ライバルよりクロスオーバーらしい風貌
text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
2代目メルセデス・ベンツGLAが登場した。初代は、予算上の理由からか、Aクラスのハッチバックをベースにしていた。肉付けされた見た目が与えられても、その事実は明らかだった。
一方の新しいGLAは、エンジニアリング上の制限が少なかったようだ。初代と比べると、説得力もはるかに高い。
世代が新しくなるほどボディは大きくなるのが一般的だが、2代目GLAは、全幅と全高は大きくなったものの全長は短くなった。最大のライバルとなる、BMW X2やアウディQ2と並ぶと、明らかにクロスオーバーらしい風貌を持っている。
1ヶ月ほど前、ガソリンエンジン車としてトップグレードとなるGLA 250に試乗したが、素晴らしい印象を受けた。今回試乗するのは、ディーゼル版の220d。英国では2種類用意されるディーゼルエンジンの中で、パワフルな方だ。
搭載されるのは、OM654型と呼ばれる2.0L 4気筒ユニット。多くのメルセデス・ベンツのクルマに選ばれているもので、最高出力190psと最大トルク40.7kg-mを発生する。
クラス標準以上のパワーを持ち、GLA 200dと比べると40psと7.7kg-mたくましい。ちなみにエンジンは同じで、設定による違いとなる。
ライバルがいないほどの力持ちではない。アウディQ2 2.0 TDIに搭載されるエンジンは、数字上では同等の性能を得ている。
活発なエンジンと操縦性に優れるシャシー
トランスミッションはメルセデス・ベンツ製の8速AT。ハイパワー版の220dの場合、新開発の4マティックと呼ばれる四輪駆動を採用する。油圧式ではなく電気機械式による制御で、より確かな前後間でのトルク分配を行う。
必要に応じて最大80%のトルクを前輪へ回せ、後輪へは70%を割り当てられる。前後で50:50が保持される、オフロード・モードも備わる。
メルセデス・ベンツGLA 220dを走らせてみる。ディーゼルらしい潤沢なトルクと4マティックにより、とても柔軟性があり活発。市街地でも郊外の開けた道でも、走りやすい。
ドライバーが惹きつけられるような性格ではないものの、ディーゼルらしいカラカラ音は皆無。最新の4気筒ユニットは、扱いやすい動的性能を生み出している。
こちらも新しいトランスミッションは、段数によるギア比の幅が広い。力強いスタートダッシュから、穏やかな高速巡航までを引き受けてくれる。
電動パワーステアリングの軽快で正確な感触と、ボディロールが抑制された姿勢制御で、操縦性も引き上げられた。この手のクロスオーバーとしては、優れていると呼べるものだ。
グリップ力やトラクションにも不足はない。ドライバーが得るフィードバックは濃くはないが、全体的なまとまりは良く、操作系の重み付けにも一貫性がある。GLA 220dの運転が、親しみやすく感じられる要因でもある。
コンフォートさもスポーティさも向上
乗り心地も、初代GLAからはるかに良くなった。サスペンションは硬めながら減衰力は充分。近年のメルセデス・ベンツ製コンパクトモデルに共通する特性でもある。
オプションのアダプティブ・ダンピングコントロールと、扁平率60のタイヤが試乗車には組み合わされていたが、不快な振動を見事に吸収してくれていた。ロードノイズも充分に静かだ。
オンロードでのGLA 220dのマナーは、ダイナミックセレクト機能で変化させることも可能。多様なドライビング体験と品質が味わえる。先代と比べても、コンフォートさもスポーティさも、しっかり高められている。
Aクラスのハッチバック以上の実用性を備えた、新しいGLA。魅力的に感じる人も多いだろう。今回試乗したGLA 220d 4マティックは、長距離を頻繁に走り、四輪駆動の安定したハンドリングを求めるドライバーに向いている。
都市部を中心に運転するユーザーの場合は、前輪駆動のエントリー・グレードの方がより適している。あるいは環境負荷を考えるなら、プラグイン・ハイブリッド版もある。純EV版も、追って登場する予定だ。
メルセデス・ベンツGLA 220d 4マティック(英国仕様)のスペック
価格:3万8165ポンド(507万円)
全長:4410mm
全幅:1834mm
全高:1616mm
最高速度:218km/h
0-100km/h加速:7.3秒
燃費:17.5km/L
CO2排出量:149g/km
乾燥重量:1540kg
パワートレイン:直列4気筒1950ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:190ps/3800rpm
最大トルク:40.7kg-m/1600-2600rpm
ギアボックス:8速オートマティック
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