社外品の「グレーゾーン」
自動車に違法な改造を施したとして、英国の整備工場が有罪判決を受け、排ガス規制に関する社外品マフラーの「グレーゾーン」がにわかに注目を集めている。
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昨年11月、イングランド北部ウェイクフィールドを拠点とするAETモータースポーツ社は、触媒コンバーターを取り外し、エンジン・コントロール・ユニット(ECU)を改造して騒音レベルを上げ、公道走行を違法とする改造を行なったと指摘され、裁判所から7234ポンド(約135万円)の罰金を命じられた。
この訴訟は自動車基準当局(DVSA)によって提起されたものであり、担当判事はAETモータースポーツ社に対し、事業者は法律を知る義務があると述べた。しかし、この事件を巡り、英国の事業者間で動揺が広がっている。
自動車整備工場を運営するオートダイナミクス社のジェームス・ウィルズ取締役は、裁判所の判断は正しいが、この事件で排ガスに関する英国の法律の矛盾が露呈しており、解決しなければならないと主張する。
「公道走行可能なクルマのデキャット(De-Cat、触媒を取り除くこと)は違法であり、車検不合格の原因になります。そのため、ほぼ同じ性能を得られるスポーツ触媒コンバーターを装着するのが一般的です。しかし、車検を通すには十分ですが、クルマの型式認証の段階で設定された排ガス規制を満たしているかどうかは疑問です」とウィルズ氏は言う。
マフラーの触媒は、排ガスから有害な成分を取り除く浄化の役割を担っている。クルマのチューニングにおいては、排ガスのフロー(流れ)を改善するために触媒量の少ない「スポーツ触媒」に交換するケースがある。英国では、いわゆるアフターマーケット品の触媒の量は、条件付きで純正品の半分以下であってもよいとされている。
その条件とは、欧州のEC型式認証マーク(eマーク)を取得した商品であること、エンジンに負荷がかかっていない低回転域で排ガスが規制値内に収まっていることであり、これらを満たせば車検に通すことができる。
法律の矛盾 当局はあいまいな返答
問題は、エンジンが高速回転したり、ターボチャージャーが作動したりすると、純正品の型式認証制限を超える排ガスを発生する可能性があるという点だ。
ウィルズ氏は本誌の取材で、「このため、車検の検査官がスポーツ触媒装着車の排ガスを作動範囲全体で適切に検査した場合、違法と判断されるのではないかと心配しています。誰かが起訴される前に、この車検と車両型式認証規制の矛盾を解決する必要があるのです」と語った。
本誌はDVSAに対し、スポーツ触媒装着車の型式認証状況について明らかにするよう求めた。広報担当者は、大気汚染物質の排出基準に適合しなくなるような改造を施した車両を公道で使用することは違反であり、したがって型式認証の制限に適合していないと判明した車両は違法となる可能性があると述べた。
しかし、1台ずつすべての車両が型式認証されているわけではないので、例えば、実際に公道を走っている車両の排ガスが型式認証の際と同じ方法で測定されることは「非常にまれ」であるという。
「メーカーはすべての車両を型式認証するのではなく、車両認証機関(VCA)にさまざまな車両を提出し、試験と認証を受けます。車検では、3年目以降のすべての車両が、型式認証基準に沿った要求基準を満たしていることを保証します。DVSAは、車両が型式認証基準を満たしているかどうかをチェックするために市場監視を実施しています」
DVSAのコメントに対し、ウィルズ氏は苦言を呈した。
「DVSAは、一方では型式認証の規制を満たさなければならないと言いながら、他方では試験が異なり、すべての車両が型式認証されているわけではないので、チェックすることはほとんどないと言っています。このため、自分のクルマが車検に合格していても、排ガス規制違反でDVSAに起訴される可能性があるということをドライバーは覚えておかないといけません」
メーカーも迷う? 不明確な境界線
本誌は英国でスポーツ触媒を販売する複数のアフターマーケット品メーカーに問い合わせたが、いずれも自社の置かれた立場は不明確であるとしている。
あるメーカーの広報担当者は、「スポーツ触媒はグレーゾーンです。当社の製品は法的規制値を遵守していますが、エンジンの回転域を上げると規制値が変わります。AETモータースポーツ社に関する最近のニュースを受け、販売資料の文言を改訂します」と語った。
英国のアフターマーケット業界団体であるPAAA(Performance Automotive Aftermarket Association)の広報担当者は、DVSAと協力して、メーカー、ディストリビューター、小売業者といった各会員の立場を明確にしていると述べた。
DVSAは、消費者が良質なアフターマーケット品を選べるようにスマート(Smart)マークを導入した。安全で、公道走行に適している製品に適用される。「我々は、消費者が十分な情報を得た上で選択できるようにしようとしている」と広報担当者は語った。
型式認証試験は、自動車が1kmあたり何グラムのCO2を排出するかを測定する室内試験である。英国ではVCAまたは他のEU当局によって実施される。試験では、排ガスに含まれる炭化水素、CO、NOx、その他のガスや微粒子を測定する。試験は特定の走行条件下で行われるため、結果を車両間で比較することができる。
一方、英国の車検制度はMOTと呼ばれ、公道で使用中の車両に対して実施される。排ガス中のCO2量を100万分の1として測定し、排ガス総量に対する割合で数値化する。基本試験は、高速アイドリング(2500~3000rpm)と通常アイドリング(450~1500rpm)で実施される。触媒コンバーターを搭載していても基本試験が不合格の場合は、徹底的な排ガス試験が実施される。
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みんなのコメント
RX7が火吹きながら走ってたけどな
後追いしてたら臭くて頭痛くなるレベルだった
あとさ、勘違いしてる人が多数だけど
環境にとっては非常に有効な触媒だけど
エンジンそのものにとっては害悪な存在なんだよ
無い方がエンジンにとっては、はるかに楽