現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > GLB大ヒットのどうして? メルセデス製コンパクトSUVの魅力を考える!

ここから本文です

GLB大ヒットのどうして? メルセデス製コンパクトSUVの魅力を考える!

掲載 更新 7
GLB大ヒットのどうして? メルセデス製コンパクトSUVの魅力を考える!

メルセデス初の3列シート・コンパクトSUVである「GLBクラス」の人気が止まらない。その理由を今尾直樹がさぐった。

なかなか賢い買い物

29歳、フェラーリを買う──Vol.97 愛車を守りたい!

ご存じでしょうか、昨2020年6月に上陸したメルセデス・ベンツのコンパクトSUV、GLBが飛ぶように売れているということを。Gクラスを思わせる四角い外観と3列7人乗りのユーティリティが、大いにウケているというのだ。

そういえば、このクルマが国内で発売されたばかりの頃、とりわけ30代の家族持ちの男子に刺さっている、という話を某メディアの編集部で筆者も耳にした。最近、都内を走っていると、1日に何台も見かけたりもする。

ふ~む。どこがいいのだろう。理由は前述した通りなのでしょうけれど、ここでは改めてGLBのベーシック・モデルの200dに試乗し、GLBの人気の秘密について、あれこれ思案してみた。

まずもって、GLBの日本仕様には、最近追加になった180とAMG 35 4MATICを別にすると、200dと250 4MATIC スポーツの2モデルがある。売れ行きは2:1でディーゼルの200dだそうで、おそらく200dは518万円(現在は4MATICとなり価格は553万円)と、絶対的には安いものではないけれど、比較的お求めやすいことが、そこにはひとつの理由としてある。ガソリンの250は4MATICと後ろについていることからわかるように、4WDで、しかもスポーツ、200dでは28万3000円のオプションの「AMGライン」に相当するスポーティな内外装が標準になる。価格は704万円と、200dとは186万円もの開きがあるのだ。

186万円あったら、なにが買えますか? という話はともかく、GLBの200dはいまのところ駆動方式がFWDゆえにこの価格で、どうしても200dで4MATICの小型SUVを、というのなら、いちばん近いのはGLAということになる。GLA200d 4MATICは503万円で、GLB200dとは15万円の差だから、機能で考えれば、なかなか賢い買い物であるといえそうだ。

さりとて、GLAは乗車定員5名だし、なによりGクラスとは似ても似つかぬ、丸っこいかたちをしている。そもそも輸入車のコンパクトSUVで、7人乗りが標準仕様になるのはGLB以外にない。

ディーゼルを運転していることを忘れる

というようなわけで、某日、そのメルセデス・ベンツGLB200dでテスト・ドライブに出かけた。250 4MATICスポーツに昨年試乗した記憶で申しあげると、こちらのほうが乗り心地は明らかに快適だ。ホイール&タイヤがこちらは18インチで、あちらは19インチという以上の違いがある。前者は「コンフォートサスペンション」、後者は「スポーツサスペンション」とカタログに書いてある。250はそうとう硬かった。ガンガン飛ばす若者、もしくはヤング・アト・ハートなひと向けであると筆者は思った。

200dは250よりまろやかで、ディーゼル・エンジンとの相性もピッタンコだ。1949ccの 直噴4気筒DOHCターボは、最高出力150ps/3400~4400rpm、  最大トルク320Nm /1400~3200rpm。2.0リッターの直噴ディーゼル・ターボとしてはやや控えめなチューンだけれど、発生回転数が示しているように、低回転からトルクが豊かで、100km/h巡航は8速DCTのトップで1500rpmに過ぎないから、めちゃくちゃ静かでもある。しかも、レッドゾーンの始まる4600rpmあたりまで滑らかに気持ちよくまわって、ディーゼルにありがちだった頭打ち感がない。低速トルクがめちゃくちゃ分厚い印象もない分、感覚的にはガソリン・エンジンみたいで、自分がディーゼルを運転していることを忘れる。

まずもってサイズ感がいいことはいまさらいうまでもないながら、全長4640×全幅1835×全高1700mmというのは、1クラスの上のGLC、708万円より65mmほどナローではあるけれど、25mm 背高ノッポで、体格的にヒケをとっていない。だからといって大きすぎないし、ボディが四角いから見切りがよくて、取りまわしがよい。日本の道路事情を考えると、クルマはナローなほうがいいこともある。

室内はこの四角いボディのおかげで、たいへん広々している。Aピラーが、Gクラスほどではないにせよ、比較的立っていて、見慣れた風景が新鮮に見える。2830mmのホイールベースはGLAより100mm長い分、おそらく乗り心地のフラットさにも寄与している。

3列目のシートは安全性を理由に身長168cm以上のひとの使用をメーカーは禁じているけれど、2列目シートに座るひとの協力を得られれば、170cm程度なら、頭上も足元もそれなりの空間を確保できる。乗降はおとなには狭くてたいへんだけれど、元気な子どもにはアスレチックみたいでオモシロイと思ってもらえるかもしれない。

もうひとつ、GLB200dで特筆すべきなのが、19万1000円のナビゲーションパッケージを選ぶと、いわゆるADAS(運転支援システム)がグレードアップする点だ。高速道路上では、渋滞で自動再発進もするし、車線維持機能も付いている。Sクラスと同等の最新システムを採用しているというのだ。安全に対するメルセデスの考え方は、いまもって模範的ということだろう。完璧ではないとはいえ、ハンズ・フリーは未来の自動車っぽくて、子どもにもおとなにもウケるはずだ。

