フォーミュラE第13戦ロンドンePrixは、多くの接触が発生する荒れたレースとなったが、最も物議を醸したのはルーカス・ディ・グラッシ(アウディ)だろう。彼はトップチェッカーを受けながらも、失格となったのだ。
ディ・グラッシはレース序盤、10番手付近を走行していた。しかし11周目、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(テチータ)とアンドレ・ロッテラー(ポルシェ)がホームストレートで接触。このレース2度目となるセーフティカー出動となった。
■奇策炸裂しトップチェッカーも、“痛恨のミス”で失格ディ・グラッシ「一生忘れられないだろう」
隊列がセーフティカーに続いてスロー走行する中、8番手にいたディ・グラッシはピットレーンに飛び込んだ。当然、ピットレーンには速度制限があるがコース上の隊列はそれよりも遅く、ディ・グラッシがトップでコースに復帰したのだ。
なお、フォーミュラEの競技規則第38.11条にはセーフティカー出動中のピットインについて次のように定められている。
『(セーフティカー出動時も)ピットレーン入口と出口は開かれたままとなり、各マシンは彼らのピットの前で停止することを条件に自由にピットインすることができる』
アウディの頭脳的な”奇襲”は見事に成功したが、すぐさまレースコントロールの審議対象となり、スチュワードはセーフティカー中の手順違反だとして、ディ・グラッシにドライブスルーペナルティを科した。しかしアウディとディ・グラッシはこのペナルティを消化せずにレースを進めた。
ディ・グラッシはトップをひた走ったが、ファイナルラップ開始時にペナルティの無視を理由に、失格を意味する黒旗が掲示された。トップチェッカーを受けたディ・グラッシは、ドライブスルー相当のタイムペナルティを受けて8番手に降格となった上で、失格となっている。
アウディのチーム代表であるアラン・マクニッシュは、アウディは何も間違った行為はしていないと主張。セーフティカー導入中にドライバーがピットレーンを通過することを妨げる規制はないと主張している。
マクニッシュがレースコントロールとチームのガレージ間を激走するシーンも国際映像で捉えられていた。彼は、スチュワードがディ・グラッシはピットボックスで十分な時間、静止していなかったと感じていると付け加えた。
「基本的に、ここロンドンではピットレーンが非常に短く、またセーフティカーが異常に遅いという特殊な状況にあったので、実際にはレギュレーションで認められているピットレーン通過を選んだ方が速かったんだ」
マクニッシュはそう説明した。
「ルーカスは停止してから加速して出て行った。しかし、残念ながらスチュワードは、ルーカスが十分に車を止めていないと判断した。我々は彼が止まったと信じ、彼らは止まらなかったと信じている」
「しかしながら、この状況ではドライブスルーペナルティに対して抗議することはできないので、残念ながら今はすべてのレギュレーションを見直さなければならない状況にある」
国際映像では、ホームストレートの反対側にカメラが置かれていたが、ちょうどスポンサー関連の設置物があり、アウディのピットボックスは映像に映らなかった。
「我々は目視で確認していた。彼らはデータを見ている」と、マクニッシュは付け加えた。
「その観点から言うと、みなさんが(テレビで)見たカメラは非常に見づらかっただろうが、我々のクルーは非常にはっきりと見ていた」
「我々はレギュレーションを非常によく理解しており、それを守っているし、レギュレーションを信じている。しかしながら今回の場合、スチュワードは我々とは違う考えをしており、そういうジャッジが出たというのが事実だ」
マクニッシュは、アウディはレース後にマシンのデータを分析すると付け加えた。
「我々はクルマからのデータを得られていない。これがフォーミュラEの問題点のひとつで、正確なデータをダウンロードするにはマシンが戻ってくるまで待たなければならないので、いずれそうすることになるだろう」
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みんなのコメント
とは言え、反則級の方法…
そして反則を取られたw