XV開発当初はSGPなど「お荷物」とさえ考えていた
スバル次世代商品群の重要な鍵となるSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を搭載した初のSUVとして正式デビューを飾った新型スバルXV。
新たなプラットフォームがもたらした走りの深化は、すでに発売されている新型インプレッサでも高く評価されているが、じつはこのプラットフォーム、新型XVの開発プロジェクトがスタートした当初、開発メンバーからは疑問視する声があがっていたという。
今回の開発でプロジェクトジェネラルマネージャー(PGM)をつとめた商品企画本部の井上正彦さんは、次のように振り返る。
「こんなに高価で重量のあるプラットフォームが本当に必要なのかと。正直に言うと、“お荷物”とさえ考えていたんです」
近年、多くの自動車メーカーが採用している新型プラットフォームは「軽量化」がセールスポイントとして謳われていることが多い。
だが、SGPでは「軽量化」の文言はあまり打ち出されていない。決して軽くなっていないわけではないのだが、10年先まで見据えた衝突安全性能や、動的質感(走りの質感)を上げる剛性向上などのための質量が加わり、それらが軽量化した大部分を相殺する結果となっているのだ。
「XV開発チーム内では、そこまでやる必要があるのかという疑問があったんです。それはもはやお客様に伝わるレベルを超えているだろうと。伝わらない価値のためにコストや質量を使うのは、お客様のためとは言えません。それにご存じのとおり、走行性能と重量は密接な関係にあり、軽ければ軽いほど自然と性能があがります。そのメリットもあまりないだろうということで、焦りや不安をかなり感じました。開発当初は、その分を補えるくらいに内外装の質感やデザインを進化させ、そこで勝負できるクルマにしようと考えていたくらいです」
だが、SGPを使った試作車ができた瞬間から、開発チームの考えは一変した。
「試作車に乗って、その走りに掛け値なし驚きました。まさかここまで大きく進化できるとは。このときから、それまではお荷物くらいに思っていたSGPが、開発チームの大きなモチベーションになったんです」
数多くの経験を積んできた開発陣をも驚かせたSGPの実力。井上さんら開発チームは、その素性の良さをさらに伸ばすため、徹底的なチューニングを実施した。
「SUVは車高が高いから安定性が低いとか、そういう言い訳は絶対にしないぞと思いながら取り組みました。クイックに動きたいときはしっかり応え、戻すときも気持ち良くクイックに。まっすぐ快適に走り、安心・安全に移動できる。走りの質感については、妥協なくやり切ったと自負しています」
こうして作り上げられた走りの良さに、当初目論んでいた「デザインや質感の大きな深化」が加わり、新型XVは、開発メンバー自身の予想を超える出来ばえになったと語る井上さん。
「自信作ですが、けれどこれは次世代スバルのスタート地点です。これから登場するモデルはもっともっと上をいくクルマになるはずですから、ぜひ期待していてください」
自信に満ちた笑顔をみせてくれた井上さん。これからのスバルにも要注目だ。
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