現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 世界最大のワークショップチェーンが革新!「ボッシュカーサービス全国会議2022」で見えた新たなビジネスチャンス(前編)【自動車整備に異変あり】

ここから本文です

世界最大のワークショップチェーンが革新!「ボッシュカーサービス全国会議2022」で見えた新たなビジネスチャンス(前編)【自動車整備に異変あり】

掲載
世界最大のワークショップチェーンが革新!「ボッシュカーサービス全国会議2022」で見えた新たなビジネスチャンス(前編)【自動車整備に異変あり】

総合サプライヤーとしてのBoschは自動車に搭載されるハードだけでなく、それを適切に使い続け安心を担保するためのソフト=サービス=アフターマーケット事業についても、変わりゆく将来に向けて「備え」を始めている。3年ぶりに開催された「BCS(ボッシュカーサービス)全国会議」に参加することで、Boschが描く自動車整備事業に関する未来図の一端を、垣間見ることができた。

史上最大規模の開催。新生ボッシュカーサービスが決起する
2022年11月30日、世界最大の独立系自動車整備ワークショップチェーンであるボッシュカーサービス(BCS)が、日本の加盟店代表を集めて、大掛かりな「BCS全国会議2022」を開催した。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

会場は、東京高輪のグランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール内「崑崙」。日本全国から100社を超える事業者が集い、3時間を超えるビジネスセッション、成績優秀店舗の表彰式、交流会を行った。

過去にも「全国会議」は開催されてきたが、今回は史上最大の規模。コロナ禍の影響による3年ぶりの開催、ということもあるが、実際に臨席してセッションを見学していると、なにより「新生ボッシュカーサービス立ち上げイベント」としての意味合いが大きいことがわかってきた。

冒頭、オープニングプレゼンターとして壇上に立ったソンタオ・ワン氏(ボッシュ オートモーティブアフターマーケット アジアパシフィック プレジデント)の挨拶を聞いているだけで、私たちが独立系の自動車整備工場に対しているものと「BCS」グループは、規模感が圧倒的に違うことがわかる。

そもそもグローバル展開されている自動車整備事業のネットワークなんて、BCS以外になかなか思いつかない。いわゆるドイツ本国Boschにとってもオートモーティブアフターマーケット事業部は必要不可欠な存在だ。2021年のBoschグループ内において、自動車関連事業に就く従業員は22万6000人に達し、売り上げは453億ユーロ(6兆5000万円)、グループ内の売上比率は58%を占める。

世界では約150カ国に1万6000店舗以上を有するBCSだが、日本の加盟店はおよそ201店舗。アジアパシフィック地域では、ほぼ3割を占める。世界有数規模の自動車産業国であり、世界最大規模の自動車製造国でもある日本の動向は、自動車用アフターマーケットにおける需要に大きな影響がある、とオートモーティブアフターマーケット事業部が考えているのもうなづける。

それでは果たして日本のBCSには、どんな「新生」が求められているというのだろうか。

自動車のIT化に合わせた自動車整備事業のDX化は避けられない
続いて壇上に立ったフェデリコ・ビアンコ氏(オートモーティブ アフターマーケット ジャパン事業部長)は、日本における責任者として、アフターパーツ事業の今後の動向を自動車業界そのものの大きな変革と絡めながら説明した。

とくに電気自動車や自動運転車両のシェアが、2030年から2040年にかけて「かなり」の規模に達すると想定したうえで、着目すべきファクターは以下の4点が挙げられた。

●コネクテッドカーの普及
制限のないデータアクセスなど、新しいメンテナンスや修理などのサービスの機会を提供する必要がある。
●電気自動車の普及
メンテナンス、修理の部品需要に大きな変化をもたらす。同時に、既存のものとは違った小規模自動車メーカーの市場参入が加速する可能性もまた、提供すべきサービス内容に影響を及ぼすかもしれない。
●自動運転システムなどをはじめとする車両制御技術の高度化・複雑化
整備工場の作業内容だけでなく部品流通にも大きな課題となりうる。
●自動運転車の普及
カーシェアリングの需要増加、個人オーナーの減少などによって「愛車を維持する」スタイルが変わる。定期メンテナンスなどの日常的対応のニーズが高まる一方で、修理やメンテナンスのアルゴリズムが変化する。

