もくじ
前編
ー ラグジュアリー・サルーンという伝統
ー Sクラス/A8/7シリーズ 三つ巴
ー 3台の候補者 スペック/装備詳細
ー 「ボス席」に見る、各メーカーの流儀
ー 後部座席、いちばんになったのは?
ロールス・ロイス・ファントム新型 価格/内装/スペック 徹底解説
後編
ー 室内で体感 空気の冷たさ、あたたかさ
ー インフォテインメントに見られる優劣
ー モードは「一時の気晴らしのようなもの」
ー 7シリーズだけが「ほかと少し違う」
ー 番外編 ほかにもあった2台の候補
ラグジュアリー・サルーンという伝統
ラグジュアリー・サルーン。古典的で伝統的なクルマである。そして当然ながら長い年月を生きながらえている。
貴族的なSUVだってある。イーロン・マスクなら最新の電気自動車が一番だというだろう。決まっている。
しかし、何事があろうとも、フルサイズの贅沢なエグゼクティブ・リムジンが無くなることはこれまでなかった。そしてこれからもありつづけるに違いない。
2回の世界大戦、2回の世界恐慌、その間のさまざまな経済不況、オイルショック、そして厳しくなる一方の排ガス規制の脅威にも負けず生き延びてきた。
様々な挑戦を平然と受け流し、100年以上も前に築き上げた贅沢で高級なクルマというジャンルの中心に居座り続けている。そして、いまだに拡大と変化を続けている。
その証拠に、ここ数カ月間だけでも、アウディA8まったく新しい第4世代へと進化し、第6世代のメルセデス・ベンツSクラスは大掛かりなフェイスリフトを行っている。
これは、自動車メーカーにとって4ドアのフラッグシップ・リムジンが売り上げ的にも戦略的にも重要な役割を担っていることを示している。
先代のクルマたちと同じく、技術を進化させるのも、ラグジュアリー・サルーンだ。培った技術は次第により手ごろなクルマへと波及し、それが大量生産されることで自動車メーカーは次の時代に向かって進むのだ。
Sクラス/A8/7シリーズ 三つ巴
現在のW222世代のSクラスは、5年前に発売されるや否やわれわれのラグジュアリーカー・ランキングのトップに躍り出て、以来その座を一度も明け渡していない。
ライフサイクル半ばの2017年には、お決まりのスタイリングの小変更にあわせて、新型エンジンの追加、半自動運転技術の改良、インテリアの変更など、大掛かりなフェイスリフトが行われた。
そこに新型A8が挑む。Sクラスが投げかけたすべての問題への満額回答となるクルマだ。
デジタル・コックピット。48V電源システム。可変エア・サスペンション。メルセデスが採用すれば、アウディもやる。
Sクラスにオプション設定されるカメラを用いたアクティブ・サスペンション「マジック・ライド・コントロール」は、5年前には想像することも難しかったのだが、A8も今年後半に類似のシステムを実用化する。四輪駆動と四輪ステアを組み合わせたもので、技術的な洗練度合に関してはメルセデスの水準を凌駕してさえいる。
さらにA8は、今年の後半には量産車で初めてレベル3の自動運転を実現したクルマになる。ビッグ・ニュースだ。
さて、現時点で一番のフルサイズのラグジュアリー・サルーンはなんだろう? フェイスリフトされたSクラスか。まったく新しいA8か。それとも第6世代のBMW7シリーズか。BMWについては2015年の発売以来、ドイツ勢のライバルたちとじっくり比較したことがなかったので、今回はそのよい機会でもある。
3台の候補者 スペック/装備詳細
今回、アウディから借りることができたA8は50 TDIだけだった。このメーカーの新しい命名法をご存じなければ意味がわからないだろうが、「TDI」はご存知の通りディーゼルを、「50」はパワーが282psから308psのエンジンを意味する。
SクラスでこのA8に最も近いのは、エンジンを3.0ℓV6からまったく新しい2.9ℓディーゼルへと変更した新型S350dだ。このエンジンは、ターボ2基で過給を行う直列6気筒ディーゼルで、最高出力とトルクはアウディと全く同じ(286ps、61.2kg-m)である。アウディは標準で四輪駆動なのでSクラスも四輪駆動にしたかったのだが、あいにく借りることができなかった。
