ポルシェが「デイトナ」でデビューさせた「963」。その限界を押し広げるテクノロジーと、前進し続ける成功の歴史。
30,000勝を超えるには、計算し尽くされたギャンブルだけでは不可能だ。それはより大きな夢を抱き、限界を超えようとする勇気ある心がなければ、生まれないものなのだ。2023年、ポルシェはドイツのスポーツカーメーカーだけでなく、自動車業界全体の未来を左右するような、新たな挑戦に乗り出した。これまでと同様、ポルシェはモータースポーツを通じて、限界を押し広げるテクノロジーをテストした。
75周年を迎えたポルシェの最初のモデルライン「356」へのオマージュを盛り込んだコンセプトカー『ポルシェ・ビジョン357』が登場
2023年1月28日(土)、29日(日)に開催された「デイトナ24時間レース」でデビューした「ポルシェ・963」は、世界のレーストラックで業界の最先端技術をテストするという、数十年の伝統を受け継ぐ最新モデルなのだ。モータースポーツは計算されたギャンブルであり、そのリターンを最大化するために細部にわたって分析されるが、テストと準備だけでは十分ではもちろんない。テストと準備だけでは限界があるからだ。
ポルシェが目指す「世界最高性能のスポーツカー」は常に効率的であり、大胆な思想の持ち主がサーキットのために作り上げたもので、それを道路に移植することで実現されてきた。ポルシェは、「LMDh (ル・マン・デイトナ・ハイブリッド)」と呼ばれる新しい国際的なプロトタイプレースへの参加を最初に表明し、テストコースへのデビューも初めてだった。そのテスト走行は、すべてのコンペティターに共有される標準的なハイブリッドテクノロジーの開発に貢献し、36時間に及ぶプレシーズンテストを完了した最初のドライバーでもある。
【写真11枚】「ポルシェはモータースポーツでテクノロジーをドライブする」
パフォーマンスと改善への情熱
ヴァイザッハに本拠を置くポルシェ モータースポーツの「ブレイン・トラスト」は、907、908、917 K、936、956、962、RSスパイダー、そして現在製作中の963といった伝説のマシンで期待、性能、効率性を押し上げてきた。ポルシェはモータースポーツでテクノロジーをドライブするのだ。963は、未知のモータースポーツの領域に足を踏み入れるだけでなく、自動車性能の未来に没頭するポルシェのレーシングマシンの最新作だ。国際的なLMDhレギュレーションに準拠したポルシェ・963は、LMP2カテゴリのシャシーをベースにしている。この新開発のシャシーは、カナダのハイテク企業であるマルチマティック社が供給している。
ボッシュ、ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング、エクストラックは、標準的なハイブリッドコンポーネントを供給している。パワートレインの心臓部には、4.6リッターV8ツインターボが搭載されており、このエンジンはハイブリッド・スポーツカーの918スパイダーがベースになっている。エンジンのDNAは、2005年から2008年にかけてポルシェとチーム・ペンスキーが数々の勝利を収めたRSスパイダー・レーシングカーにまで遡るという。新型ポルシェ・963のデザインは、1980年代に勝利を収めた956と962のクラシックを継承している。
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