オートモーティブアフターマーケット事業部としては、これらの変化に対応するための効率的なサービス体制構築を、DX(デジタル)化によって進めていく戦略だ。そこにはたとえば、適切な交換・修理用パーツをわかりやすく見つけるための電子カタログの導入や、店舗へのビジターの求めに応じた部品検索・注文システムといった対応も含まれる。

加えてワークショップとしてのサービスも、クラウドやオンラインといったネットワーク経由のシステムを使ってより頻度を高めることを検討している。今回の全国会議は、そうしたDX化の計画について詳細に説明するとともに、新しい協調モデルへの理解と積極的な展開に対する協力を願うものでもあった。

続いてプレゼンを行ったエンギン・ビュユックバルバック氏(同事業部 セールスワークシップコンセプトグループ アジアパシフィック ゼネラル・マネージャー)は、DX化による効率化や新しい取り組みの推進によって、ビジネスチャンスが拡大することを力説した。そのための投資も積極的に行っていく、という。

「従事者」の減少傾向を抑えるためにはデジタライゼーションが必須か
実は日本に限らず世界的にも、自動車整備事業に携わる経験豊富なエンジニア、テクニシャンの人口は減少傾向にある。だがBoschは自動車のIoT化に対応したサービス体制のデジタライゼーションが、その流れを変えると考えている。

プレゼンの中で提示された世界規模での整備工場ネットワークの展望では、全世界で2021年の1万2285店舗が2028年までに1万6150拠点まで増えると予測されていた。日本に至っては201→400店舗と、倍増を計画している。

その数値の実現性云々については、実際のところ予見することは難しい。けれど、ボッシュオートモーティブアフターマーケット事業部が今後、その実現に向けて計画している投資などの姿勢を見ていると、「自動車整備事業」というビジネスカテゴリーがなんだかとっても面白いことになりそうだ、と思えてくるから不思議だ。

繰り返しになるがこと自動車整備事業という視点で言うなら、BCSほど巧みに世界にネットワークを広げているブランドはほかにはない。その強みは、自動車ディーラーのメンテナンスネットワークとも根本的に違うレベルにあるような気がする。

しかし一方で、エリアごとの市場特性にも考慮しながらサポートを行うことを忘れてはいないことも、BCSの事業が興味深いところだ。日本のBCSもまた、この国ならではの強みを生かしている。

それはたとえば「職人気質」と「最新のテクノロジー」そして「最新のノウハウ」の融合、と言ってもいいかもしれない。それぞれに個性的な得意技を持ち、一方でBCSのようなグローバルスタンダードでのスキル習得にも熱心に取り組むといった生来の勤勉性は、日本人が連綿と受け継いできたDNAそのものに他ならない。

その強みを、DX化によってよりわかりやすく効率的に活用することができれば、これまでにない自動車整備事業のスタイルを生み出すことができるかもしれない。これに続く全国会議でのさまざまなプレゼンではさらに、DX化に向けたBCSの未来戦略がよりわかりやすく、浮き彫りにされていくことになる。(後編に続く)

[ アルバム : BCS全国会議2022 前編 はオリジナルサイトでご覧ください ]

