ディーラーに行って「一番高いグレードちょうだい!」、と言うのは昭和流。令和のクルマ選びは質実剛健がキモ。安くても満足できるグレードをベストカーでは『素うどん』と名付け、新型・人気モデルたちの「素うどん探しの旅」に出た!
※本稿は2022年7月のものです
文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部 ほか
初出/ベストカー2022年8月10日号
グレード選びは意外と難しい! 人気&最新モデルの最廉価=素うどんグレードの満足度はいかほどか?
■マツダ CX-60
●マツダ CX-60
・素うどんグレード:25S Sパッケージ:299万2000円
・ひとつ上のグレード:25S Lパッケージ:341万5500円(価格差:42万3500円)
・最もオススメのグレード:XD・Lパッケージ:400万4000円
マツダのラージ商品群第1弾として登場したCX-60。2022年9月から販売を開始
マツダのラージ商品群の第一弾として登場するCX-60のパワーユニットは4種類と多く、インパネ周辺の質感も、低価格グレードと上級のプレミアムスポーツ/モダンでは大幅に異なる。価格帯はワイドで、実に2倍以上の開きがある。
推奨度が最も高いグレードは、直列6気筒3.3Lクリーンディーゼルターボを搭載するXD・Lパッケージ(400万4000円/2WD)だ。Sパッケージにオプション設定されるドライバーエマージェンシーアシストパッケージなどが標準装着され、助手席やステアリングの電動調節機能も加わる。
最廉価グレードの25S Sパッケージは、188ps/25.5kgmの2.5L、直4ガソリン
シートは差別化され上級グレードは本革、ベーシックグレードはファブリック
シート生地は本革で、内装には合成皮革を使う。価格はXD・Sパッケージよりも42万3500円高いが、60万円相当の価値を加えている。ハリアーハイブリッドG(400万円/2WD)に対抗しうる買い得モデルだ。
予算を超過する時は、最廉価となる100万円以上安い直列4気筒2.5Lガソリンエンジンの25S・Sパッケージを検討する。ブラインドスポットモニタリングなどはオプション設定だが、基本的な装備は充実している。
CX-60は299万2000~626万4500円というワイドレンジ。慎重に選びたい
同じマツダのミドルクラスSUVのCX-5・20Sプロアクティブ(290万9500円/2WD)と同等の価格で、排気量は2.5Lになり、後輪駆動の新しいプラットフォームも採用する。300万円前後でSUVが欲しい場合、25S・Sパッケージは選ぶ価値の高いグレードだ。
●マツダ CX-60「素うどんグレード」のオススメ度……★★★★☆
■ホンダ ステップワゴン
●ホンダ ステップワゴン
・素うどんグレード:エアー(ガソリン):299万8800円
・ひとつ上のグレード:スパーダ(ガソリン):325万7100円(価格差:25万8300円)
・最もオススメのグレード:スパーダe:HEV:364万1000円
ホンダ ステップワゴン。エアロのスパーダよりも地味だが、シンプルな美しさが評価されているエアー。まさに素うどんだ!
