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昼はハリウッドのスタントマン、夜は逃がし屋 クライム・サスペンス「ドライヴ」

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昼はハリウッドのスタントマン、夜は逃がし屋 クライム・サスペンス「ドライヴ」

■ドライバーの孤独と悲哀を見事に描き出す物語

『ラ・ラ・ランド』での好演も記憶に新しいライアン・ゴズリングが主演するクライムサスペンス『ドライヴ』。デンマーク出身のニコラス・ウィンディング・レフン監督は本作でカンヌ国際映画祭・監督賞を受賞し、華々しいハリウッドデビューを果たしました。

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 ゴズリング演じる主人公の“ドライバー”は超がつくほど寡黙な男。普段はカースタントマンとして働いていますが、実は夜な夜な“逃がし屋”として暗躍しています。しかも、淡々とストイックに仕事をこなすドライバーの仕事っぷりを映画冒頭、外装どノーマルの地味なシボレー・インパラ(2006年型)に銀行強盗を乗せて警察の捜査網を見事にくぐり抜ける、たった5分間で完璧に伝えきってしまうのだからスゴい。

 いわゆるパトカーやヘリとのチェイスといえば、ドリフトをかましたり一般車両を巻き込んで爆走したり……という映像をイメージしがち。しかしこの冒頭シーンでは、そっと路肩に停車したり高架下に隠れたりと、緩急をつけた頭脳戦が繰り広げられます。これが地味ながらなんとも緊張感抜群で、思わず息を呑んで見入ってしまうことでしょう。

 そして愛車のシボレー・シェベル・マリブSS(1965年型)で自宅へと帰るドライバー。そこにネオンサインのようなオープニングクレジットが被るのですが、ダークでレトロなシンセサウンドと相まって抜群にカッコいい! この一連のシークエンス(順序)を見た時点で、多くの観客が傑作になることを確信したのでした。

 また物語中盤には、フォード マスタングGT(2011年型)によるカーチェイスシーンも。冒頭とは打って変わって激しいカーバトルを披露しますが、その後の壮絶なバイオレンス展開と併せて、愛する女性のために危ない橋を猛ダッシュで渡るドライバーの破滅的な人間性を表現しています。

 甘ったるいシーンを排除し、ひたすら高濃度の純愛と暴力を描く『ドライヴ』。唯一のラブシーンもただただ切なく、我々観客は唇を噛み締めつつドライバーの“男のケジメ”を見守るしかないのでした。

■『ドライヴ』作品情報

 ストーリー:昼はハリウッドのスタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手の“ドライバー”。その天才的なドライビングテクニックゆえに、危険な裏社会の抗争に巻き込まれていく孤独な男を描いた『ドライヴ』は、2012年に日本で公開されています。

 カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞し、ローリングストーン、ウォールストリートジャーナル、ムービーライン、ワシントンポスト、タイムアウトNYをはじめとする数々のメディアで最高レベルの満足度と評価を叩きだした本作。

 この映画史に残る傑作を生み出したのは、デンマーク出身の鬼才ニコラス・ウィンディング・レフン。ジェイムズ・サリスの人気クライム小説を原作に、徹底的に贅肉を削ぎ落した演出で、愛する人を守るため裏社会を相手に一人闘いに身を投じるドライバーの孤独と悲哀を、時に衝撃的なまでに情感豊かに描き出した。

 それまで抑えつけられていた暴力性が一挙に噴出する緊迫のクライマックス。そして、静謐さとバイオレンス、計算しつくされた映像美と本能に訴えかけるサウンドが美しく融合し、ここに激しく心揺さぶる新たな愛の物語が誕生した。

監督:ニコラス・ウィンディング・レフン出演:ライアン・ゴズリング、キャリー・マリガン、オスカー・アイザック 他

(C)2011 Drive Film Holdings, LLC. All rights reserved.

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