じつにリアルな存在

GLA、GLBを含むメルセデス・ベンツのコンパクト・クラスはいまや、日本で売れるメルセデス・ベンツ車の45%を占めているという。そのあとなかでも、GLB200dは最良の乗り心地を提供していると筆者は思う。

その一方で、それでも往年のメルセデス、たとえば1980年代の190Eの時代の記憶と較べてみると、あの頃のようなまろやかさはない。SUVということもあって、路面からの突き上げをどうしても、若干感じる。

いや、むしろ近年のメルセデス・ベンツのコンパクト・モデルの成功は、このハーシュネスを感じさせる乗り心地にある。オーナーの高齢化という最大の課題を解決すべく、若者ウケのする、ハンドリング優先の乗り心地に仕立てているのだ。

筆者も若い頃は乗り心地なんてまったく気にならなかった。NVHの塊のオリジナル・ミニの上下動の絶えない、あの乗り心地が楽しいと思っていた。メルセデスはそのことに気づいたのだ。たぶん、ですけど。

GLBが30代半ばの男子に刺さっている、とすると、いま35歳のニッポン人は1985年生まれである。芸能人では松田翔太、松山ケンイチ、山下智久などの名前がネットに出てくる。女性の場合、綾瀬はるか、上戸彩、蒼井優とか。任天堂のファミコンの発売と東京ディズニーランドの開園がともに1983年。彼らは日本が豊かだった1980年代に幼少期を過ごし、バブル崩壊後の「失われた20年」のあいだに思春期を送り、社会に出た途端、「リーマン・ショック」を体験した。朝日新聞がいうところの「ロスジェネ」ど真ん中、といってもいいかもしれない。GLBの購入者は幸いにして、そうしたことがもたらしたネガティヴ・インパクトを免れたひとびと、ということになるのだろうか。

GLBのなにがいいって、繰り返しになるけれど、Gクラスを思わせる四角い外観と、7人乗りである点だ。都会にいながらにしてジャングル・クルーズに出かけるみたいなデザインは、ファミコンのゲームやディズニーランドの世界観との相性もよさげである、と筆者には思える。

でありながら、同時に7人乗りでミニバンのように使えるユーティリティを備えている。奥さまにも子どもたちにもウケる、のだろう。

でもって、乗り心地には、ちょっとしたツッパリ感がある。路面が荒れていれば、荒れているとちゃんとわかる。それがバーチャルではない、リアルな世界を実感させてくれる。

しかもメルセデスとしては手頃な価格である。

バーチャルとリアルの間を行ったり来たりすることが日常のリアルである30代半ばの青年たちにとって、GLBは手を伸ばせば届く、じつにリアルな存在なのではあるまいか。

文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
motorsport.com 日本版
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
くるまのニュース
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
VAGUE
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
WEB CARTOP
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
AUTOSPORT web
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
motorsport.com 日本版
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
乗りものニュース
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
乗りものニュース
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
くるまのニュース
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
Webモーターマガジン
F1マシンを脇に歌舞伎……来春鈴鹿のグリッドでも! 日本GPアンバサダーに就任した市川團十郎「息子と歌舞伎の扮装で踊る計画を」
F1マシンを脇に歌舞伎……来春鈴鹿のグリッドでも! 日本GPアンバサダーに就任した市川團十郎「息子と歌舞伎の扮装で踊る計画を」
motorsport.com 日本版
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
くるまのニュース
遂に“冷却機能”も装備! ハイグレード・ワイヤレス充電スマホホルダーの注目作が登場【特選カーアクセサリー名鑑】
遂に“冷却機能”も装備! ハイグレード・ワイヤレス充電スマホホルダーの注目作が登場【特選カーアクセサリー名鑑】
レスポンス
“やっちまった”タナク、僚友ヌービルにWRCタイトル明け渡す痛恨クラッシュは「マジで大惨事」
“やっちまった”タナク、僚友ヌービルにWRCタイトル明け渡す痛恨クラッシュは「マジで大惨事」
motorsport.com 日本版
「えっ、4つのリングのマークじゃない!?」 アウディが新ブランドを立ち上げ なぜ“4リングス”を使わない? 世界最大市場での戦略とは
「えっ、4つのリングのマークじゃない!?」 アウディが新ブランドを立ち上げ なぜ“4リングス”を使わない? 世界最大市場での戦略とは
VAGUE
スバル新型「すごいフォレスター」登場に反響あり! 水平対向エンジン×本格ハイブリッド搭載に「楽しみ!」の声も! 日本発売は一体いつ?
スバル新型「すごいフォレスター」登場に反響あり! 水平対向エンジン×本格ハイブリッド搭載に「楽しみ!」の声も! 日本発売は一体いつ?
くるまのニュース

みんなのコメント

7件
  • 後発なのに既にQ2超えちゃったね。
    同じ価格帯として考えると圧倒的にメルセデスの方が性能が上だから当たり前か。
    そろそろ顧客層もアウディに価値が無いことを真剣に考え始めてる模様。
  • これほどまでに諸元表がいい加減なモデルはあるだろうか。付いてるはずのものが付いていない、付いてないと言っても付いてる、存在しないものが表示される、もはや現車が来るまで確認すらできない、究極のガチャポン。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村