しかしBMWからはxDriveと呼ばれる四輪駆動の7シリーズを借りることができた。また、今回のテストはロング・ホイールベースのモデルで揃えたかったため、少し高価な320psの740Ld xDriveを選ばざるを得なかった。(奇妙なことに英国ではロング・ホイールベースの四輪駆動730dは存在しない)
それでは、最先端のエグゼクティブ・サルーンの比較を始めることにしよう。運転するだけではなく、広くて暖かくていろいろ調整可能なリアシートにふんぞり返って。
公平を期すために、装備が異なっていることを予めお断りしておく。メルセデスとBMWはフルオプション(リアシートの座り心地をさらに快適にするすべてのオプション)のクルマを用意してくれたが、アウディはそうではない。
従って、S350dと740dではリアシートは大きくリクライニング可能でさらに電動フットレストやクッションが追加された「インディビジュアル(左右独立)」電動シートだが、A8 50 TDIにはそのような装備はない。
にもかかわらず、最初に驚いたのはA8のリアシートの座り心地が最下位ではなかったことだ。
「ボス席」に見る、各メーカーの流儀
メルセデス、あるいはBMWの「ボス席」では、アウディよりも飛行機のファーストクラスに座っている感じが強い。
なお、今回のA8に欠けているのはSクラスと7シリーズのアームレストに備え付けられたボタンだ。これを押すとリアシートはラウンジ・モードに変身する。まさに変身だ。
ボタンを押し続けると、電動のフロントシートが前へ上へと移動し、ヘッドレストがばったりと倒れて普段は見ることができない前方の道路をリアシートから見ることができる。
次に、シートクッションが斜め上にせり出すに従い、背もたれが沈み込むように感じられる。そしてフットレストがフロントの助手席の底から立ち上がってくるのだ。
モダン・ジェットのシートを平らなベッドにするときのような面白さだ。
このような仕掛けで、Sクラスのリアシートは37°までリクライニングする。それはとても安楽だ。私見によれば、アウディ、あるいはBMWのリアシートに比べて少なくともさらに半分は快適だといえる。暇を見て1時間の睡眠をとるには最高の場所である。
特にメルセデスの枕のようなリアのヘッドレストは、焚火や満腹や論文と同じく、眠りを誘う最良の友である。伸びをすればフットレストが最適な高さと角度であなたの足を支えてくれる。リアシートで本を読んだり仕事をしたい場合には、姿勢に合わせて角度調整の可能な賢いデザインのテーブルを中央のアームレストから引っぱり出せばよい。
同じようにして、740dのリアシートも同じくらい快適であるべきであるが、そうはなっていない。
後部座席、いちばんになったのは?
740dも居心地が悪いという訳ではまったくないが、もしあなたが188cm以上であれば、アウディやメルセデスと比べて7シリーズのリアのヘッドルームが不足していることを見逃すことはできない。
また、ラウンジ・モードではフットレストの高さも少し変だし、腿のサポートも不十分だ。メルセデスと比べるとBMWのシートは少し平板で固い感じ。程度の差こそあれアウディと比べても同様である。見た目よりも少しだけ快適性は落ちる。
一方のA8は基本をしっかりと抑えているので、7シリーズよりもSクラスに近い快適性を備えている。両方のライバルよりも実用的な空間を備え、リアシートはクッションが少し不足するが、BMWよりもソフトでしなやかな感じだ。
A8のリアシートはSクラスのリアシートほど並外れたくつろぎを与えるものではないが、もちろん非常に快適である。われわれの試乗車ではオプションの装備品のレベルに至るまで同様なので、あまり厳しくアウディを責めるのはやめよう。
それでもなお、キャビンのこの上ない安楽さで今回のコンテストの先頭に立つのはSクラスだ。
しかし、ラグジュアリー・サルーンのインテリアで重要なほかの要素も考えるようになると、Sクラスの優位性は揺らぎ始める。
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