F1での4年目を迎えた角田裕毅がどう成長し、あるいはどこに課題があるのかを、F1ライター、エディ・エディントン氏が忌憚なく指摘していく。今回は、第3戦オーストラリアGPに焦点を当てた。
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【全ドライバー独自採点&ベスト5/F1第3戦】体調不安のなか見事に戦ったサインツ。来季に向け存在感を示した角田裕毅
不運は永遠には続かない。シーズン開始以来素晴らしい仕事をしてきた我らが裕毅がようやく報われて、オーストラリアで貴重な6点をつかみ、チームに貢献した。ところでチームの名前は何と言ったっけ。昔はトロロッソだったが、今年は確か……。何も見ずにフルネームを言えるという人間がいるなら、そいつは嘘つきだと思う……。
はいはい、コラムのテーマから脱線したのは分かってるって。そもそも最初から最後まで脱線しなかったのがいつなのかと考えると、一度もないのだから、もう諦めてもらわないと。
さて、裕毅のパフォーマンスの話をしよう。メルボルンでは、ダニエル・リカルドと比べると、別リーグどころか、別の惑星ほどかけ離れていた。ダニエルの予選Q1のタイムがトラックリミットで取り消されていなければ、という話もあるが、そもそもあれは彼自身のミスで抹消されたのだ。ターン4を立ち上がる時にスロットルを開けすぎて、その代償を支払っただけのこと。一方、裕毅は一切ミスをせずに、Q3まで進み、その過程で、アストンマーティン2台とサー・ルイス・ハミルトンに勝ってみせた。
数日前に、「裕毅は予選はOKだが、レースではタイヤをすぐだめにする」と言っていたマルコじいさんが、オーストラリアの決勝後、完全に前言を翻していたのが面白かった。メルボルンの決勝はタイヤマネジメントがすべてだった。そのレースで、裕毅はマシンの速さでははるかに勝るアストンマーティンを追い続け、ストロールから、3~4秒以上遅れることはなかった。ストロールのマシンはRBのマシンより少なくとも1周あたり0.5秒は速いにもかかわらずだ。
しかし、これは裕毅のマネージャーもすでに承知していることと思うが、レッドブルは、裕毅を2025年のドライバー候補としては考えていないように見える。ホーナー代表は、セルジオ・ペレスに時間を与えると繰り返し発言している。彼にこれ以上の時間が必要なのだろうか? そして、ペレスを外す場合の後任候補として、カルロス・サインツの名前を挙げて、彼がレッドブルファミリーに戻って来る可能性は十分あると言っているのだ。
ホーナーは、アレクサンダー・アルボンに対しても、ウイリアムズとの契約を解除してレッドブルに戻ってこないか、と声をかけている。数年前に彼をフェアに扱わなかったくせに、何をいまさらだ。まあ、とにかく、ホーナーのリストには、裕毅は入っていないようだ。
ここから、今回のコラムの核心に入る。レッドブルがホンダとの関係が切れれば角田を手放すという想定のもとで、彼のマネジメントはレッドブルファミリー以外のチームに目を向けるべき時が来ているのは明らかだ。
週末を通して完璧に走ることができ、常に予選で非常に良い成績を収め、ある程度まともなマシンがあれば、ポイントをかけて戦うことができる、堅実な若いドライバーを必要としているチームはどこか。それはアストンマーティンだ。ローレンス・ストロールが息子に、「遊びの時間は終わりだ、新しい趣味を見つけなさい」といつ告げるつもりなのか、私には分からない。しかし私が助言を求められたなら、今年いっぱいで時間と金の無駄遣いを終えるよう、彼に強く勧めるだろう。
フェルナンド・アロンソが残留したいと言うなら、なんとしてでもつなぎとめるべきだ。だがアロンソが去ることを望むなら、サインツと3年契約を結べばいい。同時に、すぐさま角田を確保して、2年契約をまとめれば、2025年と2026年に素晴らしいラインアップが出来上がるし、ホンダを喜ばせることにもなる。チャンピオンシップ獲得を目標にしたパートナーシップをスタートするのに、これ以上良いやり方はないだろう。さあ、ミスター・ストロール、決断の時だ。
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筆者エディ・エディントンについて
エディ・エディントン(仮名)は、ドライバーからチームオーナーに転向、その後、ドライバーマネージメント業務(他チームに押し込んでライバルからも手数料を取ることもしばしばあり)、テレビコメンテーター、スポンサーシップ業務、講演活動など、ありとあらゆる仕事に携わった。そのため彼はパドックにいる全員を知っており、パドックで働く人々もエディのことを知っている。
ただ、互いの認識は大きく異なっている。エディは、過去に会ったことがある誰かが成功を収めれば、それがすれ違った程度の人間であっても、その成功は自分のおかげであると思っている。皆が自分に大きな恩義があるというわけだ。だが人々はそんな風には考えてはいない。彼らのなかでエディは、昔貸した金をいまだに返さない男として記憶されているのだ。
しかしどういうわけか、エディを心から憎んでいる者はいない。態度が大きく、何か言った次の瞬間には反対のことを言う。とんでもない噂を広めたと思えば、自分が発信源であることを忘れて、すぐさまそれを全否定するような人間なのだが。
ある意味、彼は現代F1に向けて過去から放たれた爆風であり、1980年代、1990年代に引き戻すような存在だ。借金で借金を返し、契約はそれが書かれた紙ほどの価値もなく、値打ちがあるのはバーニーの握手だけ、そういう時代を生きた男なのである。
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