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ゴルフ GTIに並ぶ日は来るのか? フォルクスワーゲンID.3 GTXへ試乗 後輪駆動で航続603km

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ゴルフ GTIに並ぶ日は来るのか? フォルクスワーゲンID.3 GTXへ試乗 後輪駆動で航続603km

新時代の幕開けを告げるID.3のGTX

フォルクスワーゲンがゴルフ GTIを発表したのは、1975年。それ以来、ホットハッチを長年に渡って提供し続けてきた。そんな歴史を持つ同社にとって、新しいID.3 GTXは新時代の幕開けを告げるようなモデルといえる。

【画像】ゴルフ GTIに並ぶ日は来る? フォルクスワーゲンID.3 GTX 競合の電動ハッチバックたち 全139枚

このID.3 GTXは、326psの最高出力と、55.4kg-mの最大トルクを発揮する、パフォーマンス仕様のみが英国市場では提供される。車重は1985kgと軽くないが、0-100km/h加速は5.7秒、最高速度199km/hという動力性能を誇る。

これはID.3最強といえる性能で、後輪駆動なことも特徴。英国価格は4万6225ポンド(約888万円)に設定された。生産は、ドイツ・ツヴィッカウ工場で行われる。

ただし、ID.3 GTX パフォーマンスの試乗車は準備が間に合わず、今回運転できたのは通常のID.3 GTX。最高出力は286psへ減るが、最大トルクは55.4kg-mで変わらない。0-100km/h加速は5.9秒、最高速度は180km/hが主張される。

AUTOCARでは、ID.バズ GTXやID.7 GTXを最近ご紹介しているが、このID.3はGTXを冠する6番目のモデル。グロスブラックのボディトリムに三角形のLEDデイライト、専用バンパー、リアディフューザーなど、共通した特徴で通常のモデルと差別化される。

アルミホイールは、標準で20インチのダイヤモンドカット・デザイン。オプションで、ブラック仕上げも選べる。

スポーティな内装 モーターは最新ユニット

インテリアも、スポーティにコーディネート。ステアリングホイールは下辺がフラットになり、レッドの差し色とGTXのロゴがあしらわれる。プレミアムシートが標準で、同じくGTXのロゴと、ファブリックか合成皮革で仕立てられる。

オプションで、エルゴアクティブ・シートも指定可能。より確かなサイドサポートを得られる。

ダッシュボード上には、12.9インチのインフォテインメント用タッチモニター。システムは最新バージョンで、チャットGPTを利用した音声操作機能が実装される。シフトセレクターは、メーター用モニター横から、ステアリングコラム側へ移動した。

内装の製造品質は高いが、グロスブラックの樹脂製パネルなどは、価格帯に相応しくないかもしれない。駆動用バッテリーがフロア下に敷かれるMEBプラットフォームを採用し、着座位置は高め。グラスエリアの下端が低めだから、包まれ感は薄い。

荷室容量は385Lで、通常のID.3と同値。後席の背もたれを倒すと、1267Lへ拡大できる。フロントのボンネット内に、収納は設けられていない。

駆動用モーターは最新のAP550型ユニットで、トランスミッションはリアアクスル内の1速。このモーターはID.7から採用が始まっており、従来のID.3 プロが搭載したAPP310型ユニットより力強く滑らかだ。

車重は軽くないが、アクセルレスポンスは鋭い。より速く、狙った速度も保ちやすい。かといって、ゴルフ GTIの哲学へ沿うように、フォルクスワーゲンは過剰なパワーまでは与えていない。

航続距離は603km ダイレクトな操縦性

駆動用モーターの質感は、非常に洗練されている。サイレントでシームレスな特性を、好ましいと感じる人は多いはず。一方で、エグゾーストノートなどが伴わず、古くからのホットハッチ・ファンは物足りなく感じそうだ。

駆動用バッテリーは79.0kWhのリチウムイオンで、これも新ユニット。航続距離は最大603kmが主張される。急速充電は、DCで最大185kWに対応。残量10%から80%まで、最短26分で回復可能だという。

ID.3 GTXでは、サスペンションのスプリングとダンパーも専用設定。ステアリングとブレーキにも調整が加えられ、スポーティな走りを叶えている。

特にステアリングの反応は正確で、ダイレクト感が強い。直感的で機敏に身をこなし、コーナリングの充足感は高い。

ただし、ホットハッチへ期待するような、フィードバックまでは備わらない。間違いなくオンロードを高速に走れるバッテリーEVだが、運転の魅力度が高いとまではいえないだろう。

タイヤは20インチの215/45。フロントのグリップ力は高く、リア側も安定。カーブからの脱出で強めにアクセルペダルを踏み込んでも、スタビリティ・コントロールが早々に介入することはなかった。

引き締められた足まわりでも、乗り心地の悪化は最小限。傷んだ路面を通過しても、揺れで上半身が揺さぶられることはない。静寂性と相まって、長距離旅行時の疲労感は小さそうだ。

フォルクスワーゲンらしい高い熟成度

バッテリーEVは進化を重ね、航続距離以上の魅力の重要性は増している。ヒョンデはアイオニック5 Nで、合成エンジン音を奏でるNアクティブ・サウンド+と、疑似的な変速を楽しめるN e-シフトを採用。ソフトウエアで、運転体験の向上を試みた。

そのような新たな技術は実装されなかった、ID.3 GTX。ゴルフ GTIに並ぶほどの、クルマとの一体感までは創出できていないように思う。通常のID.3を大幅に超えるようなスポーティさを、筆者は感じることができなかった。

とはいえ、これまで以上の速さと直感的な操縦性は獲得した。優れたエネルギー効率に、ゆとりのある車内空間、最新のデジタル技術など、強みは多い。フォルクスワーゲンらしい、高い熟成度を備えることは間違いないだろう。

◯:直感的な操縦性 これまで以上の速さ 広々とした車内空間
△:従来のホットハッチへ並ぶ運転体験は得ていない お高めの価格

フォルクスワーゲンID.3 GTX(英国仕様)のスペック

英国価格:4万6225ポンド(約888万円/パフォーマンス)
全長:4261mm
全幅:1809mm
全高:1562mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:5.9秒
航続距離:603km
電費:6.6-6.9km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1985kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:79.0kWh
急速充電能力:185kW
最高出力:286ps
最大トルク:55.4kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)

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