スバルテックツアー第8弾 SGP×AWD雪上公道試乗体験
スバルはメディア、ジャーナリスト向けに「テックツアー」と銘打った試乗・体験イベントをこれまで数回行なってきている。今回はその第8弾で、北東北エリアで新型インプレッサ、XVを雪上公道試乗し、明治時代までにさかのぼる歴史探訪も体験してきた。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>
ボルボ 2018年型「V40 D4R-DESIGN チューンドbyポールスター」試乗記 vol.3
会場は北東北エリア岩手県の安比高原スキー場からスタート。なぜ、スキー場かといえば、すでにご承知の人も多いと思うがスバルが行なっているスキー場イベント「ゲレンデタクシー」が安比で行なわれていたからだ。
このゲレンデタクシーは、スバルのAWDの性能の良さなども含めたアピールイベントで、2018年で5周年を数える。初年度となる2014年は菅平パインピークスキー場1カ所だけだったが、18年は4会場で開催される人気のイベントになっているという。この後は2月3、4日が長野県の栂池スキー場、2月17、18日が新潟県の苗場スキー場を予定しているので、体験するチャンスはまだある。
安比高原スキー場では、タカハシもこのゲレンデタクシーに乗せてもらい、同乗体験をしてきた。車両はアウトバック、フォレスター、XVが用意され使用するタイヤはミシュランのX-ICE 3を装着。ゲレンデを走るからと言って特別な仕様変更はされていない。公道を走る通常の状態でゲレンデを疾走できる、というとこもアピールポイントというわけだ。
ゲレンデタクシーは上り下り、どちらも乗車が可能ということで、子供だけに限らず、若いスノーボーダーやスキーヤーに人気ということだ。確かにゲレンデをクルマで走るという行為は映画「私をスキーに連れてって」で見た過激なシーンそのままだけに、大人でも十分刺激的だと感じるだろう。
さて、ゲレンデタクシーを体験した後はインプレッサとXVに乗って青森までのスノードライブだ。途中、東北自動車道、奥入瀬渓谷、十和田湖、酸ヶ湯温泉などを経由して青森まで行く、およそ200kmの公道雪上試乗になる。
インプレッサ、XVともにAWDのシステムはアクティブトルクスプリットと呼ばれるタイプでACT4とも呼ばれているAT用のAWDシステムだ。スバルのAWDシステムの詳細はこちらの記事を見てもらいたい。
参照:スバルAWD雪上試乗レポート クロカン4WDが走るような場所をインプレッサで走れるスバルのAWD
簡単に説明すると、前後のトルク配分は60:40が基本で、路面状態に合わせて可変配分制御が可能なシステム。センターデフの代わりに、電子制御油圧多板クラッチを備えている。作動は走行状態に合わせて油圧多板クラッチの締結力をコントロールし、滑りやすい路面ではクラッチはロック状態になり50:50の配分になる。採用車種はレガシィ、フォレスター、インプレッサ、XV、クロスオーバー7のCVTおよびAT用で最も多車種に展開しているシステムだ。
このAWDシステムに加えて新型インプレッサからはスバル グーバル プラットフォーム=SGPに変更され、このプラットフォームの採用によって基本性能の向上があり、さらなる安心、安全へと進化していることを体験する公道試乗だった。
その基本性能の向上という部分を一部紹介すると、台上の試験機でサスペンションアッシーを動かしたときの特性をキチンとデータが取れるようになったことが大きいと説明する。サスペンションがストロークしたときの過度のアライメント変化が、キチンと適正化されているというのが技術的な進歩であり、SGPにはそのサスペンションがセットされているのだ。
そのため、新型インプレッサ、XVのサスペンションはアームも含めて適正化されているわけで、ダンパー性能も正しく減衰するから乗り心地も良く、また、ステアリングの修正も少なく、外乱に強いということも言える。したがって車両の安定性が高まるというわけだ。開発エンジニアにすれば、目標性能にかぎりなく近づいた性能を持っているというわけだ。
また、ABSの制御でもms(ミリ秒=1/1000)での制御を行ない、タイヤの回転速度と車両速度に差が出た場合、つまりスリップ、空走状態のときエンジントルクを掛け、タイヤの速度を上げ、車両速度と同速にする制御を4輪に行なっているため、FF車よりも短制動となる場合があるなど、細かなチューニングにもこだわっている。
VDC(ESC横滑り防止)では、アイスバーンでのスピンなど、ヨーが発生しても横Gが小さいわけで、そうした場合でもキチンとVDCが稼働し車両を安定させなければならず、制御への細かなチューニングも行なっている。
こうしたきめ細かな制御の下支えとSGPという基本性能の高いボディ、シャシー、そしてAWDの最新制御をもったインプレッサ、XVは北東北のどんな路面でも安心して走行できたのだ。
アイスバーンで下り坂、カーブといった緊張するようなシーンでもそれほど緊張することもなく、走り抜けることが容易で、タイヤのスリップを感じることなく安心感と緊張感の比率において、安心感の比率が高いことに気づく。
そうしたインプレッサ、XVでの移動先では富士重工業の歴史のひとつである小坂鉄道で使われていた鉄道の見学もした。富士重工業は2002年まで鉄道車両事業を行なっていたそうで、国鉄をはじめいろんな鉄道会社へ気動車、客車、電車、貨車、軌道モーターカーなどの製造をしていたという。
立ち寄りした小坂鉄道には4両の軌道モーターカーと4両の客車が動態保管されていた。小坂鉄道というのは秋田県の北部にある町で明治時代に鉱山として栄えた町ということだ。その鉱山からの輸送をするための私鉄が小坂鉄道で、富士重工製の車両がつかわれていたということだ。
ほかにも、厚生施設で現役で利用されている歌舞伎小屋「康楽館」の見学や、重要文化財の小坂鉱山事務所などにも立ち寄ることができた。
こうした企業の歴史を知ることで、人のとのつながりや鉄道車両製造、航空機製造などから分かる製品技術の確からしさ、こだわりなどSUBARUに対する理解が深まることにつながっていくと思う。スバリストならずとも、機会があればゲレンデタクシー、歴史探訪も楽しいと思う。ちなみに、秋田県小坂町には明治百年通りというのがあり、小坂鉱山が遺した近代化産業遺産を青空博物館として見学することができる。
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