぎる内外装に驚きの声続出!? 「シビック」譲りの走りもスゴい! どんなモデル?
ホンダの高級SUV「ZR-V」上質すぎる内外装に驚きの声続出!? 「シビック」譲りの走りもスゴい! どんなモデル?
くるまのニュース
新型もヒットしそう! “VWのドル箱SUV”「ティグアン」は“インテリアの仕立て”が上質に! デザインも機能も走りも全方位的に進化
新型もヒットしそう! “VWのドル箱SUV”「ティグアン」は“インテリアの仕立て”が上質に! デザインも機能も走りも全方位的に進化
VAGUE
シーズン序盤に空力効率を改善も、結果に反映できず苦しんだキック・ザウバー【覚えておきたい2024アップデート】
シーズン序盤に空力効率を改善も、結果に反映できず苦しんだキック・ザウバー【覚えておきたい2024アップデート】
AUTOSPORT web
トラックとしての実用性は確実に悪化! それでもトラック野郎がデコトラにハマるワケ
トラックとしての実用性は確実に悪化! それでもトラック野郎がデコトラにハマるワケ
WEB CARTOP

みんなのコメント

94件
  • 電気自動車は部品数が少なく中小企業でも簡単に参入できるとか嘘をタレ流すのはやめてほしい。
    走る曲がる止まるというクルマの基本には100年のノウハウが詰まっている。
    全く新しいシステムだからこそ過去のノウハウが生きてくる。
  • >ついにソニーが自動車製造に進出!? とおおいに注目を集めた

    そういう風に思った人がいるのは仕方が無いが、自動車ジャーナリストの中で安易にそう思った輩が居るとすれば、それは大きな問題である。

    経済系の評論家が自動車産業の知識を全く持たないで、「EVが主流になり難しいエンジン技術が不要になったら参入障壁が下がり、家電と同じ様にコモディティ化する」という誤報を垂れ流して社会の塵と化しているが、それと同レベルという事になる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村