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ソニー損保、自動車保険満足度調査で2部門1位を獲得…事故対応に高評価
ソニー損保、自動車保険満足度調査で2部門1位を獲得…事故対応に高評価
レスポンス
最後までもつれ込んだメーカー対決はトヨタに軍配! 僅差でヒョンデ逃す。総合優勝エバンス|WRCラリージャパンDAY4午後
最後までもつれ込んだメーカー対決はトヨタに軍配! 僅差でヒョンデ逃す。総合優勝エバンス|WRCラリージャパンDAY4午後
motorsport.com 日本版
スズキ 新型「スポーツクロスオーバー」登場! 斬新デザインの“尖った”スタイリング!? 軽量な車体を活かした軽快な走り! 「Vストローム250SX」何が変わった?
スズキ 新型「スポーツクロスオーバー」登場! 斬新デザインの“尖った”スタイリング!? 軽量な車体を活かした軽快な走り! 「Vストローム250SX」何が変わった?
くるまのニュース
勝田貴元が限界ギリギリの力走。トヨタ勢が猛追も、SS12は安全確保を理由にキャンセル/ラリージャパン デイ3午前
勝田貴元が限界ギリギリの力走。トヨタ勢が猛追も、SS12は安全確保を理由にキャンセル/ラリージャパン デイ3午前
AUTOSPORT web
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
くるまのニュース
市川團十郎がF1日本GPの公式アンバサダーに! F1文化に“新たな風”を吹き込むことを目指す
市川團十郎がF1日本GPの公式アンバサダーに! F1文化に“新たな風”を吹き込むことを目指す
motorsport.com 日本版
[かわいい]見た目して超[ホット]!! スズキ[アルトラパンSS]今買うのアリ説
[かわいい]見た目して超[ホット]!! スズキ[アルトラパンSS]今買うのアリ説
ベストカーWeb
追突事故を避ける「2秒ルール」ご存知ですか? あおり運転にならず割り込まれもしない、ほどよい安全な車間距離の保ち方をお教えします
追突事故を避ける「2秒ルール」ご存知ですか? あおり運転にならず割り込まれもしない、ほどよい安全な車間距離の保ち方をお教えします
Auto Messe Web
「足が長くて」スタイリッシュな新型SUVが2024年内に正式発表か!?DSオートモービルズの電動化戦略が新たなステージ
「足が長くて」スタイリッシュな新型SUVが2024年内に正式発表か!?DSオートモービルズの電動化戦略が新たなステージ
Webモーターマガジン
都内の“旧式小型バス大活躍”路線ついに廃止へ 「リエッセ」と運命を共に 西武バス
都内の“旧式小型バス大活躍”路線ついに廃止へ 「リエッセ」と運命を共に 西武バス
乗りものニュース
ディーゼルトラックをEVへ改造、国内初の量産予定車が完成 ヤマトモビリティが発表
ディーゼルトラックをEVへ改造、国内初の量産予定車が完成 ヤマトモビリティが発表
レスポンス
FIAがフロア摩耗に関する取り締まりを強化。フェラーリ、メルセデス等に加え、抜け穴を指摘したレッドブルも修正
FIAがフロア摩耗に関する取り締まりを強化。フェラーリ、メルセデス等に加え、抜け穴を指摘したレッドブルも修正
AUTOSPORT web
頭文字Dの次なる遠征先は豊田市駅前? ラリージャパン2024はイベント盛りだくさん/WRC写真日記
頭文字Dの次なる遠征先は豊田市駅前? ラリージャパン2024はイベント盛りだくさん/WRC写真日記
AUTOSPORT web
優れたラリードライバーならF1でもきっと戦える! 8度のWRC王者オジェは確信「ファンも見たいと思っているはず」
優れたラリードライバーならF1でもきっと戦える! 8度のWRC王者オジェは確信「ファンも見たいと思っているはず」
motorsport.com 日本版
新車150万円台で「5速MT」あり! イチバン安い「普通乗用車」どんなモデル? 「国産ダントツ安価」でも装備は必要十分! めちゃ“リーズナブル”な「トヨタ車」とは
新車150万円台で「5速MT」あり! イチバン安い「普通乗用車」どんなモデル? 「国産ダントツ安価」でも装備は必要十分! めちゃ“リーズナブル”な「トヨタ車」とは
くるまのニュース
“熊本~東京1300km” 電気自動車でも快適に移動できる「裏ワザ」とは? 新型「タイカン クロスツーリスモ」で体感! ポルシェらしい走りと遊び心に触れる旅
“熊本~東京1300km” 電気自動車でも快適に移動できる「裏ワザ」とは? 新型「タイカン クロスツーリスモ」で体感! ポルシェらしい走りと遊び心に触れる旅
VAGUE
[15秒でニュース]メルセデスAMG、初の電動SUVを市販化へ
[15秒でニュース]メルセデスAMG、初の電動SUVを市販化へ
レスポンス
軽自動車の6MT!! 2020年登場ホンダ[N-ONE RS]の中古ってどうなん
軽自動車の6MT!! 2020年登場ホンダ[N-ONE RS]の中古ってどうなん
ベストカーWeb

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村