1970年代の日本に響いたコルベット
ミドシップ化され電動化までされた、アメリカン・スポーツカーの代表であるコルベット。今回は8世代全てのモデルに触れたことがある筆者が、最新のE-Rayとコンバーチブルをドライブしながら、コルベット・ブランドの流れに思いをはせてみた。
【画像】アメリカンスーパースポーツの象徴、歴代コルベットたち! 全88枚
『Corvett 1954~あなた~とどこへでも行く~』とユーミンと来生たかおが歌いあげる。昔は歌詞の意味もよく考えず聞き流していたのだが、もちろんそれは曲名にもあるとおり、『コルベット1954』。つまり初代コルベットのことを指している。
そういえばこの曲が収録されたユーミンのアルバム『流線形’80』のジャケットで星空に浮かんでいるようなスポーツカーも、初代コルベットをブリキのおもちゃ風にしたものだった。
1978年の日本にとって、初代コルベットは少し肩の力が抜けたドリームカー。そういえば『真っ赤なポルシェ~』も同じく1978年リリースだった。当時はまだ輸入車がちょっとした憧れの対象であり、それが歌詞の中で粋な情景を作り出すことができたのである。
だがノスタルジーたっぷりの流線形コルベットは初代で終わり。2代めからはワイルドさも身に着け、サーキットでもGMの威信を懸けてコブラ等々と戦いはじまることになる。そして今日のコルベットは、触れたらケガをしそうなほど尖った造形が目を引く。代変わりする毎に鋭くなっている感じ? さらにミドシップ化でグッとヨーロッパ的になった感も強い。はっきり言ってしまうとフェラーリ的……。果たしてこれでいいのだろうか?
円熟のFRレイアウト、実は停滞?
結論から書けば、それでいいのである。コルベットの生みの親として知られるGMのデザインチーフにして副社長を務めたハーリー・アールが、自らのガレージに数台のフェラーリを収めていたことは有名な事実。そもそも戦後のアメリカン・スポーツカーは、ヨーロッパ車の影響を強く受けた。
初代コルベットがアメリカ車としてはコンパクトで軽かったのはそのためだ。またヨーロッパのそれに比べれば安楽にドライブでき、安価で耐久性が高いことも欠かせない。歴代コルベットは北米マーケットにおいて必然的な1台だったのだ。
2代目に進化する頃には既にアールはGMを去っていたが、早々と流線形に別れを告げたあたりはデザイナー主導の感が強い。というのもデザイナーとしてはキープコンセプトほど辛いものはないからだ。ガラッと雰囲気を変えてしまった方が目新しさを演出できる。
だからもしアールのような権力を持ち、ヨーロッパ車に憧れを抱いたデザイナーが関わっていれば、コルベットはもっと早くにミドシップ化していたと思われる。C5からC7までのコルベットはFRモデル円熟期と言えば聞こえはいいが、停滞していた感も否めない。デザイナーとしては”もう勘弁”だったのでは?
そんなタイミングでレース部門も同じことを訴えたに違いない。コルベットが今日のような本格ル・マン参戦を企てたのは、レース用の『C5-R』を仕立てた5世代目から。GTレースはベースモデルの特性に対し主催者が色々と忖度してくれるわけだが、それにしてもいよいよフロントエンジンではキツいぞ、となったのである。
ミドシップへの正常進化、その背景
なぜフロントエンジンではキツいのかといえば、トラクションの偏りで4本のタイヤをうまく使えないからだ。リアエンドがスパッと切り落とされたコルベットのデザインではディフューザーを長くとれないし、リアウイングの効率も上げられない。
ポルシェ911のレースカーが、市販車のRRに対し、ミッドシップ化の超特例を勝ち取っているように、現代のGTレーシングの勘所はアンダーフロアの効率を最大化するディフューザー設計にある。
一方ロードカーにとっては年々厳しさを増す歩行者保護という問題があった。ボンネットの下にすぐに硬いエンジンがあると、事故で跳ねてしまった人の頭部に重大な損傷を与える恐れがある。その結果近年はボンネットを低くデザインすることが難しくなっている。
ボンネット基部にエアバッグを仕込み、衝突の瞬間に持ち上げるという手法も流行ったし、そもそも低いOHVエンジンを積むコルベットは有利だったが、それでもVバンク内にスーパーチャージャーを載せたりもしていたわけで、限界は迫っていた。
以上の流れから考えると、現行のコルベットの立ち位置は”意外”ではなく”順当”そのもの。時代が求める要件とヨーロッパ・スポーツカー的アプローチ、そして北米市場を鑑みたローカライズ……。また基本設計に1000馬力オーバーのZR1や電動化が含まれていたことは当然で、その点でも8代目のアプローチはミドシップ以外になかったのだ。
Corvett 2024~「よーやく新しくなったか!」、そんなコルベット生みの親の声が聞こえてきそうなのが、颯爽とした現行型なのである。
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みんなのコメント
1960年代には「CERV」として既にミッドシップ化の可能性を探っていたわけで、その歴史をちゃんと踏まえればむしろ「満を持して」というべきでしょう。
フェラーリとアストンのFRは素人にハイパワーリアエンジンはキツイというのと、レースは二の次のモデルで
アストンは台数が無いので、
そんなにそんなに無理という妥協の中、
GMはレースベースという最良の選択