一番のオススメはスパーダe:HEVだが1.5Lターボエンジンを搭載するエアーは、価格が唯一300万円を下回る。しかし、ステップワゴンを象徴するモデルでもある。
1.5L、直4ターボは、150ps/20.7kgmで動力性能的にも不満はない
現行ステップワゴンは、すべての乗員がリラックスできるシンプルな雰囲気を重視して開発され、特にエアーは、内外装を穏やかなデザインに仕上げたからだ。シート生地も伸縮性の優れたファブリックで、座り心地が優しい。
スパーダは、ほかのミニバンでも人気の高い精悍なエアロ仕様だが、エアーはステップワゴンの個性を強めた。
最廉価グレードも上級グレードでも室内の広さ、使い勝手は変わらない
装備については、後方の並走車両を検知して知らせるブラインドスポットインフォメーションがオプションでも装着できないのは残念だが、これ以外は、衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能を含めて充実。
ターボエンジンは実用回転域の駆動力が高く、アクセル操作に対する反応も機敏だ。多人数で乗車した時でもパワー不足を感じにくい。
●ホンダ ステップワゴン「素うどんグレード」のオススメ度……★★★★★
■日産 アリア
●日産 アリア
・素うどんグレード:B6:539万円
・ひとつ上のグレード:B9:価格は未発表(価格差:算定できず)
・最もオススメのグレード:B6:539万円
日産のフラッグシップEVはミドルクラスSUVのアリア。エクステリア&インテリアデザインともに新しさにあふれていて満足感が高い
アリアは特別仕様車のリミテッドシリーズを先に発売して、次は正規グレードに移る。後者も段階的に発売され、現時点で買えるのはB6の2WDだ。
ベーシックな仕様で、駆動用リチウムイオン電池の容量も66kWhだが、価格は539万円と安い。現在設定されるリミテッドシリーズは700万円以上だから、B6の2WDは約200万円下回る。ソルテラの最廉価グレードと比べても55万円安い。
日産 アリア インテリア
今はアリアのグレードがすべて出そろっていないから、選びにくい状態にある。その範囲内で考えると、B6は実用面で必要な装備がすべて標準装着され、価格は割安だ。経済産業省の補助金は85万円で、実質454万円で買える。
●日産 アリア「素うどんグレード」のオススメ度……★★★★☆
■日産 ノート
●日産 ノート
・素うどんグレード:S:202万9500円
・ひとつ上のグレード:F:205万4800円(価格差:2万5300円)
・最もオススメのグレード:X:218万6800円
日本のコンパクトカーでも質感の高さがウリの日産 ノート。最廉価グレードでもe-POWERの走りが堪能できる
ノートに運転支援機能のプロパイロットを装着するには、最上級のXを選ぶ。ただしプロパイロットはセットオプションで約44万円に達する。LEDヘッドランプも加えると、総額は270万円を超えてしまう。ノートにオプション装備をたくさん加えるなら、標準装着される品目の多いノートオーラを選ぶほうが割安。
日産 ノート インテリア
そうなるとノートでは、価格を抑えたベーシックな選び方が推奨される。価格が最も安いSを選び、日産オリジナルナビ取り付けパッケージと、ディーラーオプションのナビを加える。この方法であればオプションを含めた総額が約220万円に収まり、e-POWERを割安な価格でゲットできる。この価値は大きい。
●日産 ノート「素うどんグレード」のオススメ度……★★★★☆
■趣旨からズレるがオススメできる! 最廉価の「ひとつ上」
渡辺陽一郎氏オススメの4台
軽自動車やコンパクトカーは、価格の安さが特徴だから、低価格グレードに重点を置く。しかし最廉価グレードには注意したい。徹底的に価格の安さにこだわる社用車、レンタカーなどに向けて開発され、必要な装備まで省く場合があるからだ。
ヤリス(トヨタ)X・Bパッケージはその典型で、価格は140万円以下だが、衝突被害軽減ブレーキを非装着にした。しかも標準装着するXに比べて、価格は6万円しか下がらない。つまりX・Bパッケージは、価格自体は安くても、装備を考えると割高だ。
このような矛盾が生じる理由は、装備の製造コストが驚くほど安いからだ。低コストで装着しているから、標準装着品を省いても、価格をあまり下げられない。X・Bパッケージも、衝突被害軽減ブレーキを省いて限界まで値下げしたが、その金額は6万円にとどまった。
■総評
最廉価グレードの魅力は、価格の安さだけではない。付加価値を取り去ったことで、その車種の本質が浮き彫りにされるケースもある。
ジムニー(スズキ)XGなら、悪路の走りに適したシンプルなボディと、キズが気にならないスチール製ホイールが備わる。N-ONE(ホンダ)オリジナルの雰囲気は、往年のN360に最も近い。ロードスター(マツダ)Sには、懐かしい初代の面影を感じる。
いずれも一番安価なのに、上級グレードでは味わえない情緒を濃厚に漂わせる。
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みんなのコメント
子育て中は室内は簡素な方がいいし いらない装備に何十万も出すなら 家族旅行に行く。
現金で買うなら 貯める時の苦労を考えれば無駄な金は使いたくない。